10の島で構成されている大西洋の島国で、島の面積が滋賀県程度(4,033km2)のカーボベルデは、1975年にポルトガルから独立しました。1年を通して降水量が少なく農業が脆弱なため、ヨーロッパとアフリカの間に位置する地の利を生かした航海・空路、遠洋漁業などの中継・補給基地としてのサービス業や漁業が主な産業です。我々ドメイン探検隊はバルラヴェント諸島の1つであるサル島に行って、カーボベルデの魅力を探ってきました。サル(Sal)はポルトガル語で塩を意味します。カーボベルデに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.cv」です。
◆カーボベルデはどこにあるのか?
カーボベルデはセネガルのヴェルデ岬の西方約400kmに位置し、西アフリカ大陸部から約375キロ離れた場所にあります。人口は約56万人(2021年)で、使用されている通貨はカーボベルデ・エスクード(CVE)またはユーロ(1ユーロ=110.265CVE、約159円※)と固定レートが採用されています。公用語はポルトガル語。日本との時差は-10時間です。
※2024年1月現在
= 目次 =
◆eGates(自動化ゲート)が使えない空港
◆地元の人は皆知っている歌「サイコーダヨ」
◆サンタ・マリアを街ブラ
◆ノーストレスな国で人気のカイトサーフィン
◆大きすぎる塩田と夏以外は見られないっぽいブルーアイズ
◆カーボベルデの食事事情
◆街で見かけた.cvドメイン
◆現地SIM速度調査~カーボベルデ編~
◆eGates(自動化ゲート)が使えない空港
サル島へはポルトガルのリスボン経由で向かいます。リスボンからサル島まではポルトガル航空TAPを利用しました。
午前1時頃にアミルカル・カブラル国際空港到着。辺りは真っ暗です。
入国手続です。我々は日本出国時に、渡航先の入国審査をスムーズに行うことができる「eGates」(自動化ゲート)に必要な手続きを済ませていたので、入国審査場で並ぶことはありません。自動化ゲートに向かいます。
自動化ゲートに到着。あれ?ゲートに入れません。空港スタッフに確認したところ、自動化ゲートが使えないことが判明。仕方ないので列に並び、いつもの入国手続きを行いました。このように自動化ゲートが利用できない場合もあるので、お気をつけください。なお、カーボベルデ入国には渡航目的を問わずビザが必要となります。取得方法については、「カーボベルデ行き方」をご覧ください。
タクシーで宿泊先のホテルへ向かいます。
空港から約15分でホテル「Sobrado」に到着。チェックインの際に、ホテル名が書かれたリストバンドを着用しました。ホテルの宿泊者かどうかを見分けるためのようです。
クラブや屋外のイベントみたいですね。ただ、シャワーや寝ている間もつけるので少し邪魔でした。
ホテルは清潔でとても快適に過ごせました。
◆地元の人は皆知っている歌「サイコーダヨ」
カーボベルデには地元の人ならほとんど知っていると言われている「Sayko Dayo」(サイコーダヨ)という歌があります。タイトルや歌詞の一部に日本語が含まれているみたいですが、本当に有名なのでしょうか?ホテルへ向かうタクシーの中で、運転手さんに聞いてみました。
運転手さんは、「もちろん知ってるよ」と言って、車内で聞かせてくれました!
