「死ぬことが違法」「ニートも違法」「日本人でも簡単に永住できて商売できる」・・・スヴァールバル諸島にある世界最北の町で真相を確かめてきた

「死ぬことが違法!?」とインターネット上で騒がれている町が、スヴァールバル諸島にあります。この町で死ぬとどうなってしまうのでしょう?死んだまま刑務所に収監されて終身刑になるのでしょうか?さらに、「日本人の永住も容易に許可されている」とも言われている不思議な町なのです。ドメイン島巡り第16回目は、その真相を確かめるためスヴァールバル諸島に行ってきました。割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.sj」です。

◆スヴァールバル諸島はどこにあるのか?

スヴァールバル諸島はノルウェー領で、ノルウェー本土と北極圏とのおよそ中間に位置する群島です。最大の町は「ロングイェールビーン」で、一般の人が定住している世界最北の町です。この町の多くのものに「世界最北の~」という枕言葉をつけることができます。4月~8月は太陽が沈むことのない白夜になり、10月~2月は太陽が沈んだままである極夜になります。

= 目次 =

◆世界最北の町「ロングイェールビーン」

◆人よりもホッキョクグマが多い島

◆スヴァールバルでは死ぬことが違法!?ニートも違法!?

◆日本人なら簡単に永住&商売をすることができるのか

◆スヴァールバルで出会った「世界最北の〇〇」

 ①世界最北のゴーストタウン「ピラミデン」

 ②世界最北の寿司屋に行ってみたら・・・

 ③その他「世界最北の〜」シリーズ

◆スヴァールバル諸島いろいろ

◆現地でのSIM購入&速度調査~スヴァールバル諸島編~

◆幻のドメイン「.sj」とノルウェーのドメイン「.no」


◆世界最北の町「ロングイェールビーン」

スヴァールバル諸島にあるロングイェールビーンは、人口1,000人以上が居住する町としては「世界最北」に位置します。深夜0時過ぎ、我々はロングイェールビーン空港に到着。

写真をご覧ください。8月の夜は白夜なので、深夜とは思えないほど非常に明るいです。

空港には、到着便に合わせてバスが待機しています。バスに乗って町の中心へ。運転手に宿泊するホテルの名前を伝えましょう。

空港の向かい側には、世界最北の町があるスヴァールバル諸島ならではの案内がありました。ここからニューヨークまで5,581km、東京までは6,830km。今回も遠くまで来たんだなと、実感が湧いてきます。

約10分でロングイェールビーンの中心街に到着。前回訪れたセントビンセント(.vc)の青い空から一転、どんよりした灰色の空。

ホテルには、白夜においても真っ暗にして睡眠をしっかり取れるように黒いカーテンがいくつかある少し変わった構造になっていました。

冬の移動手段であるスノーモービルを発見。その多くはYAMAHA製でした。


◆人よりもホッキョクグマが多い島

スヴァールバル諸島には約3,000頭のホッキョクグマが生息していますこれに対して人口は約2,600名。人よりもホッキョクグマの方が多い島なのです。ホッキョクグマの普段の生活は、アザラシなどの獲物がいる氷の上で過ごしているので、町までやってくる心配はほとんどありません。ホッキョクグマが町の倉庫お店にある食料を一度でも食べてしまうと、その味や場所を覚えて再び町にやってくると言われているので、食料の管理は徹底されていました。

町から少し離れた場所に行くとこのようなホッキョクグマのマークがあります。

このマークより先のエリアは、銃の所持が義務付けられています。銃の使用も基本的には威嚇射撃で、万が一襲われるような状況においてのみ、射撃が許されています。地球温暖化などの影響により個体数の減少も懸念されているため、威嚇射撃が優先です。これらの銃は、中心街にある登山グッズ店の隅っこで販売されていました。町のショッピングエリアで銃を購入できるなんて、驚きです。

レストランやスーパーマーケットなど、多くの建物の入口には、銃を所持して入場することを禁止する標識が。過去に銃による犯罪が発生したことはないそうです。白夜だったせいでしょうか、夜中でも安全な感じがしました。

本物のホッキョクグマを見ることはできまんでしたが、ホッキョクグマのイラスト等は町のあちこちで見ることができます。訪れた際は、インスタ映えしそうな可愛いホッキョクグマを見つけてください。

ぬいぐるみですが、ホッキョクグマなので冷蔵庫で売られています。冷蔵庫のスイッチは入っていません。

ちなみに、ホッキョクグマとシロクマの違いをご存知ですか?実はシロクマと言われる熊の正式名称がホッキョクグマなので、違いなんてないのです

ホッキョクグマをもっと詳しく知りたくなったら、最北の博物館「Svalbard Museum」がおすすめ。この博物館の目玉である「剥製のホッキョクグマ」を間近で見ることができます。限りなく本物に近い、その迫力に圧倒されます。他にもホッキョクグマの生態や人間との関わり、更にはスヴァールバル諸島の歴史や出来事が展示されています。

