世界を脅かしたHARP計画と、いきなりフリーメイソンがあるバルバドス

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片道40時間をかけてツバルに行ったり、旅行記がほぼ皆無のアメリカ領サモアに行ってしまうドメイン島巡り、第13回目はバルバドスです。ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)  は「.bb」です。なお、本文内のドル表記は一部を除いてバルバドス・ドルとなります。

◆バルバドス、どこにある?

カリブ海の小アンティル諸島南部にある島国。島の南西にはグレナダとトリニダード・トバゴがあります。イギリス連邦に加盟する英連邦王国の1つです。

= 目次 =

◆サンゴ礁に囲まれたバルバドス島

◆世界でたったひとつしかない?両替博物館

◆ガイドブックにも載っていないフリーメイソンの博物館が突如出現

◆すぐに見つかるリアーナの生家

◆地元の人に聞いても見つからない全長40mの人工衛星発射台

◆ドルフィンを食べてしまった

◆バルバドス発日本未上陸のファーストフード

◆「.bb」ドメインのレジストリに行ってみた

◆現地でのSIM購入方法&速度調査  ~バルバドス編~

◆ラム酒発祥の地で飲むラム酒


◆サンゴ礁に囲まれたバルバドス島

島自体がサンゴ礁に囲まれたバルバドスには、多くのビーチがあります。首都ブリッジタウンにあるのは、ブラウンズ・ビーチ

海辺を散歩する人、マリンアクティビティを楽しむ人を見ながら歩いていると、パイレーツ・コーブ(海賊の入り江)というカフェを見つけました。

敷地内で、日本の観光地によくある「顔出し(顔ハメ)看板」を発見。赤字で書いてある「JOLLY ROGER」とは海賊旗を表しています。緩いタッチの絵ですが、どうしても顔を出したくなるのは日本人の性でしょうか。

360°カメラの画像はこちら。

ブラウンズ・ビーチ(バルバドス) – Spherical Image – RICOH THETA


◆世界でたったひとつしかない?両替博物館

ブリッジタウンで非常に珍しい博物館を見つけました。両替博物館です。世界でも恐らくバルバドスにしかない、名称に「両替」がついた博物館です。 1階の受付で入館料20ドル(約1,100円)を支払い、階段で2階へ上がります。

館内はとても明るく、世界の紙幣や硬貨、バルバドスの貿易の歴史などが展示されています。

残念ながら日本円はありませんでした。また、ここでは両替は受け付けておりません。

各国の記念硬貨。博物館内では販売されていませんが、向かいにあるセントラル・バンクにて購入できます。

せっかくなので記念硬貨を1枚購入。バルバドスでポピュラーなクリケットの選手がデザインされています。5USドル硬貨ですが、販売価格は300USドル(約33,000円)。1枚しか購入しないのに30分程かかりましたが、良い記念になりました。ちなみに、「.cricket」というクリケットを表すドメインも存在します。


◆ガイドブックにも載っていないフリーメイソンの博物館が突如出現

両替博物館の3階に上がると、雰囲気が一変。突然、なにやら怪しい空間に。。。もう、そこが両替博物館ではないことがひと目でわかりました。なんと、3階に小規模なフリーメイソン博物館が現れたのです。

フリーメイソンは、16世紀後半から17世紀初頭を起源とする友愛結社で、フィクションの世界では”秘密結社”とも表現されている、謎の多い組織。歴史的にも貴族や政治家などの権力者をはじめとする社会的地位のある会員が多く、日本では、高須クリニックの高須院長が会員であることを公言しています。

「フリーメイソン=得体の知れない恐怖の団体」程度の知識しか持ち合わせていないため、突然の出来事に動揺を隠せません。関係者以外もOKとのことですが、慎重に進みます。どうやら、バルバドスのフリーメイソンは国内で最も古い組織の1つのようです。その歴史について展示しています。

グランド・ロッジ(本部)の一部を再現しているスペースもありました。

両替博物館の案内に、フリーメイソン博物館がある事など一切書かれていません。しかし、博物館の入り口をご覧ください。球体を乗せた柱が2本並び、ピラミッドも置かれています。

フリーメイソンのシンボルマークそのものだと思いませんか?この博物館自体が秘密結社だったのかもしれません。信じるか信じないかはあなた次第です。


◆すぐに見つかるリアーナの生家

バルバドス出身の超有名人と言えば、リアーナ。アルバムとシングルは全世界で2億5000万以上を売り上げ、「グラミー賞」を9回受賞(33回ノミネート)、女優やモデルとしても活躍中であるリアーナの生家は、ブリッジタウンですぐに見つけることができました。リアーナが住んでいた家として観光客が多く訪れ、家の前の道路は「RIHANNA DRIVE」(リアーナ街道)と名付けられています。

RIHANNA DRIVEにあるモニュメント。地元出身のスーパースターであり、誇りであることが刻まれています。ファンにとっては最高の聖地ですね。

リアーナの生家を離れ、ギャリソン・サバンナに着きました。ここは競馬場です。英連邦王国の1つであることから、イギリスの文化が根付いています。我々が訪れたのは木曜日。レースが開催される週末とは違い、静まり返っていました。