「サイコーダヨ(最高だよ)」は空耳で聞こえるのではありません。1963年から約10年間、日本から多くのマグロ漁船がカーボベルデ北西部に位置するサンヴィセンテ島へ寄港し、大量の魚を釣り上げては漁師仲間のあいだで「最高だ」と声にしていました。その光景は現地の人にとって日常的なものであり、空手や日本語を教えてくれる日本人に親近感を覚えてくれたのです。そして、カーボベルデの著名な音楽家である Ti Goy は、日本語の「最高だよ」という表現に因んで「Sayko Dayo」(サイコーダヨ)を作曲。現在に至るまで伝統的な歌として受け継がれ、様々なアーティストがカバーしています。
翌朝、最高な気分で目が覚めました。ホテルで朝食を食べます。
宿泊したSobrado は2018年3月にオープン。サル島の南に位置し、アミルカル・カブラル国際空港から車で15分程度。サンタ・マリアの街の近くにあって、とても便利でした。
調査に出かけましょう。しかし、意気揚々と外に出た我々は、ホテルの周辺が空き地だらけだったことに驚いてしまいました。昨夜は暗くて気がつかなかったのです。
◆サンタ・マリアを街ブラ
小さくて特に見るべき所が無いと言われる街、サンタ・マリアのメインストリートに行くことにします。途中で中国人が経営するスーパーマーケットを幾つも見ました。
魚が入ったバケツを男性が取り囲んでいます。
白いTシャツを着て、こちらを向いている男性はうさぎを抱えていて、うさぎの耳には男性とお揃いのピアスをつけていました。何をしているのか聞いてみましょう。
黄色いパンツの男性が「ここで新鮮な魚を売っているんだ」と教えてくれました。周りには店や露店等はありません。住宅街の道端で販売しているのです。魚は焼いて食べるそうです。白いTシャツの男性は、うさぎは自分のペットであることも教えてくれました。
路地に入りました。子供がサッカーボールで遊んでいます。のどかですね。
路地を抜けるとストリートアートを発見。描かれている女性は、「Sayko Dayo」を歌っているセザリオ・エヴォラです。
こちらのストリートアートは、サッカーチームでしょうか。
メインストリートに到着。ホテルから歩いて5分くらいです。主にヨーロッパからの観光客で賑わっています。お土産を売っているお店や露店がたくさんあって、急に観光地らしくなりました。
露店で売られている商品のすぐそばで寝ている犬。お店番中に眠ってしまったのかもしれません。
◆ノーストレスな国で人気のカイトサーフィン
メインストリートの終点にあるThe Pier of Santa Mariaです。海に向かって延びる道には、お土産、小物、洋服等を売る露店が並んでいます。
桟橋の上では新鮮な魚も売っています。
桟橋の上で直に魚をさばいてくれます。「郷に入っては郷に従え」です。
桟橋からビーチを見るととても綺麗な景色でした。込み合っている桟橋に対して、ビーチにはほとんど人がいません。
サルを連れている男性がいたので声をかけてみると、猿を頭や肩に乗せてくれました。その様子を写真に撮ったりしましたが、お金は要求されませんでした。
左足の膝下から足首にかけて、ドラゴンボールのキャラクターをデザインしたタトゥーを入れた男性を発見。さすが世界のドラゴンボールです。
ちなみにカーボベルデでは、挨拶のように「ノーストレス」(No Stress)という言葉が使われます。お土産品でも「NO STRESS」と書かれたものが多くありました。
細かいことを気にしないで助け合う精神が何よりも大切とされているのですね。この精神を忘れないように、かわいいトートバッグをお土産に購入しました。
The Pier of Santa Mariaを後にした我々は、車で約10分のところにあるカイトビーチに行ってみることにしました。ビーチが近づくと、たくさんの凧が見えてきます。
カイトビーチに到着。カイトは凧のことです。多くの人がカイトサーフィンを楽しんでいました。日本でもゲイラカイトが流行りましたね。
カイトサーフィン(kitesurfing)は、カイトボードというスポーツの競技種目。カイトボードは専用のカイトを用いて、ボードに乗った状態で水上を滑走するウォータースポーツです。これは実際に使われているカイト。結構大きいですね。
日本での競技人口は定かではありませんが、現状においてはマイナーなスポーツと思われます。風が強く吹くカイトビーチでは国際大会も開催されています。
◆大き過ぎる塩田と夏以外は見られないっぽいブルーアイズ
次に向かったのはSalinas de Pedra de Lume(ペドラ・デ・ルメの塩田)。何もない殺風景な道をどんどん北上します。
まるで砂漠地帯のようです。
塩田に着きました。
1人6ユーロ(約954円)の入場料を支払います。