このホッキョクグマは、2005年3月に何回かの威嚇射撃にも関わらず接近してきたため、止むを得ず射撃されたオスのホッキョクグマ。

野生のホッキョクグマを見たいという方は、ツアーがたくさんあるので運が良ければ見ることができるかもしれません。
また、この地には「Polar bear joke(ホッキョクグマジョーク)」と言うものがいくつも存在しています。訪れる前に学んでおきましょう。


スヴァールバルでは死ぬことが違法!?ニートも違法!?

1918から1919年にかけて全世界的にスペインかぜ(インフルエンザ)が大流行しました。感染者5億人、死者5,000万~1億人と言われています。ロングイェールビーンでもスペインかぜが流行りましたが、極寒のため、土葬された死体の中でウイルスが生き続けたそうです。このことから、パンデミックを引き起こすウイルスを後世に残さないよう、この地では死ぬことが違法であるとネット上で言われるようになりました。

この真偽をスヴァールバルの役所や現地の方に聞いてみたところ、「もしそうだとしたら、死体をどのように処理すると思いますか?」と言われてしまい、確かに矛盾していることに気づかされました。
死ぬことが違法ではない」ことが分かりましたが、スヴァールバル諸島にはこれに関連する特有の事情がありました。

①亡くなってもスヴァールバル諸島で土葬することができない

これは、スヴァールバル諸島独特の気候にも関連しています。厳しい寒さの影響で、土葬しても遺体が分解されない、あるいは腐敗しにくいことから、感染症などのウイルスが死体の中でも残り、再感染することを恐れた政府は土葬を許可しないことを決めました。

火葬場が存在しないスヴァールバル諸島では、ノルウェー本土にて火葬された後、スヴァールバル諸島で埋葬されます。

②スヴァールバル諸島の医療事情

スヴァールバル諸島には病院が1つしかなく、1人の医師と数人の看護師しかいないと現地の方から聞きました。出産の際には、医療機器などが十分ではないことから、ノルウェー本土で出産するのが普通とのこと。

出産以外も同様に、スヴァールバル諸島で対応できない場合は、ノルウェー本土の病院にて対応しています。

このような事情もあり、死を迎える時はスヴァールバル諸島ではなく必然的にノルウェー本土で迎える場合が多いように思いました。
これら2つの事実から、死ぬことが違法であるという間違った事実に繋がってしまったのではないかと推測します。死ぬことが違法ではなく、複数の事情のためノルウェー本土で死を迎えるケースが多く、火葬された後にスヴァールバル諸島で埋葬されたいケースが少ないのではないでしょうか。

「ニートも違法」ですが、仕事がなければ、ここに住むことはできません。失業者はすぐに強制送還されます。但し、退職者や職に就いていない人は、自分自身をサポートするのに十分な手段があることを証明できれば退去を免れますので、お金をたくさん持っているニートに限り、違法にはならないようです。

【参考】

Is It Illegal to Die in Longyearbyen, Norway?

A Harsh Climate Calls for Banishment of the Needy


◆日本人なら簡単に永住&商売をすることができるのか

日本は、スヴァールバル条約の加盟国の1つです。条約加盟国の国民はビザ査証なしでスヴァールバル諸島に住むことができ、商売をしたり、バイトをすることが可能なはず。スーパーマーケットの前では子供達が露店を開いていました。

日本人の永住と商売について詳細を確かめるために、役所に行って「我々が寿司レストランをオープンすることができるか?」を聞いてきました。

中に入り事情を説明すると、相談できる個別の部屋へ案内してもらいました。

まず、スヴァールバル諸島での永住について。条約加盟国民であればノルウェー国民と同じ平等な居住権を有しているので、ビザなしで永住可能とのことです。しかし、冬の寒さが非常に厳しいので長期的に住む人は少なく、平均すると約4年でこの土地を離れてしまうそうです。ノルウェー本土と比べると収入が低くなる傾向があり、「お金を稼ぐ事以外の魅力を感じる」や「ノルウェー本土と比べて様々なことが整備されていないので、やりがいがある」等の理由を持つ人々が、ここの生活に向いているようです。