早朝、競馬場近くにあるビーチで、厩舎から連れ出された馬が水浴びしている光景を見ることができます。

顔ギリギリの深さまで行った馬も無事帰ってきました。厩舎のお兄さんの元を離れた馬達は、頭が隠れる深さまで潜ります。溺れてしまうのではないかと心配になりました。

厩舎のお兄さんと一緒にいるところを1枚。撮影後、御礼を告げると、寄付を要求されたので1ドルをあげました。先ほどの水浴びしている馬の撮影については何も言われませんでしたが、撮影する際はチップを渡すつもりでいた方が良いかもしれません。


◆地元の人に聞いても見つからない全長40mの人工衛星発射台

1960年代、カナダ人の科学者ジェラルド・ブル氏は、アメリカやカナダの国防省と共同で、バルバドスに全長40mの人工衛星発射台を建設しました。これは、人工衛星の打ち上げ手段の模索を目的とした全長40mにもなる大砲です。この計画は”HARP(High AltitudeResearch Project)”と呼ばれ、重量82kgの砲弾を宇宙空間に打ち上げることに成功しましたが、1968年に計画は中止となりました。

その残骸が現在でも残されているという情報を聞きつけ、実際に現地にて探してみることに。Googleマップでの検索結果と、タクシードライバーの話を合わせて訪れたのは、グラントリー・アダムス空港近くのロックホール地区。

なにしろ全長40mの大砲です。見つからない訳がありません。しかし、なかなか見つからないので、近隣住民の方々に大砲の場所を聞くと、『知ってる(でも詳細は知らない)』、『この先にある』『発射したときの騒音がうるさかった』など、有力な情報が一向に出てきません。この先にあるとしても、草木が生い茂っており、軽装で進むにはかなり厳しい状況。そうこうしていると『今は警察や軍が管理しているから、空港近くの警察署へ行ってみてはどうか』というアドバイスを頂き、向かってみることに。

その警察署がある場所は、グラントリー・アダムス空港があるチャーノックス地区。到着した頃には夕暮れに。

かなり古めかしい建物を発見。人の気配もありません。いきなりフリーメイソン博物館が現れたりするバルバドスなので、もう何があっても不思議ではありません。

近づいてみると、そこは廃墟でした。

複数のモニターや機材等が散乱しています。棚には、使用当時から置きっぱなしのような物も。コンセントに差したままのプラグもありました。

もしかしたら、この廃墟はHARP指令室かもしれません。だとすれば、全長40mの大砲はすぐそこ!!と考えましたが、先ほどのロックホール地区と同じように、生い茂った草木が軽装で来てしまった我々の行く手を阻みます。

廃墟に気を取られていたら、いよいよ夜の帳が下りはじめ、足元が見づらくなってきました。スケジュールの都合上、これ以上の時間を割けないこともあり、無念ではありますが、ここで全長40mの人工衛星発射台の捜索は打ち切りです。結局、Googleマップの情報が正しくなかったことが、大幅な時間のロスの原因でした。Googleマップに表示されたロックホール地区のHARP計画跡地は住宅。誤った情報が設定されていますが、正確な場所を知られると困ることでもあるのでしょうか・・・?

HARP計画の中心人物であったブル博士は、その後も他の国で兵器開発などに携わりましたが、1990年に何者かによって暗殺されています。犯人は現在も特定されていないそうです。それらの謎や計画の残骸は、空港近くにある警察署や軍の施設にあるのでしょうか。わが隊の隊長(社長)は、この結果に全く満足しておらず、必ずやリベンジをする決意を固めていました。


◆ドルフィンを食べてしまった

カリブ海では、魚を使った料理が数多くあります。バルバドスならではの魚料理を見つけるため、“オイスティンズ魚市場”を訪れました。看板と名称が違うところが若干気になります。

水揚げされた魚を購入するだけではなく、場外にはレストランが併設されています。

席についてメニューを見ると、“Dolphin(ドルフィン)”という単語が目に入りました。「ドルフィン・・・?」ドルフィンについて必死に思考を働かせましたが、あの愛くるしいイルカ以外の答えが見当たりません。だいぶ気が引けたのですが、こういった経験もないため注文してみることに。価格は30ドル(約1,600円)。

料理を待つ間に、地ビール“Banks”と“DEPUTY”をいただきます。どちらもラガービールで、とても飲みやすいです。

いよいよ料理がやってきました。こちらがドルフィンのフライです。見た目はフライドチキン。

味わいは淡白で、身の詰まった白身魚です。臭みもなく、スパイシーな味付けで食が進みます。結果的に残ったのは、愛くるしいドルフィンを食べてしまったことへの罪悪感のみ。しかし、バルバドスでは“シイラ”のことをドルフィンと呼んでいるそうです。ハワイではシイラのことをマヒマヒと呼んでいますね。つまり、このフライはイルカではありません。安心しました。

