釣りをする豚のいる島 トンガ王国

片道40時間をかけてツバルにも行ってしまうドメイン島巡り、第6回目の巡り先はトンガ王国です。ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.to」です。

◆トンガ王国、どこにある?

南太平洋に浮かぶ約170の島で構成されている国家で、オセアニアの中でもポリネシア地域に属しています。首都のヌクアロファは、トンガ王国(以下、トンガ)の中でも最大の島にあります。今回は、その最大の島である、トンガタプ島を訪れました。

目次
◆断崖絶壁の穴場!?自然が作り出した絶景スポット”フファンガルペ”
◆プライベート感満載の穴場ビーチ
◆釣りをする豚発見
◆貴重!突撃トンガの昼ご飯
◆現地でのSIM購入方法&速度調査~トンガ編~
◆ホテルもSIMカードもダメ・・・最後の希望はネットカフェ
◆市場にバレーボールが売っているとはWikipediaにも書いてない
◆トンガはワンコの楽園
◆ヌクアロファを歩いて散策してみた件
◆「.to」ドメインがもたらす豊かさ

◆断崖絶壁の穴場!?自然が作り出した絶景スポット”フファンガルペ”

日本から約15時間、ファアモツ国際空港に到着しました。現地の時刻は19時過ぎ。

飛行機を降り、歩いて入国審査に向かいます。到着ゲートは、ゴルフ場のクラブハウス風。

入国手続きを済ませ、タクシーで約40分かけて首都のヌクアロファへ移動。ホテルに到着した頃には、夜も深くなっていたためこのまま就寝しました。

翌日は快晴。さっそく、トンガの絶景ポイントへ向かいます。

ヌクアロファから車で約30分。到着したのは、島の南側にある海岸。波の音は聞こえますが、一見するとただの草原です。

あぜ道を進むと、目の前に直径数10mの”縦穴”が出現しました。

恐る恐る真下を覗いてみるとこんな感じ。かなりの深さがあり、遥か下には水があるようです。

ようやく全貌が見えました。こちらが、絶景ポイントの“フファンガルペ”です。岸壁の一部が波によって削られて、橋のような構造をしていることが分かります。ちなみに、この名称を日本語に訳すと「鳩の門」という意味だそう。見方によっては“門“と表現出来るかもしれません。

別の場所から見ると、崖下に大きな穴が空いていました。この部分から、門の中へ海水が流れて行くようです。

ドローンを飛ばし、フファンガルペを真上から撮影しました。日本では見ることが出来ないダイナミックな光景です。また、この風景を作り出した自然の力というものを再認識しました。なお、フファンガルペは柵などが設置されていないので、訪れる際はご注意ください。

素晴らしい眺めと、少しスリリングな体験が味わえるスポットでした。

 ■フファンガルペの絶景をドローンで撮影

 ■フファンガルペの絶景

Hufangalupe, Tonga

■ファアモツ国際空港の昼間はこんな感じ

Fuaʻamotu International Airport, Tonga◆プライベート感満載の穴場ビーチ

他のポリネシアの島々と同様に、トンガでもリゾートやマリンスポーツを満喫することが出来ます。その中でも、“ハアタフ・ビーチ”は海が美しいことで、サーファーたちにも人気とのこと。

今回は、そんなハアタフ・ビーチ、、の隣にある“カノクポル・ビーチ”へ行ってきました。

鮮やかなハイビスカスがお出迎え。

カノクポルにはヴァカロアビーチリゾートという宿泊施設がありますが、取材時は閑散としていました。さて、さっそくビーチへ。

少し雲が多いのが残念ですが、ビーチの砂も白に近く綺麗です。遠くでシュノーケリングをしている人がいますが、ほとんどプライベートビーチと化しています。

バカンスをしに来た犬を発見。君は一体どこから来たんだ。

日差しが出たら、木陰で一休み。あわてない、あわてない。

海水浴の賑わいは感じられませんでしたが、心身ともにリラックスするには最適の場所でした。のんびりしたバカンスを過ごせると思います。

  ■カノクポル・ビーチをドローンで撮影

なお、カノクポルからほど近い“コロバイ”という地域にはオオコウモリの保護区があります。地図を頼りに着いた空き地には大きな木が1本。周囲には柵がされています。

カメラを徐々にズームしていくと、、、

明らかに木の実ではない物体がいくつか吊り下がっています。こちらが、オオコウモリです。

さらにズーム。すやすや寝ていました。翼を広げると2mほどになるそうですが、普段はフルーツを食べるというギャップ萌え。そのため、“フルーツバット”とも呼ばれているそうです。同じオセアニアでも、パラオなどでは食材として扱われています。しかし、トンガでは神聖な動物とされているため、こういった保護区が設けられています。