入場ゲートを抜けると塩田に続くトンネルがありました。トンネルの左上にある木製の機材は、かつて塩を運ぶために使われていたケーブルカー。1833年、この場所でミネラルを多く含む塩が発見されました。問題となったのは、ここからペドラ・デ・ルメ港のボートまで塩を運ぶことでした。まず、動物による輸送が行われましたが、1921年にケーブル カーを導入。ケーブルカーは長さ 1,100 メートルで、1 時間あたり 25 トンの塩を輸送することを可能にしました。
トンネルを抜けると想像を遥かに超える規模の塩田が目の前に現れました。塩田はユネスコ世界遺産の候補リストに掲載されています。
カーボベルデ旅行専門サイトによると、「白と鮮やかなピンク色の塩田が、真っ白な塩の山と青い空と対照的」とありますが、鮮やかなピンク色の塩田は見当たりませんでした。ドメイン島巡りでは過去にも、サモアの絶景スポットやモーリシャスのインスタ映えが難しい「七色の大地」などで、理想とかけ離れた現実を目の当たりにしています。
参照元 CapeVerdeislands.org
気を取り直して進んで行くと、左に白い塊が見えます。近くまで行ってみましょう。
かなりの大きさです。
塩でした。
塩田には死海に次いで世界で 2 番目に塩分の多いソルトレイクがあり、泳ぐことができます(水着とウォーターシューズ必須)。高い塩分濃度の影響で、泳げなくても横になって浮いていられます。
塩田を堪能した我々が次に訪れたのはブルーアイズと呼ばれるスポット。ブルーアイズとは、洞窟に開いた大きな開口部で、日光が当たると美しい「青い目」が見える場所のことです。
受付にてブルーアイズを見に来たことを伝えると、夏の午前 11 時から午後 1 時の間がベストで、今日はお目にかかることができないとのことでした。せっかくなので、ブルーアイズに会える場所まで行ってみることにします。
場所によっては落ちたら大変なことになりそうな通路を歩きます。
ごみを捨てない、犬の同伴はダメ、排泄行為もダメなど禁止事項がたくさんあります。
ブルーアイズを見ることができる場所です。誰もいません。奥が異様に深くて覗くのが怖い穴でした。
もしブルーアイズが見られたらこのような綺麗な写真が撮れたかもしれません。
参照元 CapeVerdeislands.org
◆カーボベルデの食事事情
ランチはHilton Cabo Verde Sal Resort近くにあったHilton系列のThe Bounty Beach Restaurantに行ってみました。The Pier of Santa Mariaから歩いて15分。少し歩きますが、綺麗な外観で静かな場所にあるレストランです。
開放感のある店内から、ビーチと海を見ながら昼食をいただきます。
カーボベルデ産ビール「STRELA」(500CVE 、約723円)。さっぱりした味です。
カーボベルデの伝統料理カチューパ(1,400CVE、 約2,025円)。特に癖のようなものはなく、豆が美味しい。
他は海鮮料理をメインに注文しました。「Mojo Picon Octopus」(2,800CVE 、約4,051円)はタコ料理です。
こちらは「Grilled Tuna Rissoto」(2,400CVE 、約3,472円)。
「Organic Veggie Soup」(800CVE 、約723円)は野菜スープ。どの料理も程よい味付けで、とても美味しいレストランでした。
◆街で見かけた.cvドメイン
街で「.cv」ドメインを探していると、「.site」を見つけました。「lobstar.site」はロブスター専門レストランの広告。
こちらは「.golf」。ホームページアドレスに「.golf」ドメインがあると、一目でゴルフ関連のサイトだとわかりますね。
サンタ・マリアにある住宅建設業者、JP Construçõesのオフィス。「.cv」を使っています。「cvtelecom.cv」はカーボベルデの電気通信事業者のドメインです。
マリンスポーツ「ジェットボート」のツアー参加者募集広告も「.cv」を使用。人通りの多い場所にもかかわらず、犬はグッスリ寝ています。先ほどの露店にいた犬といい、カーボベルデは人間だけでなく犬にとってもノーストレスの国なのかもしれません。
◆現地SIM速度調査~カーボベルデ編~
eSIMのMTX Connectを利用しました。サル島サンタマリア周辺で25Mbpsでした。
宿泊したホテル Hotel SobradoのWiFiは47 Mbpsでした。
現地のSIMカードも購入してみました。
データローミングのみですが、値段は10GBで10ユーロ(約1,590円)と格安です。必要なセットアップは店員さんがやってくれました。
測定すると、ホテルのWiFiと同じ結果となりました。