続いて商売。こちらも永住同様、条約加盟国民の日本人は労働許可証なしで、寿司レストランをオープンすることができます。スヴァールバル諸島でビジネス(この場合寿司レストラン)を始めるにあたって1番難しいのは、場所の確保。ロングイェールビーンでビジネスをするエリアは、想像以上に限られているそうです。これを乗り越えさえすれば、問題ないとのことでした。

ちなみに、「求人は、Facebooknav.noのサイトで探すといいよ」とアドバイスしてもらいました。
なかなか出ませんが、短期間のバイト募集もあるそうです。以前募集していた「迫り来るホッキョクグマを発見したら周囲に知らせる監視員のバイト」なんて、タイミングが合えばチャレンジしてみたいですね。

 

https://www.facebook.com/groups/1880619582227141/

 

https://www.nav.no/

 

スヴァールバル諸島で生活するにあたって直面する最大の課題は、厳しい気候に適応することです。「島の真の住民であるホッキョクグマの単なるゲスト」、つまりスヴァールバル諸島の住民になりたいなら、スヴァールバル諸島の役所にお問い合わせください。親切な人間が対応してくれますよ。


◆スヴァールバル出会った「世界最北の〇〇」

①世界最北のゴーストタウン「ピラミデン」

スピッツベルゲン島にあるピラミデンは、1910年にスウェーデンが発見。1927年に旧ソ連に売られ、炭鉱の採掘が盛んな町でした。炭鉱は1998年に閉鎖され、町全体が廃墟に。
現在もロシアの企業「Trust Arktikugol」が所有する、人気のゴーストタウンです。インフラは整備され、ホテルもありました。この船に乗って、ゴーストタウンツアーに出発です。

船の乗務員とガイドの方。

ゴーストタウンだけでなく、氷河や切り立った崖も見ることができるツアーの航路。

船の中も意外とスペースがあり、万が一船酔いすることがあったりホッキョクグマが襲ってきても問題なさそうです。

冬は海が凍結しているので、スノーモービルでもピラミデンに行くことができるそうです。Nordenskiöldbreen氷河や、鳥の巣がたくさんある崖などを見ながら、ゴーストタウンに向かいます

8月は巣作りの季節。幸運なことに、パフィン(ニシツノメドリ)など、様々な鳥を見ることができました。

漂流する氷の上に1匹のアザラシを発見。

ズームしてみます。遠いですが、少し動いているのを確認しました。つまり、ここにホッキョクグマがいてもおかしくないということです。

このツアーには、クジラ肉のバーベキューランチと氷河の氷が入ったウイスキーがついています。

氷河の氷が入ったウイスキーを氷河の前で飲めるなんて!期待に胸を膨らませてウイスキーを待っていると、船員2名が何やら底が網状になった物を海に投げ込みました。なんと、船の傍に流れてきた流氷をキャッチするのです。1度目は失敗、2度目で見事キャッチ。氷は現地調達だったのです!周りの景色に見惚れてあまり気にしてなかったのですが、海はちょっと汚いですね。

キャッチした流氷を甲板で船員が砕いてくれます。

長い年月をかけてできた、歴史を感じる氷です。

流氷が漂っていた海の色は少し気になりますが、いつもより美味しく感じたのは言うまでもありません。流氷はいつも流れてくるわけではなく、流れてきてもキャッチに失敗することもあって、このツアーに参加したら必ず流氷入りウイスキーが飲める保証はありませんので、ご注意ください。

ロングイェールビーンから2~3時間ほどかけてスピッツベルゲン島に到着。ここからはロシア人ガイドに交代です。ピラミデンの歴史や当時の人々の生活をわかりやすく説明してくれます。

ピラミデンには、パリやロンドンという名前がついているアパートメント、プールやスポーツ施設、学校、音楽ホールを含む文化センター、住民のための食堂施設、食料を蓄えておくための倉庫など様々な建物が存在しています。町として栄えていたことが、よくわかりました。当時ここで働いていた人々は、政府からの手厚いサポートなどもあり、住宅や食事に関しては無料でサポートされていたそうです。

世界最北にあるレーニン像。ガイドの説明によると、このレーニン像はロシアにはよくあるタイプ(量産型)とのこと。

レーニン像の背後にある文化センターでは、かつて図書館だった場所が部分的に改修されて、お土産ショップや小さなカフェになっています。

ピラミデンにはロシア産ウォッカなどもありましたが、ロシア人にとってピラミデンは馴染みのない場所で、知らない人がまだ多いとのことでした。ただ、ロシアにとっては歴史的にも意味がある場所なので、近年では観光としてくる人も増えているそうです。

「ピラミデン=廃墟の町」というイメージを持っていましたが、町の中心部分はしっかりと改修されており、あまり廃墟という印象はありません。むしろロシアの当時のものがほとんどありのままに残っていたことが
印象的でした。ちょっと離れた炭鉱場のところは、いかにも廃墟な雰囲気。行きたかったのですが、このガイドツアーには含まれていませんでした。