◆釣りをする豚発見

トンガタプ島はそれほど広くありませんが、徒歩での観光は困難です。今回は、タクシー運転手のラタさんに協力を得て、島の様々な場所を取材しました。

EPSONのポロシャツが似合うラタさん。写真を撮らせてと言ったら照れてしまうシャイな性格です。

島の南海岸にある“ブローホール”では、岩場にある石灰石の通気孔から海水が吹き上げられていく様子が見れます。吹き上がった水柱は、最高20mまで達するとのことでインパクトがあります。


Mapu 'A Vaea Blowholes, Tonga

東側のニウトウアでは、1200年頃に建造された”ハアモンガ・ア・マウイ”と呼ばれる古代ポリネシアの遺跡を見ることが出来ます。辺りには柵が設置されて、公園のような作り。

残念なことに取材日が日曜だったため、古代遺跡もお休みでした。

トンガに暮らす人々の多くはキリスト教を信仰しており、日曜は「安息日」とされています。そのため、個人商店やレストランなども一部を除いて休業となります。

以前、日本の相撲部屋にもトンガ人の力士たちがいましたが、安息日など文化の違いなどから騒動となったことが思い出されます。

遺跡からほど近い海岸でタクシーが止まりました。ラタさん曰く「フィッシング・ピッグがいるよ」とのこと。とりあえず車を降りると、潮溜まりで何かを漁る犬、、犬じゃない!

正真正銘、釣りをしている豚でした。

付近で”フィッシング・ピッグ”の看板を発見。どうやら、こうして貝や海藻などを採って食べているようです。多くの家で豚を飼育しているトンガでは、普通の光景なのかもしれません。

こうして育っていった豚は、安息日に丸焼きとなって振舞われます。

皮がない部分は味がなく、グニグニとしているので食す際は要注意。



◆貴重!突撃トンガの昼ご飯

都心部から離れると、似たような葉を持つ植物をよく見かけます。

これはヤムイモなど、サトイモ科の植物です。トンガでは、こうした芋類を主食としています。葉も大きく、とても丈夫そう。

道中、一軒の家に到着。当初の予定にはない場所のため困惑していると、「我が家だよ!」とラタさん。この辺りの自由さ、見習いたいところです。タクシーを置いて家に入ってしまいました。

テラスでは、子どもたちが遊んでいます。どうやら、こちらに気づいた様子、、。

襲撃されました。

車内からペットボトルの水を強奪し、この表情!ラタ家の3兄弟なのか、わんぱく奇天烈キッズ集団。

それとなく岡村隆史さんに似ている気がしたため”岡村くん”と呼んでみると、『オカムラ!オカムラッ!』と笑い転げる男の子。日本の挨拶として認識されてしまったかもしれません。なお、日本という国は知らないようでした。

普段からやんちゃに付き合わされているのか、飼い犬の顔からは疲れが。

そうこうしている間にラタさんが戻ってきて、自宅のランチに招いてくれました。

この日のランチは3品。まずは、きゅうりのスライス。味付けはされていませんが、青臭さはあまり感じませんでした。子どもたちは顔に貼り付けて遊んでいたので、そもそもきゅうりパックである可能性も捨て切れません。

続いては、塩漬けにした豚肉をヤムイモの葉で包んだ蒸し料理です。オセアニア地域では“ウム”と呼ばれる伝統的な蒸し料理法があり、このメニューにはそういった起源を感じることが出来ます。シンプルな料理ではありますが、豚肉の旨みや柔らかさを味わえました。

最後は、地元で採れた貝を使ったクリームチャウダー。ココナッツミルクが使われているのが特徴的で、エスニック料理にも通じる味です。付け合わせは蒸したヤムイモで、チャウダーにつけて食べるのがラタ家流。ヤムイモには、後からほんのり甘みを感じられる素朴さがあります。

追加で出てきたのは、タロイモのマッシュ。白米よりも早くお腹が膨れていくのが分かります。ご馳走様でした。

ラタさんの協力により、島の様々なスポットを巡ることが出来き、本当の家庭料理を味わえた貴重な体験となりました。

ラタさんと、そのご家族に感謝。


◆現地でのSIM購入方法&速度調査~トンガ編~

海外用のWiFiレンタルサービスが増えてきていますが、場所によってはカバーされていない区域もあります。そういった時は、現地のSIMを購入するという手段があります。今回はトンガにて調査をしてみました。

トンガでは”Digicel”と”UCall”という通信会社がポピュラーなようで、どちらもファアモツ国際空港で購入出来ます。今回は、以前のサモア編でも調査を行ったDigicelを試してみました。

