ナポレオンが流されただけじゃない!Googleが海底ケーブルを敷設するセントヘレナ島は187歳のゾウガメがいて心霊スポットも充実していた

イギリスの海外領土であるセントヘレナ島は、フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが生涯を終えるまで幽閉された流刑の島として知られています。最近では、Google社によって最新テクノロジーの海底ケーブルが敷設されることが発表され、話題になりました。アセンション島でワン切り国際電話の調査を試みようとしたドメイン探検隊は、あなたも知らないセントヘレナ島の魅力を探ってきました。
セントヘレナ島に割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.sh」です。

◆セントヘレナ島はどこにあるのか?

セントヘレナ (Saint Helena) は、南大西洋に浮かぶイギリス領の火山島でアフリカ大陸西岸から2,800km離れた場所にある火山島。面積はわずか122平方キロメートル。「絶海の狐島」と呼ばれています。人口は約4,500人。行政上はイギリスの海外領土セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャに属する一区域で、公用語は英語です。通貨は「セントヘレナポンド(SHP)」ですが、「英ポンド」も問題なく使用できます。本文内のポンド表記は全て英ポンド。1ポンドは、およそ141円(2019年12月現在)です。


= 目次 =

◆ヨハネスブルグで大ピンチ

◆途中で給油して「世界で最も使えない空港」に到着

◆閉館日でも入れる?!ナポレオン邸とジェイコブズラダー

◆Googleが主導して敷設する海底ケーブルの予定地と噂される場所を発見!!

◆心霊スポットが充実しているセントヘレナ島

◆187歳(天保12年生まれ)のゾウガメ「ジョナサン」に会いたい

◆90歳を超えて初めて日本人に会ったおばあちゃん~セントヘレナ島いろいろ~

◆セントヘレナ島の食事事情

◆現地でのSIM購入&速度調査~セントヘレナ編~

 


◆ヨハネスブルグで大ピンチ

日本からは、シンガポール、ヨハネスブルグを経由してセントヘレナ島へ向かいます。以前は南アフリカのケープタウン~セントヘレナ間を、英郵便事業会社ロイヤルメールの時速15ノット(28キロ)の船で4泊5日かけて行く海路しかなく、運航も月に1回程度でしたが、2017年10月よりヨハネスブルグ空港からエアリンク社の定期航空便が週1回運航するようになりました。

ヨハネスブルグまでは滞りなく順調でした。しかし、セントヘレナ島に向けて出発する時、ヨハネスブルグO.R.タンボ国際空港で問題が発生しました。セントヘレナ島に渡航する際、海外旅行傷害保険に加入していることが義務化されています。我々が持参しているクレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯しているので、クレジットカードを提示したところ、チェックインカウンターの女性は「証明書を見せてください」と、カードを無視しました。懸命に英語で説明を試みますが、受付の女性は厳しい表情のまま。「証明書が無いとチェックインできません」の一点張りです。

このままではどうしようもないので、クレジットカードの補償費用が書かれたサイトを見せたところ、ようやくOKが出ました!受付担当者にもよるとは思いますが、念のため外国語で書かれた保険の加入証明書(付保証明書)をプリントアウトしておくことをおすすめします。空港内のインターネット接続環境(wifi)は快適でした。

やっとセントヘレナ島行きの飛行機の搭乗口に辿り着きました。無事に間に合いました。ちなみに、ヨハネスブルグには都市名ドメイン「.joburg」があります。

 


◆途中で給油して「世界で最も使えない空港」に到着

ヨハネスブルグを出発して2時間。飛行機は給油のため、砂漠の真ん中にあるナミビアのウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港に立ち寄りました。

着陸すると、機体のハッチが開きました。これからタラップがつけられます。辺り一面砂漠の空港に降りられるなんて!胸が高鳴ります。

客室乗務員より「降りることはできませんよ」と言われてしまいました。着々と給油が続きます。結局、約1時間の給油タイム。ちなみに、ナミビアに割り当てられているccTLDは「.na」です。

ウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港を出発して1時間15分後、セントヘレナ国際空港に到着です。2017年にできたばかりということもあって、近代的で立派な空港。

入国税20ポンド(約2,800円)を支払い、入国です。入国スタンプは鳥、出国スタンプは亀。可愛いですね。この島には世界最高齢のゾウガメ「ジョナサン」がいるのです。入国税は、ユーロ、アメリカドル、南アフリカランドでも支払い可能でした。居住者用審査ラインは混雑しているものの、ビジターラインはガラガラ。観光客は多くないようです。

空港内の売店には、お土産用のマグカップ、コーヒー、チョコレートなどが売っています。お土産を全く売っていないアセンション島の空港とは大違い。スナックやジュースなどもあって普通の空港と変わりません。何を以て「世界で最も使えない空港」と言われるのでしょうか?それは、空港の総工費2億8500万ポンド(約406億円)で工期が5年かかり、2016年開港予定が、記念式典開催日の数週間前になって風が強すぎて離着陸が想定以上に難しいことが判明して、試験飛行と再検討に1年以上かけた末、航空機を当初計画のボーイング(Boeing)737型機からエンブラエル190型機に変更することでようやく定期便就航にこぎつけた経緯が原因のようです。※参考 AFP

 


◆閉館日でも入れる?!のナポレオン邸とジェイコブズラダー

フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが幽閉された流刑の島として知られるセントヘレナ島。そのナポレオンの邸宅「ロングウッドハウス」は、この島の最も有名な観光名所と言って良いでしょう。観光名所や、行ってみたい気になるスポットには、御年79歳のベテランガイドのラリージョンソンさんが連れて行ってくれます。ラリーさんへ支払うガイド料金は、2日間で200ポンド(約28,000円、2名分、空港送迎、チップ代込み)でした。それでは、旅行番組で何度となく取り上げられているロングウッドハウスに行ってみましょう。

空港周辺は火山島だけあって壮大な岩場が広がっています。

だんだん草木が増えてきました。

空港から車で15キロ程の所で、島で一番大きな町であるジェームズタウンが見えてきました。人口は600人程度で高さ150mの谷に囲まれた狭い土地に築かれている町です。

1815年にセントヘレナ島に流されたナポレオンが6年後に死を迎えるまで暮らしたロングウッドハウスに到着。ナポレオンの息吹を感じることができると思うとドキドキします、が、開いてませんでした。我々が訪れたのは週末なのに、なんと閉館しているのです。

ヨハネスブルグでのピンチを乗り越えてやってきた我々です。そう簡単に諦めません。ラリーさんに相談したところ、150ポンド(約21,000円)を支払うと特別に公開してもらえることが判明しました!150ポンドは固定で、参加人数で割ります。なので、2名の場合は1人あたり75ポンドとなります。通常は平日の11時から13時のみオープン、入場料は1名10ポンド(約1,400円)です。

残念ながら建物内は写真撮影不可。ナポレオンが好んで使っていた野戦用ベッドや朝風呂のための湯船もそのまま残っていました。庭の撮影はOK。現在はフランス外務省の管理下にあるため、手入れが行き届いた綺麗な庭園でした。

ナポレオンハウス(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

ロングウッドハウスのギフトショップでポストカードを購入。その場から日本に送ったところ、24日後に日本に届きました。

来館者ノートを発見。日本人は我々の他に数人のみ。やはりこの絶海の孤島まで訪れる人は少数なのかもしれません。

ちなみに、ナポレオンがセントヘレナで着用していたブーツは、パリで開催されたオークションにて117,000ユーロ(約1,411万円)で落札されました。

 

ロングウッドハウスの次にメジャーな観光名所と言えば、ジェイコブズラダーではないでしょうか。ジェイコブズラダーとは、699段ある全高183メートルの階段です。1829年に鉄道事業者により傾斜面索道として建設された後、物資を持ち上げる目的で、1871年に王立工兵軍団によって階段として再建されました。