複数ある建物の中で、なぜかこのアパートメントのみが鳥の住居にされています。「なんで、この建物を選んだのかしら?」とガイドも首をかしげていました。鳥の鳴き声がひっきりなしに聞こえます。

②世界最北の寿司屋に行ってみたら・・・

スヴァールバル諸島にある寿司屋。それはつまり「世界最北の寿司屋」になるので行ってきました。
寿司レストランの名前は、「NUGA Sushi & Noodles」。北極圏に近い海の魚達、身が引き締まったブリブリな魚に違いありません。

場所は「Hotel Svalbard The Vault」の中にありました。

メニューから「KYOTO」を注文。

盛り付けの段階で、すでにロールが少し崩れていましたが、サーモンは予想以上に美味しい!お米は日本のお米と比べなければ、問題ありません。
ヨーロッパのお寿司は、フルーツが入っていたり、アレンジしてあることも多いのですが、こちらはシンプルなところが良かったです。

メニューを見ると、ラーメンもありました。チキンラーメンを注文。ここは世界最北のお寿司屋です。

スープが日本のラーメンと比べると少し薄いものの、ラーメンと言える味です。麺も美味しいのですが、やや柔らかく中華麺っぽいような印象。カリカリに揚げたチキンが入った創作風ラーメンです。ブロッコリーも入っていました。

餃子もあったので注文しました。

餃子は、私たちが知っている餃子の味とかけ離れていました。皮はパリパリしているのですが、味付けは甘い。ちょっと変わったスヴァールバル餃子として、食べる方がいいかもしれません。
世界最北のお寿司屋「NUGA Sushi & Noodles」は、「世界最北のラーメン屋」でもありました。

③その他「世界最北の〜」シリーズ

  • 「世界最北のドローン禁止エリア」。ロングイェールビーンは、ほとんどが禁止エリアなので、スヴァールバル諸島でドローンを飛ばすのは難しそうです。

 

  • 「世界最北の旅行者向けインフォメーションセンター」。ロングイェールビーンを安全に楽しむなら、ツアーに参加することをおすすめします。我々ももここでピラミデンへ行くツアーを予約しました。

 

  • 「世界最北の郵便局の私書箱」。たくさんの私書箱がありました。

 

  • 「世界最北の博物館」、North Pole Expedition Museumです。北極点を目指した当時の人物や状況がかなり詳しく説明されています。当時、北極点に到達することが、いかに大変でかつロマン溢れるものであったのか、伝わってきます。


◆スヴァールバル諸島いろいろ

①ロングイェールビーンのシティマップで、行きたい場所をある程度把握しておくと便利です。端から端まで歩くと1時間くらいかかると思います。

 

②ピラミデンをはじめロングイェールビーンから離れた町に行く場合に利用できる船のツアー案内です。

 

③スーパーマーケットには、寿司を作るための「Sushi Kit」を売っていました。

 

④町の中心にある炭坑夫の像。現地の人は、これを目印にハチ公前のような感覚で待ち合わせしたりするのでしょうか。

 

⑤Svalbard Buss og Taxi会社提供「地元の運転手のガイド付き、ロングイェールビーン周辺を巡る2時間タクシーツアー」に参加しました。
ロングイェールビーンから10分ほど行った丘の上からの景色です。

ガチョウのような鳥の群れとも遭遇しました。

こちらは、世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)。現在は周辺を工事中のため、近寄ることがでませんでした。あと少しで工事が完了する模様。

町の近くでは、野生のトナカイにかなりの確率で遭遇できることはびっくりしました。天敵がいないそうです。

犬ぞり用の犬達が生活している施設です。冬の本番に備え、体調を整えます。

ベテランガイドのタクシー運転手さん、ありがとうございます!

 

⑥お寿司やラーメンではなく、スヴァールバル諸島ならではのローカル料理が食べたい場合は、ロングイェールビーンにあるGruvelageretをおすすめします。

ディナーはコースメニューのみ。ユニークで拘りのある料理ばかりでした。
左がトナカイとマッシュルームソースのマッシュルームラビオリのようなもの(LOCAL MUSHROOMRAVIOLI WITH WINTERDRIED SVALBARD REINDEER AND MUSHROOM SAUCE)で、右がタラバガニソース
と焼きビーツの北極イワナ(ARCTIC CHAR WITH KING CRAB SAUCE AND BAKED BEETROOT)です。


