インスタ映えが難しい「七色の大地」とインドじゃないのにガンジス川があるモーリシャス現地取材まとめ

『神はモーリシャスを最初に創り、そしてモーリシャスを真似て天国を創った』。

これは「トム・ソーヤの冒険」の作者であるマーク・トゥエイン氏の言葉です。そんなに素晴らしい島なのでしょうか?もし本当なら、生きているうちに天国のイメージを掴めるチャンスなので、行って確かめてきました。モーリシャスに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.mu」です。

◆モーリシャスはどこにあるのか?

モーリシャス共和国は、アフリカのマダガスカル島から東へ約900kmの位置にある島国。島の面積は2040㎢で、東京都とほぼ同じ大きさの国土に約120万人が暮らしています。ヴァージン諸島同じく、タックスヘイブン(租税回避地)の国としても有名なこの島は、世界のセレブがお忍びでバカンスに訪れる人気のリゾート地です。利用されている通貨は、モーリシャスルピー(MUR)。1MURは、約3円(2020年4月現在)です。

※この取材は2019年11月に行ったものです。

= 目次 =

◆ドードーは「どうぶつの森」のモーリーさんの先祖かも

◆首都封鎖?ほとんど閉店しているポート・ルイス

◆「七色の大地」の理想と現実

◆地元民がオススメする超マイナースポット

◆モーリシャスにあるガンジス川

◆貯水池と国立公園~モーリシャスいろいろ~

◆現地でのSIM購入&速度調査~モーリシャス編~

◆街で見かけた「.mu」ドメイン

 


◆ドードーは「どうぶつの森」のモーリーさんの先祖かも

サー・シウサガル・ラングーラム国際空港に到着。すると、キャビンアテンダントがスプレーを噴射しながら機内の通路を歩いてきました。直接乗客に向かって振りかけるわけではなく、臭いもありませんが、密室なので良い感じはしません。この噴射は、世界保健機関(WHO)の国際保健規則に基づき、 昆虫やその他の揮発性物質によって運ばれる感染症や伝染病を防ぐために行われています。使用される殺虫剤は、駆除によって乗客や乗組員が怪我をしたり、不快感を与えたりしない、国際民間航空機関(ICAO)が定めた物が使われているそうです。

※参考 http://www.travelstart.co.za/blog/airplane-cabin-spraying/

空港名は、モーリシャスの初代首相シウサガル・ラングーラム氏に由来しています。

入国スタンプには、国鳥であるドードーが隠れていました。

ドードーは、モーリシャスにかつて生息していた絶滅鳥類。野生のドードーは、警戒心が薄く、空を飛べず地上をよたよた歩き、巣を地上に作って生活していました。しかし、島に侵入してきた人間により絶滅。入国カードの裏にはドードーの絵が描かれています。

「どうぶつの森」に登場するドードー・エアラインズ(DAL)のグランドスタッフ、モーリーさんはもしかするとドードーの子孫かもしれません。残念ながら空港内にドードー・エアラインズはありませんでした。

 


◆首都封鎖?ほとんど閉店しているポート・ルイス

モーリシャスの調査には、タクシーをチャーター。運転手の名前はラケシュさん。料金は空港から首都ポート・ルイスまでの移動と、1日貸し切りで100ユーロ(約12,000円)でした。我々はドメインのある島だけを訪れ、取材は数時間しかできないことを伝えると、「モーリシャスを観光するなら8日間は必要だよ」と言われてしまいました。

まずは首都ポート・ルイスへ向けて出発。

美しい港のあるポート・ルイスに到着しました。1852年12月、日本に開国を要求するために浦賀沿岸へ向けて出港した、ペリー提督率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊は、日本に着く前にモーリシャスにも寄港しています。 当時は太平洋上に蒸気船が石炭を補給するのに適当な島が存在せず、サンフランシスコ港も未完成だったことから、大西洋を経てマディラ島、セントヘレナ島、ケープタウン島に寄港しつつ、1853年2月18日、モーリシャスに到着して10日間の休養を取ったそうです。

午後4時、モーリシャスの首都を散策します。人が少ないですね。

この辺りも人が少なくて、とても静か。

あれ・・・?全然人がいません。よく見ると、木曜日なのに大半のお店のシャッターが閉まってます!