ジェイコブズラダーを登るのであれば隣にあるセントヘレナ博物館で、登頂証明書を発行してもらうことができます。発行料金は2名分で5ポンド(約700円)。後日、証明書は日本に送ってくれるとのこと。証明書発行料金の他に、博物館の入館料金が必要です。金額は寄付制。我々は2名分で10ポンド(約1,400円)を支払いました。18世紀後半の発電所の建物を利用した博物館は、2002年にオープン。昔の軍服、帽子、刀等の貴重な資料が展示されており、島の歴史を今に伝えています。

登頂証明書発行手続きを終え、いよいよ699段の階段に挑みます。ドメイン島巡りで鍛えた脚力で、10分以内の登頂を目指します。

登ってからしばらくして下を見ると足がすくむ高さでした。これ以降は怖くて写真を取れなくなりました。高所恐怖症の方には、おすすめしないスポットです。

ジェイコブズラダーの頂上からは、ジェームズタウンの街並みがはるか遠くに見えます。699段を登り切ったあとに待っていたのは絶景です。結局、登頂には15分くらい掛かってしまいました。

Jacob’s Ladder(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

ラリーさんは先に頂上まで車で行って待っていてくれました。

なお、登頂証明書は登頂から約5週間後に届きました。

 


◆Googleが主導して敷設する海底ケーブルの予定地と噂される場所を発見!!

Google主導の海底ケーブルを敷設するプロジェクト「Equiano」を、セントヘレナ政府が招致したニュースが話題になりました。ニュースでは、このビッグプロジェクトの敷設予定地にまで触れていません。現地の方に聞いたところ、その場所はサンディーベイにあるとの噂です。行ってみましょう。

山を越え谷を越え、を繰り返します。

コーヒーを栽培している一帯を通り過ぎると、

道がどんどん悪くなっていきます。

あまりの悪路のため、ここから先はラリーさんの普通乗用車クラスでの進入は不可能とのことで、ここで車を降りることになりました。歩いてサンディーベイを目指します。

15分程歩くと、噂のサンディーベイに到着。

ビーチを散策していると、ケーブルらしき物が?!

これは、ケーブルではなく何かに使われていたホースのような物でした。

謎の漂流物を発見。

まだそれらしき施設は何もない、ただの砂浜ではありますが、現地の方々曰くここに海底ケーブルが敷設されるのではないか、という噂の場所です。将来的には、セントヘレナ島を経由して南太平洋を横断する海底ケーブル網が整備される「ミッドアトランティック・ケーブルハブ」構想があるとも言われています。

Google海底ケーブル予定地(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

 


◆心霊スポットが充実しているセントヘレナ島

地図を見ていると、普段地図上では見慣れないワードを発見しました。それは「お化け屋敷」です。

ラリーさんは「この場所はよく知らないけど、島には ホーンテッドハウス(幽霊屋敷)がいくつかあるから他の所に連れてってあげるよ」と言って、「Haunted House Of Oaklands Tour」へ行くことになりました。

行くことが決まったのは夕食後だったので、真っ暗な中を向かいます。

ホーンテッドハウスに到着。料金は20イギリスポンド(約2,800円)とお高めです。

中に入るとホストのフィリップマーキュリーさんがお出迎えしてくれました。フィリップさんは、聞き取りづらい癖のある英語で、この屋敷に伝わる怖い話をしてくれます。変な匂いがして不気味な雰囲気だったのでとても怖く感じましたが、屋敷へと向かう道中が一番怖かったです。

セントヘレナ島には、他にもピリングスクールやシャイロード、アラームハウス、187歳のゾウガメ「ジョナサン」が住むプランテーションハウスなどなど、幽霊が出るという噂のスポットがあります。約45分程度の滞在を終え、帰りはライトアップされたジェイコブズラダーを見てホテルに戻りました。夜に登ったらもっと怖そうですね。

 