◆現地でのSIM購入&速度調査~スヴァールバル諸島編~

スヴァールバル空港には、売店らしきものを1つも見つけることができなかったので、SIMカードも空港では手に入れることができませんでした。

スーパーマーケットにも旅行用のプリペイド方式のSIMカードを探しましたが、なかなか見つからず、今回は「GlocalMe」を使用しました。ロングイェールビーン周辺であれば、問題なく使えます。fast.comにて速度を測定してみると、想定以上の速度結果となりました。最北だからこそ、インターネットというのは、貴重な連絡手段(または暇つぶし)であったりするのかもしれません。


◆幻のドメイン「.sj」とノルウェーのドメイン「.no」

ノルウェー領スヴァールバル諸島に割り当てられている国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)は、「.sj」です。しかし、ルートサーバに登録されているものの、レジストリの方針により使用されておりません。なので、「.sj」は誰も使うことができないドメインなのです。ロンググイェールビーンの町では「.sj」の代わりに、ノルウェーの国別コードトップレベルドメイン「.no」が多く使われていました。

  • スヴァールバルのBar。Svalbardにうまくかけているところがいいですね。(http://www.svalbar.no/

  • レストランKROA 季節によっては、アザラシステーキが食べられます。ウェイトレスのお姉さんは、2019年2月からスヴァールバルで生活しているそうです。(https://www.kroa-svalbard.no/

 

世界最北の町という秘境に臨むつもりでしたが、8月は少し肌寒いだけで、ヨーロッパに住むお年寄りの避暑地でもあります。
厳しい気候を体感できる冬にも来てみたい、スヴァールバル諸島でした。

 


 

■ 今回訪れた場所

 

■ スヴァールバル諸島までのアクセスはこちら

■ 「.no」ドメインの詳細はこちら

 

復活した海賊たちは治安の悪いセントビンセント及びグレナディーン諸島にいるのか?

片道 40 時間をかけてツバルにも行ってしまうドメイン島巡り、第 15 回目はセントビンセント及びグレナディーン諸島(以下:セントビンセント)を訪れました。ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「Venture Capital(投資会社)」などの意味でも使われている「.vc」です。なお、本文内のドル表記は、すべて東カリブ・ドルとなります。※1ECD=40.96 円で計算

◆セントビンセント、どこにある?

カリブ海の小アンティル諸島にある、火山島のセントビンセント島と珊瑚礁のグレナディーン諸島から成る島国で イギリス連邦に加盟する英連邦王国の 1 つです。

= 目次 =

◆治安が悪いとされるセントビンセントを散策

◆復活した海賊

◆シャーロット砦で海賊船を探す

◆あんまり魚は食べない?セントビンセントの郷土料理

◆西半球で最も古い植物園でマラカスの起源を知る

◆暫定的に世界遺産認定された古代カリブの線刻画

◆日本の協力で作られた「リトルトーキョー」

◆現地でのSIM 購入方法&速度調査 ~セントビンセント編~

◆「.vc」のレジストリを訪問


◆治安が悪いとされるセントビンセントを散策

セントビンセントは、殺人発生率国別ランキング(2016 年)8 位で、路上等における窃盗や強盗に注意が必要とされています。注意を払いつつ、首都キングスタウンから散策スタートです。

さっそく目についたのは、ネットカフェトンガ王国では快適なネット環境を求めて彷徨いましたが、セントビンセントはどうでしょうか?

セントビンセントの国旗と同じカラーリングの階段を登って 2 階へ。

入口に到着。

中へ入ってみると、電気屋の一角がネットカフェになっていました。

2 ドル(約 80 円)で、15 分間利用可能なお試しプランを購入。ブラウザを立ち上げます。

URL を見ると、セントビンセントの ccTLD“.com.vc”ドメインでした。続いては、回線の速度を測ってみます。

速度テストサイトの計測結果は、10Mbps 。日本のネットカフェとは異なり、周りの利用者はYouTube などの動画共有サービスを見ている様子はありません。調べ物には問題のない速度ではないでしょうか。

セントビンセントでは快適なネット環境に巡り合うことができました。

多くの人が出入りするお店に行ってみると、日本でもお馴染みのケンタッキーフライドチキンでした。知っているお店を見ると少し安心します。セントビン セントにはマクドナルドがないため、貴重なファーストフード店です。

お昼時ということもあって、大混雑。

メニューを見ると、デザートも充実しています。

日本のチキンフィレサンドに近い“Zinger”をポテト、ドリンクとセットで注文。17.05 ドル(約 700 円)。”Zinger”は、ピリ辛のマヨネーズソースに揚げたての鶏肉がサンドされた、万国共通の味。