Digicelは街中にも大きな店舗があります。

購入したのは、1週間で500MB使えるプラン。5トンガドルでした(約280円)。

SIMを取り出してスマートフォンに挿したら、裏面の手順にしたがって設定を行います。

SIM挿入後に”122”番に電話をかけてアクティベーションしないといけないのが少し面倒です。

さっそく、ヌクアロファ(首都)にて使ってみます。かなりのスピード感で、検索などには問題ありません。実際に、インターネット回線の速度テストサイトで計測してみます。

6.9Mbpsと、まずまずな速度です。サモアの時よりもスピードが出ていました。しかし、場所を変えて見ると、、、

どうしたことか、急激な速度低下が発生して利用できない状態へと変貌しました。その後も同じような状況が続き、快適に利用することが難しい状態でした。

結果的に、Digicelは場所によっては繋がらなくなってしまう不安定さがあります。もしかすると、試すことが出来なかったUCallのほうが快適かもしれません。ぜひ、お試しください。


◆ホテルもSIMカードもダメ・・・最後の希望はネットカフェ

現地のSIMカードは思うように使えず、WiFiありのホテルに宿泊してもインターネットは使えず、すっかりネット難民となってしまいました。そんな時、ヌクアロファにインターネットが利用出来るカフェを発見。藁にもすがる思いで、早朝から行ってみました。

こちらの”Friends Cafe”で、無料WiFiが利用出来るようです。

店内は落ち着きのある色のインテリアで統一されており、どこかヨーロッパに来たかのような雰囲気もあります。お店の奥には、トンガのお土産が並ぶコーナーも設置されていました。

せっかくなので、朝食を頼むことにしました。ちなみに、メニューの上部に書かれた”MALO ‘E LELEI(マロエレレイ)”とは、トンガ語で「こんにちは」という意味。オーダーも無事完了し、食事しながらのネットサーフィンに期待が高まります。

さっそく運ばれてきた”カフェラテ”は、レギュラーサイズで5トンガドル(約280円)。専用マシンによって抽出する香ばしいエスプレッソと、フォームドミルクの相性の良さは万国共通です。

続いては、朝食プレート。目玉焼き2つに、オリーブオイルを塗ったチャバッタのトースト付きで13トンガドル(約730円)でした。チャバッタはイタリア発祥のパンだそうで、メニューへのこだわりも感じられます。朝食が揃い、いよいよインターネット接続の儀式へ。店員さんに「WiFiを使いたいのですが」と聞くと、一枚のレシートをくれました。

レシートには、ユーザー名など接続情報が書かれています。スマートフォンの設定から対象のESSIDを選択しパスワードを入力、、、なぜか繋がりません。よく見ると、この接続情報は2018年4月11日から61日間有効との記載を発見。すでに有効期限が過ぎています。

店員さんにその旨を伝えると、期限内のレシートが出てきました。しかしながら、それでも接続が出来ません。結局、その後もインターネットは使えず、、。探せど探せど、なお我がネットサーフィン楽にならざり、じっとスマホを見る。

なお、Friends Cafeは月曜から土曜の朝7時~22時まで営業しています。ネット難民に関わらず、一息つきたいときにはぴったりなお店です。早朝から美味しい朝食を取り、穏やかな朝を堪能しました。


◆市場にバレーボールが売っているとはWikipediaにも書いてない

タラマフ・マーケット(市場)は、月曜日の朝から始まります。ここは、青果を専門に販売しており、地産の野菜などを購入することが出来ます。

主食となる芋類。細い方は、日本の長芋にそっくりです。

色鮮やかな唐辛子や、ズッキーニよりも大きなきゅうり。

白菜は1つ日本円で約170円。キャベツも立派です。

見慣れたサイズの野菜たちも売られていました。ナス(束で)も、日本円で約170円。

市場の一角に売られていたカボチャ。トンガではカボチャを食べる習慣がなかったそうですが、気候が栽培に適していると考えた日本企業が種を持ち込んだことがきっかけで広まったそうです。Wikipediaによると”現在はカボチャの輸出がトンガ経済の柱”なんだとか。スーパーマーケットで見かけた際は、原産地もチェックしてみてください。

トンガで栽培されているかは分かりませんが、リンゴやオレンジなどのフルーツも売られています。場外には、好きなフルーツをジュースにしてくれるお店があります。

民芸品コーナー。お土産を買う場所としても良さそうです。

ミ☆サを思い出すバレーボールを発見。離島にて、無性にトスを上げたくなっても心配ありません。

洋服屋まで完備。カボチャの件に引き続き、Wikipediaには“トンガの婦人靴の最小サイズは26cm”との記載があります。しかしながら、実際には様々なサイズの靴が売られていました。サンダルの品揃えが良いのは、ポリネシア流かもしれません。