◆187歳(天保12年生まれ)のゾウガメ「ジョナサン」に会いたい

こんなに高齢なのに、実は日本ではほとんど知られていないジョナサン。ナポレオンも唸ったという香り高い味のコーヒーを飲み、朝食を美味しく頂き対面に備えます。それにしてもなんて美味しいコーヒーなのでしょう!こんなコーヒーが毎日飲めるなら、流されてもいいかな?と思わせる味でした。

ジョナサンに会う前に、標高584メートルの小高い山の上にあるハイノールフォートに行ってみます。1799年にイギリス軍がフランス軍の侵入を防ぐために建設され、2010年に観光者向けにリニューアルオープンしました。

そして、いよいよジョナサンのいるプランテーションハウスです。世界最高齢のゾウガメはすぐそこ、なのですが、またしても閉園日。メインゲートは開いていますが閉園。「週末なので閉園」という現実に愕然としました。

でもジョナサンに会いたい!その一心で、ラリーさんに相談すると「外から見られるかもしれないよ」と言って、その場所まで連れて行ってくれました。

いました!世界最高齢187歳のゾウガメ、ジョナサンが!

動いてます!もっと近くで会いたかったのですが、閉園中なので仕方ありません。187歳ということは、1841年生まれ。日本で言えば天保12年。お目にかかれて光栄でした。

 


◆90歳を超えて初めて日本人に会ったおばあちゃん~セントヘレナ島いろいろ~

ジェームズタウンを歩いていると

ラリーさんのお友達に会いました。左端の女性はなんと90歳超えているそうです。とても元気な方で「日本人に会うのは初めてよ」と言っていました。セントヘレナは長寿の島なのでしょうか。

風力発電がたくさんあります。

こちらは石油基地として建設しましたが、失敗に終わったそうです。ラリーさん曰く「こういったお金の無駄遣いが多いんだ」とのこと。

その昔、中国人労働者が住んでいたことから名づけられた「CHINA LANE」というエリアがあります。

CHINA LANE周辺には教会がいくつかあり、どれも数百年の歴史があるそうです。

教会を表すドメインは「.church」ですね。

ジェームズタウンのスーパー。2015年頃までは、「ソ連に住んでいるみたいだ」と言われるほど、物資が不足していたセントヘレナ島。ほとんどは輸入に頼っているそうですが、生活用品からペット用品まで予想以上に何でも揃っていました。

スーパー内の掲示板。子ども向けの絵本の宣伝でしょうか。メールアドレスにドメイン「.sh」が使用されています。

スーパー正面にあった、まとめ買い割引の案内。こちらのメールアドレスのドメインも「.sh」でした。

ホテルのエアコンは日本のDAIKIN。そう言えば、アセンション島のホテルのエアコンも日本製で、Fujitsuでした。こんな絶海の孤島まで営業に来たのでしょうか。すごい。

 

 


◆セントヘレナ島の食事事情

絶海の孤島、セントヘレナの夕日は格別です。そろそろお腹が空いてきました。ラリーさんの友人が経営しているレストランへと向かいます。

ラリーさんの友人の女性が最近開店したといレストラン「Rosie’s」へ。

ビーフ、チキン、マトン、シーフードなどがありどれも美味しそうです。料金も良心的。

セントヘレナにはローカルビールは無いとのことなので、南アフリカのビールをいただきます。料金は2ポンド(約280円)。

シーフードはココナッツが香るカレー風味。料金は8.5ポンド(約1,200円)。とても美味しいです。

本格的な魚のソテー。料金は9.5ポンド(約1,340円)。

ラリーさんが注文したビーフステーキ。料金は7ポンド(約980円)。すごいボリュームでした。

 


◆現地でのSIM購入&速度調査~セントヘレナ編~

セントヘレナ国際空港内にあった、ブロードバンドサービスを提供する「Sure」のショップでSIMカードを購入。料金は18ポンド(約2,500円)です。店員さんは要領がわかってないので、自分でSIMカードをカットしてセッティングを試みましたが、アクティーベーションできません。