ドリンクは、“Red Kola Champagne”という炭酸飲料をチョイス。コーラ(Cola)かと思いましたが、スペルが違います

かき氷のイチゴシロップのように赤く、強い甘みを想像しましたが、酸味のあるフルーツジュースでした。どうやら、同じくカリブの島国であるトリニダードトバゴで作られている飲料のようです。カリブ地域限定メニューではないでしょうか。


◆復活した海賊

“海賊”のイメージが強いカリブ。1660 年代から 1730 年代のカリブ地域は、海賊が最も暗躍した時代です。現代では、海賊をモチーフにした作品も多く、漫画「ワンピース」に登場する“黒ひげ”や” 白ひげ”は、カリブ海を荒らしていたエドワード・ティーチという実在の海賊がモデルとされています。もう海賊は過去のものと思われていますが、実はラテンアメリカとカリブ海地域では 2017 年に 71 件の海事事件が発生、前年比で 163%の増加となりました。 セントビンセントもまた、海賊行為のホットスポットとされているのです。と言うことは、本物の海賊に会えるかもしれない?!

まずは、海賊のことを知るために映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の撮影地ワリラボウへ。

キングスタウンから車で約 30 分の場所にありました。

とても古めかしいこの建物。扉には「Port Royal Set Buildings」と書かれています。ポートロイヤルはジャマイカの町のことで、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の劇中で、ここは「ジャマイカのポートロイヤルにある建物」として登場したセットでした。

まるで貸出用ビーチパラソルのように並ぶ棺。

建物の中に入ると、主演者の写真や当時のスケジュールが展示されています。

ジャックスパロウ船長役のジョニー・デップを始め、キャストの貴重なオフショットもありました。

写真だけでなく小道具やセットも展示。

別のセットと思しき建物に入ると、大量の古い電話とレジスター等がずらりと並ぶ、映画とは無関係の倉庫でした。しかし、なぜか倉庫に麦わら風の帽子が・・・もしや、日本で最も有名な海賊も来ているのでは?!

海賊たちが集まり、当時は「世界で最も豊かで最もひどい町」と言われたポートロイヤル。港の入口には、縛り首になった海賊がそのままの状態で見せしめとして放置されたと言われています。入り江に目を向けると、“アーチ状の岩”が。劇中に登場する「海賊の亡骸が吊るされていた岩」かもしれません。

セットの大砲からロックオンしていますが、海賊船ではありません。

拷問器具「さらし台」もちゃんとありました。

セットで休憩中のわんこ。骨を差し出しても、牢屋の鍵は取ってくれそうにありません。

セットの横に併設されているカフェには、ランチメニューも用意されており、映画について思いを馳せながら食事を楽しめます。

これらのセットは入場無料。ここに来ればカリブの海賊気分を味わえます。本物の海賊に遭遇しても、分かり合える気がしてきました。


◆シャーロット砦から海賊船を探す

キングスタウンの西側にあるシャーロット砦( フォートシャーロット) に移動。1806 年に完成されたこの砦からは、キングスタウンを一望でき、グレナディーン諸島の 1 つであるべキア島を見渡せます。

ここから海賊船を探します。

給油しているかもしれません。

辛抱強く探していたら、日が傾いて来ました。

ごらんの通り、海賊船どころか船自体がいません。

海賊船探しはあきらめます。

敷地内にある建物に入ることにしました。

セントビンセントの先住民が奴隷にされていた時代を伝える絵画が展示されています。

シャーロット砦は無料で開放されている観光名所。多くの観光客に見てほしい思いから、ここに辛い歴史を展示しているのではないでしょうか。ここは絶景のサンセットスポットとしても素晴らしく、地元民も訪れる憩いの場所でもあります。男性ガイドが話しかけて来ますが、有料となりますのでご注意ください。

夕日を撮影した 360°カメラの写真はこちら。

シャーロット砦(セントビンセント及びグレナディーン諸島) – Spherical Image – RICOH THETA


◆あんまり魚は食べない?セントビンセントの郷土料理

夕食時に訪れたのは、アーノス・ベールという地域にある“Mangoz Restaurant and Bar”。

オープンテラス席に通してもらいました。海沿いのため、心地の良い風が吹き抜けます。

地ビールの Hairoun は、ハイネケンのグリーンボトルを思わすようなラガービール。あっさりとした味わいで、油分の多い食事とも相性が良さそうです。

「郷土料理のおすすめをください」とオーダー。言葉では表現しにくい色味のスープが運ばれてきました。こちらはカラルースープと呼ぶそうで、この地域で採れるサトイモ(科)の葉などをミキサーですりつぶし、味付けしたもの。ビジュアルに怯んでしまったものの、青臭さもあまりなく美味しくいただきました。価格は 20 ドル(約 800 円)。

