「ドミニカ」と聞いて皆さんが思い浮かべる国は、メジャーリーガーを多数輩出している野球大国「ドミニカ共和国」 (Dominican Republic) でしょう。しかし「ドミニカ」という名前の国はもう一つあります。ドミニカ国(Commonwealth of Dominica)です。カリブ海の植物園と言われる程自然豊かな一方、2009年の犯罪発生率(1000人あたりの犯罪発生件数)は世界で最も高いとされていたドミニカ国の魅力を調査してきました。ドミニカ国に割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.dm」です。「.dm」は、Direct Mail(ダイレクトメール)の略として、Sway.DMなど商品カタログや案内を送るメッセージサービスで多く使われています。
= 目次 =
◆第2の都市ポーツマスを経由して首都ロゾーヘ
◆日本からのハリケーン災害復興支援は港の再建
◆地元の人は行かないドミニカの天然温泉施設
◆幻の国鳥「インペリアル・アマゾン」を探す
◆世界で最も危険だった国のダウンタウン
◆日本人が住んでいないのに日本の車だらけ
◆日本のKFCには無いメニューを食べてみた ~ドミニカ国の食事事情~
◆街で見かけた.dmドメイン
◆現地でのeSIM 速度調査 ~ドミニカ国編~
◆第2の都市ポーツマスを経由して首都ロゾーヘ
我々ドメイン探検隊は、アメリカ合衆国フロリダ州マイアミのマイアミ国際空港から、アメリカン航空でドミニカ国に向かいます。
ターミナルは一番端にありました。周囲の飛行機の離着陸の轟音を聞きながら搭乗開始を待ちます。機材トラブルにより出発が30分遅れましたが、無事に出発。
マイアミを出発して約3時間。ダグラス・チャールズ空港に到着しました。
空港を出てすぐの道路のベンチに3人の男性が座っています。皆さんタクシーの運転手。「乗りますか?」と声をかけてきたアレクサンダーさんのタクシーに決めました。
首都ロゾーに向かいます。最短コース(右の地図)なら約1時間ですが、海沿いで景色の良いドミニカ国第2の都市ポーツマスを経由するコース(左の地図)で向かうことにしました。出発です。
あいにくの天気の中でサッカーをしている少年たちを発見。ドミニカ共和国は野球が盛んですが、ドミニカ国ではサッカーが人気です。
しばらく走っていると交通事故の現場に遭遇しました。こんなことはドメイン島巡りで初めてです。驚くことにドミニカ国には市街地にも山道にも、信号機がありません。ドライバーは頻繁にクラクションを鳴らしながら運転しています。
AMBULANCE(救急車)も到着しています。
車は大破していますが、幸いなことに重傷者はいないようです。
警察も駆けつけています。救急車もパトカーも日本車でした。現場を通過するのに約30分待ちました。
安全第一で山道を進みます。すると突然、運転手のアレクサンダーさんが車を降りて道端の木から何かをむしり取り始めました。“Sweet Sup” という名前の果物だそうです。旅行者の我々のために取ってくれたわけではなく、自分用に取っていました。急ぎましょう。
島の西側にある島で2番目に大きな町、ポーツマスに入ると住宅街が見えてきました。
ポーツマスのビーチでは多くの人たちが海水浴などを楽しんでいました。この日は日曜日で、お店はほとんどが閉まっていました。
ロゾーに到着する前に日没を迎えました。夕暮れの海岸は絶景です。
夜、ゲストハウスに到着すると、なにかの警告音が地味にずっと鳴っています。正体は、虫の声でした。
◆日本からのハリケーン災害復興支援は港の再建
宿泊したのは、セントジェームスゲストハウス(St James Guesthouse)です。
フルーツがメインの朝食を食べて、2日目の調査開始です。
バナナが経済の中心なだけあって美味しい!