ロングウッドハウスの前にあるホテルで再びアクティーベーションを試みるもやはり繋がりません。滞在中は、結局使用できませんでした。

SIMの利用は諦め、宿泊先のホテル「Mantis St Helena」のWifiでネット接続を試みますが、深夜や早朝など時間によっては繋がるものの、利用者の多い混雑している時は全然使えません。ドメイン島巡り史上、最も劣悪なネット環境でした。海底ケーブルが敷設されると、人口約4,500人の島は毎秒数テラビットの超高速インターネットに接続されることになり、島のネット環境は一変しそうですね。

さあ日本に帰ります。上空からセントヘレナ国際空港を見ると、想像以上に崖っぷちの空港であることがわかりました。無事に離発着できて良かったです。

 


■今回訪れた場所

 

■ セントヘレナまでのアクセスはこちら

■「.sh」ドメインの詳細はこちら

14 食中 11 食が機内食になってまで行ったアセンション島の魅力を 18 時間で弾丸調査

数えきれない程あるテレビの旅行番組は、世界中の様々な国の魅力を伝えてくれます。しかし、アセンション島をレポートする旅行番組は、おそらくありません。なぜ行かないのでしょう?ドメイン島巡り第 17 回目は、18 時間しか滞在できない工程だと 14 食中 11 食が機内食になるアセンション島にどんな魅力があるのか、イッテ弾丸トラベラーしてきました。ふしぎ発見できるのでしょうか? アセンション島に割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.ac」です。

◆アセンション島はどこにあるのか?

イギリス領の火山島、アセンション島は南大西洋にあります。1501  年に発見されていますが、1503 年に再発見された際に、再発見日である昇天祭にちなんでアセンション島と命名されました。島には先住民はいません。会社や組織の構成員とその家族で成り立っていて、人口はおよそ1,100~1,200 人ほど。他に 150 人ほどの駐留アメリカ軍がいます。行政府所在地はジョージタウン。

= 目次 =

◆最小滞在日数は「1 日」か「1 ヵ月」の 2 択!!

◆現地での SIM 購入方法&速度調査~アセンション編~

◆グリーンマウンテンにある桜

◆BBC ラジオ中継施設とサメが出るビーチと夕食

◆5 ポンド紙幣が使えない?!町の集会所風バー&クラブ

◆大西洋最大の海洋保護区になるアセンション島

◆あなたのワン切り詐欺電話はここから?

◆ラクダなんていないのに「ラクダ注意」の意味~アセンション島いろいろ~

 


◆最小滞在日数は「1 日」か「1 ヵ月」の 2 択!!

日本からアセンション島に行くには、チケットの手配はメールのみ、ビザも必要です。そして、月 1 回のセントヘレナ~アセンション往復便を利用する以外に方法はありません。往路便(セントヘレナ→アセンション)の翌日、厳密には約 18 時間後に復路便(アセンション→セントヘレナ)が出発します。この便に乗らないと、次の便は 1 か月後。つまり、アセンションの最小滞在日数は「1 日」か「1 ヵ月」のどちらかになってしまいます。我々ドメイン探検隊は、「1 日」(約18 時間)の滞在を選択しました。

搭乗する「セントヘレナ発アセンション行き」の便名は、チケットが発行されるまでわかりません。

シンガポール、ヨハネスブルグ、ナミビア、セントヘレナを経由してアセンション島に到着。合計 21 時間半のフライトを経て、ようやく到着です。約 18 時間の滞在で、旅行番組が訪れないアセンション島の魅力をお伝えします。

入国審査カウンター以外にあったのは、子供を遊ばせるスペースだけ。審査通過後は椅子が並んだ場所で、職員の OK が出るまで待機。滞りなく入国手続が完了しても、10 分くらい待たされます。売店はありません。RAF(ロイヤルエアーフォースステーション)アセンション空港の到着ロビーは、とてもこじんまりとしています。