タラマフは肉や魚は売られていないものの、日用品はだいたい揃ってしまう素敵な市場でした。観光の空き時間に、立ち寄ってはいかがでしょうか。


◆トンガはワンコの楽園

ペットが逃げてしまったのか、それともフリースタイルな飼育方法なのか、島の至る所で犬を見かけます。その遭遇率は、これまで取材した6島の中でもトップ。たくましく暮らす犬たちの様子を少しお届けします。

最初は、ビーチに佇むわんこ。

道路横断わんこ。

子わんこ。

最後は、黄昏わんこ。町中では道路に犬が飛び出してくることがしばしばあります。また、夜道で出会うとお互いに緊張感が漂うので、お気をつけください。

◆ヌクアロファを歩いて散策してみた件

天気が良く、心地よい朝。しばしヌクアロファを歩いてみることにしました。

サロート通り。住宅が多く閑静です(犬の鳴き声は聞こえます)。

トンガ国立準備銀行にて、日本の国旗を発見。この建物の中に、在トンガ日本国大使館があるようです。しかし、銀行ということもあり警備がかなり厳重そうだったので、サモアのように取材することは叶わず。

南国らしく、椰子(ヤシ)の木が多く見られます。しかし、天気が良くても肌寒く、長袖の上着が手放せません。


”American Wharf”と呼ばれる埠頭へ。先端には、若いカップルや1人で音楽を聴いている人など様々。この辺りに住む人にとっては、憩いのスポットなのかもしれません。


海水の透明度が素晴らしく、泳いでいる魚を見ることも出来ます。


タカウノープ通りにて。大きなパラボラアンテナが置いております。アレシボ天文台と交信中かも。

プチ・アレシボからほど近くに、”A.Cowley & Sons”というパン屋を発見。看板には「王国のためのパン」とも書かれており、とても気になります。

入店してみると、地元の人を始め、観光や仕事で来たような外国の方が多く買いに来ていました。

ウィンドウには、手作りのサンドウィッチやパイが並んでいます。


ドーナツやマフィンなど、スイーツ系も充実。

悩んだ結果、アールグレイのマフィンとベリーのタルトを購入。マフィンはしっとりした生地で重みがあります。タルトは小さいながらもベリーのソースが沢山つまっており、食べ応えが抜群。どちらもかなり甘いのは、国王のお好みなのかもしれません。2つ合わせて、3.5トンガドルでした(約200円)。


日曜日に営業している数少ないレストランの1つ“Kimiko Chinese Restaurant”は、ヴナ通りにあります。営業時間前に行くと廃墟感が漂っていました。

営業時は、ウィンドウに出ている料理を購入したり、レジ前のメニューから注文することが可能。気になったチャーハンと焼きそば、それから謎の揚げ物を頼んでみます。

チャーハンは、ドメイン島巡りの定番メニューと表現しても過言ではありません(約280円)。

オイスターソースを使っていると思われる焼きそばですが、油分が多く、人によっては苦戦必至です(約450円)。

こちらが謎の揚げ物。口にしてみると、ソーセージの周りに衣が付けられており、アメリカンドッグ的な食べ物であることが判明しました。店員さんがかけてくれるケチャップの量も絶妙です(1本あたり約60円)。

毎日朝9時から21時までの営業ということで、安息日に旅程が重なった場合でも問題ありません。ただ、1回行ったら満足してしまったので、滞在中に再び訪れることはありませんでした。

この他にもドアノブが存在しない車や、営業しているか不明なDVDショップなども見ることができました。日用品が売られているお店も幾つかありますが、品揃えは殆ど同じでした。

沢山の見所があるトンガですが、首都を歩いてみるだけでも様々な発見や出会いがありました。

 

◆「.to」ドメインがもたらす豊かさ

 

現地を取材してみると、「.to」ドメインはスパや、地域の航空会社など、訪れる人を持て成すサービスを提供している企業でよく使われていました。

リラクゼーションスパの手書き看板に。

“本当のトンガ”と銘打たれた航空会社のドメイン名。

ドメインは旧来の”インターネットにおける住所”という存在から、あるコンテンツやサービスを象徴する“名刺”のような存在へと変革しています。日本では前者の認識が多いかもしれませんが、トンガのように自分たちのサービスや文化について発信するための強い相棒としてドメインがさらに使われていくと良いなと思います。

ポリネシア唯一の王国であるトンガ。そこに暮らす人々の温かさや心意気に魅了された取材となりました。

 


 

■ 今回訪れた場所

 

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