コンク貝を使ったソテーがメインディッシュ。カレーを思わせるスパイシーなソースと、コリコリした貝の食感がとてもマッチしています。アンギラでも食されていたコンク貝は、ここでも人気のようです。価格は、55 ドル(約 2,200 円)。

エビフライもおいしく頂きましたが、海に囲まれた島の郷土料理なのに、なぜか魚料理が出てきま せん。なんでも、豊富な水産資源がありながら、庶民が魚を食べる機会は決して多くないそうです。その為、水産局は「Put a Fish on Your Dish(食卓に魚を!)」のスローガンの下、魚食の普及に努めているとのこと。セントビンセントの人達は、意外と魚料理を食べないのですね。

ここは午前 9 時に開店。閉店時間ですが、Facebook では深夜 2 時、Google マップでは午後 11 時と記載されています。


◆西半球で最も古い植物園でマラカスの起源を知る

多くの自然が残るセントビンセントには、西半球で最も古い植物園があります。1765 年に設立された、ボタニカルガーデンズです。

チケットは大人 1 名で 5 ドル(約 200 円)。入場者 1 名に対して 10 ドル(約 400 円)でツアーガイドを頼めるオプションもあります。

園内に入った途端、コーネリアスという 1 人の男性が話しかけてきました。『私がガイドをするよ』とのこと。ツアーガイドの申し込みはしていないので困惑していると、いきなり始まる解説。植物園の職員なのかも不明のまま、後をついていくことになりました。

イギリス連邦内の国のせいか、園内はイングリッシュガーデンのような雰囲気を感じます。

花や木々を観察していると、コーネリアスが 1 枚の枯葉を渡してくれました。イランイランの葉だそうです。イランイランといえば、シャネル N°5 (香水)に使用されたり、様々なフレグランスに配合されています。枯葉ですが、少し揉んでみると確かに良い香りがしてきました。

頼んでもいない男性ガイド、コーネリアスは次々と色々な葉を千切っては渡してくれます。ゴムノキでは幹の部分に傷をつけて、樹液を見せてくれました。なかなか大胆です。

日本でもお馴染みのシナモン。パウダーやスティックの状態は見かけますが、樹木での姿を見る機会は多くありません。樹皮からは、しっかりとシナモンの香りがしています。

ヤシ科のマラカは、小指の先ほどの果実が

人間の顔のサイズまで大きくなります。比較として、iPhone SE を横に置いてみました。

なお、楽器のマラカスは、この果実を乾燥させて作られたのが始まりとされています。

ミモザ(和名:オジギソウ)を観察していると、おもむろにライターを取り出すコーネリアス。すると、取り憑かれたように火をつけ始めました。

どうやら、熱刺激による葉の反応を見せてくれているようです。ミモザは、先端から順番に小葉を閉ざしていき、最終的には葉全体が垂れ下がりました。ガイドをお願いしていないのに、ここまでやってくれます。

ナツメグの実を拾って割ってくれました。お伝えのとおり、ナツメグとは食べ過ぎると、幻覚症状を引き起こ し最悪死に至る 香辛料です

最後にやって来たのは、セントビンセントの固有種であり国鳥に指定されている、オウボウシインコが飼育されている大きなケージ。コーネリアスが『ハロー!』と声をかけますが、鳥たちの返事はありません。いつもなら、鳥たちも「ハロー!」と言い返してくれるそうです。

カリブ地域の様々な植物や固有種などを間近で見られるこの植物園は、午前 6 時開園、午後 6 時閉園となっています。コーネリアスは、ガイドだったのか、たまたま居合わせただけなのか、わからないままでしたが、熱心にガイドをしてくれたお礼にチップを渡してお別れしました。


◆暫定的に世界遺産認定された古代カリブの線刻画

他部族との争いや、後のヨーロッパ人の侵略によりカリブから姿を消した先住民「アラワク族」が残した線刻画(ペトログリフ)は、カリブの島々に残っています。セントビンセントで見ることができる、ラユー線刻画公園にやってきました。

2009 年に欧州連合との協力で整備され、世界遺産条約リストにも暫定的に掲載されています。

入園料は 1 人あたり 2 ドル(約 80 円)。建物内へ入ると、カリブ地域で発見された線刻画の写真が飾られています。すると、受付兼ガイドの女性がそれぞれを解説してくれました。

しかし、あまりにウィスパーボイスな解説で、何度か聞き直すことに。訪れた際は、最大限に耳を澄ましてください。なお、写真では線刻画が白線で認識出来ますが、見やすいようにデジタル処理をしているとのこと。実物は岩に彫られた線のため、色はついていません。