ラケシュさんに聞いてみると、「今日は国会議員選挙の日だから、カジノやレストラン等の一部の商業施設を除いて、警察からお店を開けないように命じられているんだ」と教えてくれました。確かに、立候補者のポスターが目につきます。

チャイナタウンでさえ、路上で何かを売っている人が僅かにいたぐらい。

そう言えば、「海の中の滝」を見たくてモーリシャスへ出発する前に日本でヘリコプターツアーの予約手配をしたのですが、後日、「その日は営業していません」とメールが来てキャンセルとなりました。選挙の影響かもしれません。

選挙は5年ごとに実施されます。モーリシャスへ旅行する際は、事前に調べることをおすすめします。

アンブレラ・スクエア(モーリシャス共和国) – Spherical Image – RICOH THETA

 


◆「七色の大地」の理想と現実

ポート・ルイスより南へ約45km、車で約1時間ほどの場所に位置するシャマレル村に、七色の大地があると聞きました。活火山島のモーリシャスの自然が織りなす絶景は、「7 Coloured Earth Geopark」で見ることができます。

入場料は大人1名250MUR(約750円)。年中無休で、閉園時間は夏季17時30分、冬季17時。園内は車で移動します。

ドローンは飛行禁止。

園内は七色の大地だけではありません。約100メートルの高さから水が流れ落ちているシャマレルの滝。モーリシャス島一高い滝です。

ピーク時に流れ落ちる水の量は1分あたり40,000m³と言われています。

アルダブラゾウガメもいました。別名、セーシェルゾウガメ。

セントヘレナで会った世界最高齢187歳のジョナサンも同じアルダブラゾウガメでした。

七色の大地エリアに到着。すごい!大地がこんなに発色するなんて見たことも聞いたこともありません。期待に胸が膨らみます。

この位置だと、発色がわかりませんね。肉眼で見る限りだと、工事現場に盛られた土のよう。もっと近づきましょう。

あれ・・・?別の角度から見てみましょう。

相変わらず、肉眼でその鮮やかな発色を見ることはできませんが、撮影した写真を見ると、うっすらと色味を確認できるものがありました。

しかし、園内にある七色の大地紹介画像やネット上にある写真と比べると、発色が全然足りません。

先ほどの写真とiPhoneで加工した写真を並べてみます。ようやく七色の大地であることがわかりました。

七色の大地を構成する溶岩群は、350万年から700万年前のものと推測されていて、早朝の朝日によって朝露が照らされる時間帯が最も美しい色になる、そうです。つまり、早朝以外の時間帯に訪れると、今回のように加工が必要となる可能性が高いのです。是非、早朝に行って確かめてみてください。

七色の大地(モーリシャス共和国) – Spherical Image – RICOH THETA

 


◆地元民がオススメする超マイナースポット、船舶模型工房とガラス工房

選挙日と重なってしまったからこそ、 “地元民がオススメする超マイナースポット”に巡り合うことができました。船舶模型工房の名前は「Le Port Ship Model」。「.com」や「.net」に比べれば、短い文字列が格段に取りやすいドメイン「.site」を使用しているのに、なんでこんなに長いアドレスにしたのだろうか・・・と思いながら、工房に入ります。

入場及び見学料はありません。お土産コーナーは撮影禁止。

職人さん達が細かいパーツから全て手作業で制作しています。

精巧に作られた船体が並んでいます

マストがつきました。

熟練のクラフトマンが手掛けた作品に魅了されたドメイン探検隊の隊長は、自身が船舶工学を学んだこともあり、イギリス海軍の武装船バウンティ号の模型を購入。もちろん、機内持ち込みをして大切に持ち帰りました。

空港でも同じような船舶模型が売られていましたが、工房よりも割高でした。

 

続いて、地元民がオススメするマイナースポットはガラス工房「Mauritius Glass Gallery」。

運転手のラケシュさんと親しげにお話しする受付の女性。こちらも入場料を払わずに中に入りました。女性曰く、「ここではコカコーラの瓶も作っているのよ」。

ガラスで作られた手形コーナーを発見。

パーシー・モンゴメリ(元ラグビー選手)、ティルダ・スウィントン(ハリウッド女優)などが飾ってありました。

飲料用の瓶。

様々なガラス工芸作品が並んでいます。

ドードーの置物(130MUR)や、ドードーの絵が刻まれたショットグラスは100MUR(約300円)から売っていました。

球体のペーパーウェイトのようなものは300MUR(約900円)から。

美しいビーチと透明度の高い海に囲まれていることから、インド洋の貴婦人と呼ばれているモーリシャス島ですが、工房巡りもオススメです。

 


◆モーリシャスにあるガンジス川

多様な宗教が共存するモーリシャスにおいて、国民の信仰で最も多いのはヒンドゥー教で、全体の52%を占めています。アフリカ諸国の中でヒンドゥー教が大多数を占める国はモーリシャスのみです。当初、我々はヒンドゥー教の寺院「Sockalingum Meenatchee Ammen Kovil」へ行く予定でしたが、ラケシュさんのオススメで「ガンガ・タラオ(Ganga Talao)」、別名「グランド・バッサン(Grand Bassin)」へ行くことに決めました。