マリゴット漁港に行ってみます。豪華客船が来航していました。
日本とドミニカ国の国旗が並んでいるプレートがあります。
2019年10月、日本の国際協力機構(The Japan International Cooperation Agency) は2017年9月のハリケーン「マリア」で被害を受けたドミニカ国の漁業施設や設備の復旧事業「ロゾー・マリゴ漁業施設改修計画」を設立して、最大10億7,200万円の無償資金協力を行いました。
マリゴット漁港の全棟防水工事や市場・管理棟、漁民ロッカー・トイレ棟、船体修理建物、ワークショップ棟、岸壁及び防波堤 コンクリート、 魚用コンテナ、台秤、VHF 無線設備の改修は2022年11月に完了しました。この港は日本の援助により再建されたのです。
港内には市場もありました。豪華客船から降りてきた乗客向けのお土産屋が立ち並びます。
豪華客船が出港する午後4時頃になると一斉にお店が閉まり、賑やかだった市場は急に殺風景になりました。
◆地元の人は行かないドミニカの天然温泉施設
観光案内所でガイドをお願いしたところ、カナダ人のご夫婦と公式のガイドが運転するタクシーを相乗りして観光することになりました。豪華客船を下船した観光客に向けた2時間ほどのツアーです。
これが公式ガイドの証明書です。車の中に貼ってありました。
小さな国土に4つの活火山を有するドミニカ国は高い山に囲まれ、アップダウンの多い地形です。山の高い位置に見えるのはトラファルガーの滝です。ドライバーは車を運転しながら、様々な解説をしてくれました。
ジャングルのような場所で一時停車。温泉が湧いています。
近くには天然温泉施設「スクリューズ・サルファー・スパ(Screw's Sulfur Spas)」がありました。ここは現在営業していませんが、入浴できる温泉は別に4ヶ所あります。料金は10米ドル。地元の人は値段が高いし、お湯の温度も高いから利用しないそうです。
近くに生えていたカカオの木。
試食コーナーを発見。島で採れたスイカやパイナップル、バナナ、アボカド等が並んでいます。
昨日、アレクサンダーさんが夢中で取っていたSweet Supをいただきます。Sweet Supは甘い桃みたいで美味しい!これは仕事中でも採りに行きたくなりますね。募金箱が置いてあったので、1米ドルを寄付してきました。
◆幻の国鳥「インペリアル・アマゾン」を探す
ドミニカ国の国旗や街のいたるところに描かれている国鳥のインペリアル・アマゾン(別名:ミカドボウシインコ、シセロウオウム )。インペリアル・アマゾンは絶滅危惧種です。2019年の時点で、成熟した個体は約50羽しか野生に残っていないと推定されています。体調は平均48cm。恥ずかしがり屋で、近づくのが難しく、通常は3羽以下のグループで移動するそうです。彼らは木のてっぺんにとまるのを好み、羽毛でカモフラージュされているため見つけることは難しいそうです。
参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Imperial_amazon
国旗に描かれている国鳥のインペリアル・アマゾン。これは1990年から使用されている現在の国旗です。
1988年から1990年まで使用されていた国旗。星の色が違いますね。
1981年から1988年までの国旗。インペリアル・アマゾンは右を向いています。
1978年から1981年までの国旗。黒いラインの位置が異なりますね。このようにドミニカ国の国旗は微妙に変化しているのです。
バス停の待合所にもインペリアル・アマゾン。
幻と言われると、どうしても見たくなります。地元の人に聞いてみると「滅多に見ないよ」とか「テレビでしか見たことない」と、やはり短時間では見つけられそうにありません。ただ、山間部で暮らす人は「時々見ることはあるよ」とのこと。ガイドさんがインペリアル・アマゾンの鳴き真似を披露してくれました。
特徴や鳴き声もわかったところで、インペリアル・アマゾンの捜索開始。と行きたいところですが、「保護されているインペリアル・アマゾンで良いなら、オウム保護研究センター(Parrot Conservation & Research Centre)に行けば見れるよ」 と教えてもらったので、野生のインペリアル・アマゾンは諦めて、早速向かいました。
遠くからですが、幻の国鳥に会うことができました。
もっと檻のそばまで行きたかったのですが、実は手前に手すりがあって、これ以上檻に近づけないのです。
恥ずかしがり屋で繊細なインペリアル・アマゾンの性格に配慮しているのかもしれません。
◆世界で最も危険だった国のダウンタウン
入ったら15秒で死んでしまうマンションがあるヨハネスブルグが本当に凶悪犯罪都市なのかを調査したこともあるドメイン探検隊。今回は、2009年の世界で最も危険な国に選ばれたドミニカ国の首都ロゾーのダウンタウンに潜入します。
野良犬や放し飼いにされている犬をよく見かけます。ちょっと怖い感じがしますが、犬はみなおとなしく、逆に人間を怖がっている感じです。
「ラスター」と言われる細かい三つ編みを頭全体に編みこむヘアスタイルの女性。我々が接した島の人々は英語をしっかりと話すことができて、訛りをほとんど感じられません。頻繁に使う言語はフランス語ベースのクレオール言語だそうです。
子供たちが入っていく「CYBER BOX ENTERTAINMENT」というお店。気になります。入ってみましょう。
店内にはXboxとPlaystationが1台ずつとモニターが2台あって、40分10東カリブドル(約470円)でゲームを楽しむことができます。小さなゲームセンターでした。支払いは米ドルでもOK。例えば100東カリブドルの場合、40米ドルです。今回我々が訪れたお店では、すべて米ドルで支払うことができました。