タクシーも Uber もありません。予約した現地のガイドさんと空港を出た駐車場で無事合流。17 時22 分、いざ出発です。

雲は多めながらも良い天気。

移動中、やたらと見るこのパイプ。家や施設に生活用水を送っている大事なパイプラインでした。


◆現地での SIM 購入方法&速度調査~アセンション編~

まずは宿泊先「JAMS ACCOMMODATION」にチェックイン。空港から約 20 分のところにありました。スーツケースを置いて、アセンション島でモバイルブロードバンドサービスを提供する唯一のプロ バイダー「Sure」へ SIM カードを買いに行きたいところですが、到着した土曜日は定休日。明日の日曜日も定休日。

JAMS のオーナーに、インターネット環境を確保したいことを相談すると、宿泊施設の隣にある閉店中のコンビニへ。すると、コンビニを開けてくれて、1 日 20 ポンドの「WIFI ホットスポットサービス」を購入することができました。au、softbank のローミングは使用できません(docomo は未確認)。ご注意ください。

速度は問題ありません。不便なく使えます。

コンビニも JAMS のオーナーが運営していました。

ちなみに部屋のエアコンは、Fujitsu。滞在中、他の日本のブランドは見ませんでした。


◆グリーンマウンテンにある桜

グリーンマウンテン国立公園に向かいます。標高 859m、アセンション島で最も高く、人工林としても有名な山です。実は、この山に桜が植樹されている噂があるのです。

宿泊先から車で約 10 分。グリーンマウンテンに到着。登ります。

どんどん登ります。いい眺めになってきました。

蟹を発見。驚かしてごめんね。

続いて羊。

ジャングルみたいになってきました。グリーンマウンテンの森林は、ゼロから組み立てられた世界で唯一の熱帯林と言われています。マウンテンランプと呼ばれる急な曲がりくねった道を登ります。

あっと言う間にジャングルエリアを抜けると、徐々に霧が濃くなってきました。

登り始めて約 10 分。「Red Lion」に到着。ここは、農場労働者を収容するために使われていました。

「ZIG ZAG」と名付けられた道は、そんなにジグザグしていません。

ここからはハイキングコースがあるのですが、時間がないので下山します。

下山中も目を凝らして探しますが、桜の木はありません。

ウサギを発見。アセンション島では、ネズミとウサギ以外の野生生物は法律により保護されています。

18 時 22 分、島のメインの町ジョージタウンを遠くに見ながら、ドライバーのアンドリューさんに桜について聞いてみました。「グリーンマウンテンにある Cherry Trees?知らないなあ。聞いたことないよ。」との回答。桜の写真も見てもらいましたが、やっぱり知らないとのことでした。

下山後、JAM のオーナーにも聞いてみたのですが、「見たことないし知らない」。「グリーンマウンテンの桜」は、ただの噂でした。と思ったら、翌日、アンドリューさんが「Cherry Trees、あるってよ」と教えてくれたのです!なんでも友達に聞いてくれたらしく、私たちが通ったコースではない場所にあるそうです。残念ながら見つけることはできませんしたが、どなたか探しに行ってみてはどうでしょうか?

 

【参考】

Climate Change and “Ascension Island”

On a Remote Island, Lessons In How Ecosystems Function

Green Mountain National Park

Ascension 3 Green Mountain


◆BBC ラジオ中継施設とサメが出るビーチと夕食

BBC(英国放送協会)は、南アフリカや南アメリカ向け放送の中継局をアセンション島に設置しています。島の数少ない観光スポットの一つなので行ってみましょう。荒れた土地が続きます。

大きな鉄塔が近づいてきました。

18時42分、BBC ラジオ中継施設に到着です。広大な敷地内にいくつもの鉄塔が並んでいます。

道を挟んで、有名なビーチ「English Bay」がありました。きれいで、とても小さなビーチ。

続いて「Long Beach」。まずは、浜の全景を見渡せる展望台に寄ります。

展望台から車で約 10 分。「Long Beach」に到着。サメに注意の看板を発見。

19時18分、だいぶ暗くなってきました。夕食を食べにジョージタウンにある「Volcano Club」へ。向かう途中、カメラを向けるとちゃんと止まってくれた可愛いロバに遭遇。本日最後の「野生の動物」です。