いよいよ、ガイドさんと共に線刻画の場所へ。

大きな岩が見えてきました。

こちらが 、西暦 300~600 年ごろに作られたとされている線刻画です。薄っすらと、岩の表面に線が見えます。

とはいえ分かりにくいため、写真を拡大して白線でマークしてみました。いかがでしょうか。幾つかの顔が彫られているのが分かります。ガイドさん曰く、母親と子どもの様子が描かれています。

岩の上部にも、顔のようなものが彫られています。こうした線画の意味については、現在も判明していない部分が多くあるようです。

なお、この岩には近寄って触れることが出来ます。ガイドさんが岩とのツーショットを撮影してくれましたが、先ほどのウィスパーボイスはどこへやら、あまり見かけない日本人がいろんなカメラを取り出しては岩を撮影する姿が滑稽だったようで、終始爆笑していたのが印象的でした。

線刻画の謎を解き明かしに、訪れてみてはいかがでしょうか?


◆日本の協力で作られた「リトルトーキョー」

キングタウンに戻りました。治安の悪さを微塵も感じない場所ばかり巡っていたので、気を引き締め直して首都の散策再開です。

ベイストリートを歩いていると、リトルトーキョーと名付けられたバスターミナルがありました。

こちらがワゴン車を改造したバン (Van) と呼ばれる、乗り合い式のバスです。全路線がここから出ています。様々なデザインのバスがありました。日本車も見かけましたが、今のところ「東京」を感じることはできません。

同じ敷地内に、魚市場が併設されていました。活気のある人々の声に誘われて場内へ。

日本でも見たことがあるような、ないような、、多くの鮮魚が売られています。なお、セントビンセントではクジラも食すそうで、“ブラック・フィッシュ”とも呼ばれています。2015 年初頭から、沖合の浮漁礁(FADs)を使った漁業振興に力を入れた結果、この魚市場に大型の回遊魚(キハダマグロ、カジキマグロ等)が水揚げされるようになったと言われています

こちらの女性はレストランのオーナー。いつも魚を仕入れに来ているそうです。

魚市場の外壁にあるプレートには、このキングスタウン魚市場が、日本とセントビンセント及びグレナディーン諸島との間の友情と協力の証として、日本の人々から無償資金協力を得て 2005 年に完成した旨が記載されていました。1980 年代後半に日本の ODA プロジェクトによって建設された魚市場なのです。2005 年の老朽化による改修工事の際も、日本から無償資金協力が行われています。

このような経緯からか、魚市場や併設されたバスターミナル周辺は「リトルトーキョー」と呼ばれています。


◆現地でのSIM 購入方法&速度調査 ~セントビンセント編~

海外用の WiFi レンタルサービスが増えてきていますが、場所によってはカバーされていない区域もあります。このような場合、現地のSIM を購入するという手段があります。

セントビンセントでポピュラーな通信会社は FLOW の SIM を、アーガイル国際空港内で購入しました。

こちらがFLOW のSIM です。店員がアクティベーションまで行ってくれて、とても助かります。購入したのは、1 週間で 500MB のプラン。価格は、15 ドルです(約 600 円)。

アクティベーション後の速度計測結果は 14Mbps。調べ物をするには問題なく、町中でも快適に利用できました。

空港内には FLOW 以外の通信会社は見当たりませんでした。


◆「.vc」のレジストリを訪問

セントビンセントの ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.vc」です。地元の出版社やインターネットサービスプロバイダーで使われているのを発見。

今 回 は 「 .vc 」 ド メ イ ン の レ ジ ス ト リ で あ る 、 NTRC ( National Telecommunications RegulatoryCommission)を特別に訪問させて頂きました。到着したのは、キングスタウンの中でもかなり立派なビル。

階段を登っていくと案内が出ています。

NTRC の局長、アポロ・ナイト氏が応対してくれました。「.vc」が投資会社の略として使われていることについては、「レジストリが意図しないことだったけど、ユーザーが増えたのはとても良いこと」と捉えていました。国内でのドメイン利用状況等についても、お話頂きました。

最後に、「vc ドメインはとてもクールなドメインです。また、セントビンセント自体も観光をするのに素晴らしい場所ですよ!」とコメントされたナイト氏は、とても気さくな局長でした。

 

結局、セントビンセントの治安の悪さに触れることはありませんでしたが、これからも細心の注意を払いながら、ドメインのある島を巡って参ります。

 


 

■ 今回訪れた場所

 

■ セントビンセント及びグレナディーン諸島までのアクセスはこちら

■ .vcドメインの詳細はこちら