街にはカラフルな壁画がたくさんあって、見ているだけで楽しくなります。
コンセントの変換器を1つ買いたいので電器屋を訪ねました。電器屋の店主は中国人で、2012年にドミニカ国にやってきたそうです。
この島に住んでいる日本人を知っているか聞いてみると「ドミニカ国に日本人はいないんだよ」と教えてくれました。日本料理店も無いそうなので、おすすめの中華料理店を聞いて、そこで昼食をとることに。メニューは盛りだくさん。一番人気の「Fried Rice」と「Chicken Fried Rice」と「Tofu Chow Mein」を注文。
近くで働く女性にも人気のお店。テイクアウトしていました。
「Chicken Fried Rice」は、色濃く焼いたチャーハンにフライドチキンを載せ、ソースをかけたもの。お味は…フライドチキンは普通だったものの、チャーハンはドメイン探検隊が食べた中華料理の中で、1、2を争うくらい美味しくなかったです。料金は12東カリブドル(約570円)。
「Tofu Chow Mein」 は、揚げ豆腐が入った焼きそば。美味しくいただきました。料金は20東カリブドル(約951円)。
ダウンタウンを散策してみましたが、日中に歩く分には危険なイメージは全くありません。むしろダウンタウンで会った人々は皆優しく、親切でした。治安は大きく改善され、近年の犯罪発生率は低いようです。
◆日本人が住んでいないのに日本の車だらけ
ドミニカ国の在留邦人数は0名(2018年10月発表)。日本料理店もありません。しかし、日本車があちらこちらで走っていました。ドミニカ国は自然豊かな国ですが、至るところにコンクリートの車道が整備されています。これは、1945年にイギリスの企業が舗装したものだそうです。太陽光パネルのついた街灯は、3~4年前に中国によって設置されました。
道路はイギリスや日本と同じ左側通行。車内の日本語表記もそのまま。
「最大積載量」もそのまま。
日本の企業や幼稚園の車も、そのまま走っていました。
めいせい幼稚園の車は、今はドミニカ国のスクールバスとして使われているそうです。運転手に聞いたところ、この車が日本でスクールバスとして使っていたことを知っていました。
交通事故の現場に遭遇した際も、救急車とパトカーが日本車でしたね。ドミニカ国で人気のある日本の中古車はNoahやRav4、トラックのようです。
◆街日本のKFCには無いメニューを食べてみた
~ドミニカ国の食事事情~
ドミニカ国にも、日本でもおなじみのケンタッキーフライドチキン (KFC) があります!この情報を事前に調べていた我々は、ロゾーに到着後、夕食を KFC でとることにしました。まず圧倒されたのは、店外に並ぶドライブスルー待ちの車の行列。
そして店内も注文まで20分程度かかるような行列でした。首都ロゾーでも、こんなに大きな飲食店はこのKFCくらいしかありません。
メニューは日本のKFCとさほど変わりはありません。
せっかくなので、日本では見かけない「BBQ WINGS」が入っているセット「PERFECT PAIRS 2」(20東カリブドル、約951円)、「MAC & CHEESE」(5東カリブドル、約238円)、トウモロコシ(4.5東カリブドル、約214円)を注文してみました。
「PERFECT PAIRS 2」です。BBQ WINGSは、マクドナルドのチキンマックナゲットのバーベキューソースがチキン全体にたっぷりと染み込んでいて、直接手で掴むと手がベタベタになりますが、チキンの肉とよく合って美味しいです。
「MAC & CHEESE」は、チーズの味がするマカロニ。本当にそうとしか形容できません。トウモロコシも普通のトウモロコシでした。
ロゾーにはピザ屋がたくさんありました。アメリカが近いからでしょうか。パーキーズピザで14インチ(Lサイズ、35cm~36cm)のSupremeピザをオーダー。料金は44東カリブドル(約2,092円)。
ホテルに持ち帰り、ドミニカ国産のラガービール「Kubuli」で乾杯。ドミニカ国の調査を締めくくりました。
◆街で見かけた.dmドメイン
ドミニカ国に割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.dm」です。首都ロゾーのダウンタウンやポーツマスで、どのように使われているか調べてきました。頻繁に目にしたドメインは 「cwdom.dm」です。 “cwdom”は “Commonwealth of Dominica” の略。 メールアドレス「〇〇@cwdom.dm」の表記をたくさん見かけました。
政府機関は「dominica.gov.dm」を使用。
ポーツマスにある大学「American Canadian School of Medicine」は教育機関向けの「edu.dm」を使用。
トップレベルドメイン「.dm」の使用はほとんど見かけませんでしたが、国立銀行(National Bank Of DOMINICA) は「nbd.dm」。
調剤薬局のジョリーズ・ファーマシーは「jollys.dm」を使用していました。
ドメイン島巡りでは、2018年6月から2020年9月まで、SIMカードを現地調達してその購入の様子をお伝えしてきました。しかし、販売店を探したり購入手続きに意外と時間を取られるのでeSIMを採用。eSIMに切り替えたことで、簡単にドミニカ国で使える回線を契約できました。
今回利用したものは、Ubigiのカリブ諸国データプラン(1GB、30日間、US19ドル)。ドミニカ国のeSIM速度はロゾーのダウンタウンで計測。7.3Mbpsでした。
Airaloのドミニカ国のデータプランは繋がりませんでした。
海外に行く予定のある方は、「2022年、最強の海外用eSIMはコレだ!海外用Wi–Fiはやめておくべきこれだけの理由」を参考にしてください。