お店に到着。ハンバーガーセットフライドチキンセットを購入。混雑していたため 20 分位待ちます。「Volcano Club」はアメリカ軍が運営する、島で唯一の着席して食事が取れるお店です。火~土曜日の夜に営業。支払いは米ドルと、「英ポンドとセントヘレナポンドのコイン」のみ使えます。島全体では、英ポンドとセントヘレナポンドはどこでも使えます。

残念ながら味は今一つでした。


◆5 ポンド紙幣が使えない!?町の集会所風バー&クラブ

21 時 9 分、島のナイトライフを探るべく、宿泊先から徒歩 5 分のバー&クラブ「Two Boats Club」に行ってみます。

バーカウンター。カウンターの前は、屋外のスペースになっていてテーブルが置いてあります。お酒を片手に話が弾んでいるようです。賑やかな雰囲気。全く見慣れない日本人を少し気にしている様子でしたが、危険な感じは一切ありません。私たちもビールとジントニックを注文します。

支払いに 5 ポンド紙幣を出したところ、「これ古いから使えないよ」と戻されてしまいました。

全く知らなかったのですが、5 ポンド及び 10 ポンド紙幣は、2016 年 9 月に新紙幣が発行されており、旧紙幣の使用期限は2017 年 5 月5 日までだったのです。幸い、新紙幣も持ち合わせていたので事なきを得ましたが、頻繁にイギリス領に行ってないとわかりませんね。写真は、RAF アセンション空港の出発ロビーに貼ってあったアナウンス。到着ロビーにも貼っておいてもらえると助かります。

バーカウンターの脇から、室内に入ります。入り口には、ポンド硬貨が使えるスロットマシーンが 2 台。超リトルカジノです。ちなみにカジノを表すドメインは「.casino」です。

室内は、集会所の大きな部屋をダンスフロアにした感じ。まだ踊っている人はは誰もいません。ミラーボールが眩しいです。DJ が出音をチェックしています。DJ は CD でもレコードもなく、PC でした。PCDJ はスタンダードなんですね。

バーの前では、男性陣が何かのスコアを競って盛り上がっています。

その競技とは「Skittles」でした。Skittles はヨーロッパの古い芝生ゲームで、プレイ内容はボウリングとほぼ変わらないようです。ジョージタウンまで行かなくても、飲んで喋って踊って楽しめる地元民専用のバー&クラブでした。

21 時 45 分、宿泊先に戻ります。歩いて 5 分と近いだけあって、深夜 2 時過ぎまでフロアの音が聞こえてきました。気になる人は中々眠れないかもしれません。

 

【参考】

【旅行者注意】イギリスの紙幣・コイン変更


◆大西洋最大の海洋保護区になるアセンション島

島周辺 44 万平方キロメートルほどの海域が、海洋保護区になる予定のアセンション島。海洋保護区になれば、大西洋最大となります。“信じられないほど美しい”とも言われていので、滞在 2 日目の朝 7 時 45 分、霧雨が少し降る中を美しい自然探しに出発。宿泊先から少し歩いたところに整備された道路を発見。行ってみましょう。

ここは約 600 年前まで活動していたシスターピークと呼ばれる火山エリアでした。

山頂付近に道も見えたので、山道を探しましたが、それらしい道が見つかりません。

天気が悪いせいもあるのでしょうか、美しい自然に巡り会えそうな気がしないので、引き返すことに。後日、シスターピークを調べたところ、丈夫なトレッキングシューズ、たくさんの水、帽子、日焼け止めを持参して登るようにとのアドバイスがありました。スニーカーの私達では、そもそも無理だったようです。

11 時 15 分発のセントヘレナ行きに乗るので、宿泊先を 9 時 15 分頃にチェックアウト。もし乗り遅れたら次の便は 1 ヶ月後。まあまあ急いで、車で 20 分ほどの空港に向かいます。途中、またロバに会いました。このロバたちが、滞在中における「最後の野生動物」です。美しい自然には出会えませんでしたが、かわいい野生の動物たちに会えたので満足です。ちなみに、朝晩は雨が降りやすいそうです。