かわいいお魚が大きくジャンプして、お見送りしてくれました。この光っているお魚は魚市場があることを表すマークです。夜は光ります。


◆バルバドス発日本未上陸のファーストフード

バルバドスには、マクドナルドもロッテリアもモスバーガーもバーガーキングもありません。その替わり、“シェフェッテ” という、日本未上陸のファーストフードチェーン店があります。ブリッジタウンの中心地やグラントリー・アダムス空港内にも出店している、かなりの人気店です。

注文する時はこのように並びます。ハンバーガーだけではなくピザやロティなどもありました。

移動中にタクシードライバーが『シェフェッテのベジタブルバーガーが世界一うまい!!』と教えてくれたので、世界一うまいベジタブルバーガーを注文。予想よりもずっしりとした重みを感じます。

パティは完全に肉に見えますが、すべて野菜で作られているそうです。味わいは肉に近く、かなり満足することが出来ました。世界一かどうかは別として、確かに食べてみる価値はあります。価格は、8.7ドル(約470円)でした。

さらに、フライドチキンやラムレーズンを使ったアイスクリームなども食べてみましたが、どれも美味しかったです。バルバドスへ来た際は、ぜひご賞味ください。


◆「.bb」ドメインのレジストリに行ってみた

街で「.bb」を探しながら、レジストリへ向かいます。幸先よく、労働党が「.org.bb」を使用しているのを発見。

保険会社のメールアドレスや、家電量販店では「.bb」ドメインが使われています。

消火器と間違えた郵便ポストと、バルバドスで一番大きなマーケットという名前の小さなスーパーでは、「.bb」ドメインを見つけることはできませんでした。

.bb」を運営するレジストリ“Division of Energy and Telecommunications”に到着。政府関連機関が入っているビジネスセンターの中にあります。

政府機関であるため、担当者や建物内の撮影は禁止されています。担当者は、高額な「.bb」に対する日本のユーザーの印象を気にされていました。値段もさることながら、その登録要件が厳しいこと(現地住所かドメイン名と一致する国際商標が必要)も取得を難しくしている要因であることを伝えました。「.bb」はカナダのスマートフォン「BlackBerry(ブラックベリー)」の略としてポピュラーになっていた時期もありましたが、BlackBerryが失速して残念、といったコメントもありました。

最後に日本人に向けて、『バルバドスは天候も素晴らしく、親切な人ばかりの良い場所ですよ』というメッセージを頂きました。


◆現地でのSIM購入方法&速度調査  ~バルバドス編~

海外用のWiFiレンタルサービスが増えてきていますが、場所によってはカバーされていない区域もあります。このような場合、現地のSIMを購入するという手段があります。バルバドスでは”Digicel”と”FLOW”という通信会社がポピュラーです。今回は、Digicelを試してみます。

購入したのは、1日間で500MBが利用できるプラン。価格は、25ドル(約1,300円)。

アクティベーション後、速度テストサイトで計測してみると、110Mbpsという結果が出ました。 過去にドメイン島巡りで訪れた島の中では、かなり速い数値です。

再び場所を変えて計測をすると、170Mbps。街中でも快適に利用することができます。


◆ラム酒発祥の地で飲むラム酒

サトウキビの糖蜜などを原料として作られる蒸留酒は“ラム”(Rum)と呼ばれ、その発祥の地はバルバドスとされています。数あるブランドの中でも、1703年に創業した世界最古のラム蒸留所としても知られているのが、“マウントゲイ(Mount Gay)”です。

そんな由緒ある蒸留所でテイスティングツアーが行われているということで、参加してみました。

ツアー開始前、まずはウェルカム・ラムパンチが登場。ラムパンチは、ラム酒にフルーツやスパイスを漬け込んだものを言うようですが、これはフルーツジュースと割ってあるようなお味がします。

参加者がほろ酔いとなった頃、女性ガイドによる解説が始まりました。酔いが回る中で、ラム酒やマウントゲイの歴史を学びます。ミニシアターもありました。ちなみにお酒のラム(Rum)はフランス語、子羊の肉のラム(Lamb)は英語です。

謎の黒い液体が付着した木の棒が手渡されました。どうやら、テイスティングを勧めてくれています。恐る恐る口に入れると、黒蜜の味がしました。これこそが、ラム酒の原料となるサトウキビの糖蜜なのです。

こちらは、かつて使用していた蒸留釡。蒸留を複数回繰り返すことで、アルコール度数が40~50%まで高くなるそうです。現地ではこれを“キル・デビル(悪魔殺し)”と呼んでいました。この釜は、悪魔さえも殺してしまうのです。

さあいよいよメインイベント。各銘柄のテイスティング開始です。但し、限定ボトルは除きます。残念。

バニラの香りを彷彿とするものやバナナを思わせる風味など、ラム酒の違いを存分に楽しめます。熟成させる年数によって、かなり好みが分かれそうな味。

ツアー終了後は、蒸留所に併設されたバーで限定のラム酒や、カクテルなどを注文可能。小さめのボトルも販売されているので、お土産にも最適です。

このツアーは1日に複数回開催されています。参加費用は1人あたり20USドル(約2,200円)。予約なしでの当日参加も問題ないようですが、どうしても行きたかった我々は、ホームページより事前予約をして臨みました。

 


 

■ 今回訪れた場所

 

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