 

ラケシュさん自身も熱心なヒンドゥー教徒。ガンガ・タラオを薦めた理由は、毎年2月頃にモーリシャス島の全ヒンドゥー教徒たちが何キロも歩いて集まるお祭り「マハ・シバラトリ」が開催される、インド国外にある唯一の聖地だからだそうです。駐車場には牛久の大仏のような、高さ、108フィート(約33m)の女神ドゥルガーの像が立っています。後ろにいるのは、女神が乗るライオン。

敷地内にあるガンガ・タラオの湖は、モーリシャスの初代首相であるシウサガル・ラムグーラム首相が、ガンジス川の水を持ち込んで湖の水と混合したこともあって、湖を聖地ガンジス川に見立てており、「最も神聖な場所」としています。

様々な像があります。

観光客も多い中、祈りを捧げる人達もいました。

サティヤ・サイ・ババの写真が一緒に飾ってある像。“何もないところからビブーティー(神聖なる灰)を出す”インドのスピリチュアルリーダーとして、日本ではサイババの名称で有名ですね。この像のモデルとされているようです。

いくつかの像においては、参拝の際に素足にならないといけません。「ここで履物を脱いでください」という案内がありましたが、靴のまま参拝する人が多かった。

お手洗いにシャワーがあります。お祈り前に身を清めるためでしょうか。衛生的に躊躇してしまう雰囲気。

寺院が山の中にあるせいか、駐車場で野生の猿に遭遇しました。

 


◆貯水池と国立公園~モーリシャスいろいろ~

ポート・ルイスの中央市場が選挙の影響で閉まっていたので、オープンしていたキュールピップにあるキュールピップ市場(Marché de Curepipe)へ。高原にあるキュールピップは、海岸地域と比べて冷涼な気候で過ごしやすく、この島に植民したヨーロッパ人たちは避暑地や高級住宅地としてこの地を開発しました。

中央市場が閉まっているせいか、混んでますね。

市場の隣には衣類などを売っているお店が連なったアーケードがあります。島のほぼ中央にあって交通の便が良いので、地元民以外に観光客も多く訪れるとのこと。

キュールピップ周辺の農地はモーリシャス島他地域に多いサトウキビのプランテーションではなく、高原の気候を生かした茶畑が多くあり、キャベツやイモの畑もたくさん見かけました。

キュールピップにある死火山、トルー・オウ・セフズ

売店等は無く、モーリシャスの国旗色の小さいパラソルを頭に乗せた男性が、観光客を相手にドードーの置物などを売っていました。

1885年に建設されたモーリシャスで最大の貯水池、マール・オー・ヴァコア。ガンガ・タラオから車で9分ほどのところにある淡水湖です。

ゴルジュ・ド・リヴィエール・ノワール国立公園(Black River Gorges National Park) 。

滝を見るための展望台ですが、木製の階段が腐ってしまったのか、 利用中止になっていました。

こちらも売店などはなく、駐車場にアイスなどを売っているバンが停まっていました。

 


◆現地でのSIM購入&速度調査~モーリシャス編~

SIMカードは空港や町で購入可能。通信会社は「EMTEL」ですが、ホームページが見れませんでした。

我々が購入したのは、空港近くにあるガソリンスタンドの売店。

3GBで7日間有効、料金は559MUR(約1,677円)。店員さんは設定までしてくれましたが、残念ながら利用することはできず、調査もできませんでした。

ソフトバンク社のローミングは870kbps、ホテルのWi-Fi環境は34Mbpsでした。

 


◆街で見かけた「.mu」ドメイン

モーリシャスに割り当てられたccTLD「.mu」を街で見かけました。「.mu」ドメインは2007年に「Internet Direct Ltd.」から現在のレジストリ「Information and Communication Technologies Authority」へ変更されています。

モーリシャスから次の目的地へ向かうため空港へ向かっていると、運転手のラケシュさんが「この国は医療費が無料なんだ」と教えてくれました。確かに、公立病院の「GOVERNMENT HOSPITAL」は、診療費、検査費、薬代等は原則無料。旅行者も無料です。しかし、私立病院の「PRIVATE CLINIC」や「PRIVATE HOSPITAL」は全費用が有料。事故等の緊急時は、「SAMU」(公立病院の救急車サービス)で公立病院に運ばれます。希望すれば、施設やサービスの整った私立病院への転院も可能とのことです。

※参考 OTOA 都市別安全情報

天国のイメージは今ひとつ掴みきれませんでしたが、選挙と重ならないタイミングでまた来てみたいモーリシャスでした。

 


■今回訪れた場所

モーリシャスまでのアクセスはこちら

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