9 時 40 分、空港に到着。無事に飛行機に乗ることができました。

今回のアセンション島調査における私たちの食事は、実に 14 食中 11 食が機内食。いつも楽しみにしている現地での夕食は残念な味でしたが、地上で食べることができただけで、今回は満足です。

1日目 朝昼夜 機内食(シンガポールエアー)
2日目 朝昼 機内食(アフリア航空)
地上食(Volcano Club/アセンション島)
3日目 地上食(昨夜の残り物をホテルで/アセンション島)
昼夜 機内食(アフリカ航空)
4日目 地上食(ホテル/ヨハネスブルグ)
昼夜朝昼 機内食(シンガポールエアー)

 


◆あなたのワン切り詐欺電話はここから?

アセンション島から謎の国際電話がかかってきた」とのツイートが話題になりました。アセンション島に縁もゆかりも無い日本人に向けて行われた、ワン切り国際電話詐欺。なにか手掛かりがあるかもしれないと思い、島で唯一の通信会社である Sure に行ってみました。

お伝えしている通り、土日が定休日なので本日(日曜日)もお休み。誰もいません。ですが、我々ドメイン探検隊はあるものを発見したのです。

敷地内にあった電話ボックスです。島内で恐らく唯一の電話ボックス。しかも、そのドアは開いたまま。。。我々が到着する寸前まで、ここからワン切り電話をかけていたのかもしれません。


◆ラクダなんていないのに「ラクダ注意」の意味~アセンション島いろいろ~

  • 宿泊した「JAMS ACCOMMODATION」には、宿泊者が共同で使える、きれいなキッチンもあります。この日は私達以外泊まっていないのに、未開封の牛乳、フルーツジュース、パンや缶詰等を用意  してくれていました。これらは宿泊料金に含まれているそうですが、なんだか申し訳なくて、手をつ けませんでした。でも、レンジは使わせてもらいました。

桃の缶詰を発見。島には農作物として果物が無いそうです。

 

  • 車で走っていると、日本では見慣れない標識を目にします。これは蟹に注意。

羊に注意。

ラクダに注意。ラクダ・・・?島にラクダがいるの?アンドリューさんに聞いたら「ラクダなんていないよ」。なら、この標識は、どんな注意を促しているのでしょうか?

正解は、 「Hump に注意」でした。「Hump」とは、道路の一部を隆起させ、通過する車両に上下の振動を及ぼすことで運転者に減速を促す構造物の総称です。一般的に 「Hump に注意」の標識は、「SPEED HUMP」や隆起物を表すタイプが多いのですが、ラクダのコブを「Hump」に見立てて注意を促すなんて、とてもユニークですね。島内には、隆起物を表すタイプの標識もありました。

 

  • 月に 1 度しかオープンしないホテル。月に 1 回やって来る飛行機に搭乗しているスタッフが泊まる時以外は営業していないそうです。

 

  • ピンクが目を引くこの建物はアセンション島行政庁舎。道を挟んだところに Sure がありました。

 

  • RAF 空港の出発ロビーで、到着ロビーにはなかった売店を発見!お土産を買って帰りましょう! しかし、中に入ると、煙草と香水と飲み物とスナックしかありませんでした。

 

  • 無料充電サービス。USB 非対応です。

 

 

  • 出発ロビーを出て外のスペースに行くと喫煙所があります。これから搭乗する飛行機を見ながら一服できる、数少ない空港です。

外にはコーヒーショップもありました。

 

こんな感じで、アセンション島を弾丸で調べてきました。月に 1 便の飛行機しかないので 1 日か 1 ヶ月の滞在しか選べない、これと言った見どころがない。空港内で「アセンション島ならではのお土産」を売ってないことからもわかるように、観光として訪れる人は、ほとんどいないのです。人気旅行番組が、この絶海の孤島を取材したい理由が見当たらないような気がしました。

 


■今回訪れた場所

 

■ アセンション島までのアクセスはこちら

■「.ac」ドメインの詳細はこちら