「西のエメラルド」と呼ばれているのに、世界で最も観光客が少ない国4位のモントセラトは、1980年代中盤までは人気の島でした。1980年代後半以降、ハリケーンや噴火によって壊滅的な被害を受け、観光客の足は遠のいています。ホテルの予約もなかなかできません。今、モントセラトに見るべきものはあるのでしょうか?実際に行って確かめてきました。モントセラトに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.ms」です。
※取材は2020年2月上旬に行われました。
◆モントセラトはどこにあるのか?
モントセラトは、南北アメリカ大陸に挟まれたカリブ海に浮かぶ火山島。イギリスの海外領土です。母国語は英語、通貨は東カリブドルです(1東カリブドル=約40円)。
= 目次 =
◆世界の最も短い国際線8位に乗ってモントセラトへ
◆海外ホテル予約サイトからの手配が難しい
◆ゴーストタウンになった元首都プリマスと建設中の新首都リトルベイ
◆モントセラトにまた来たくなる水を飲む
◆なぜか「やきとり」がある~モントセラトの食事事情~
◆出国税と小さ過ぎる帰りの搭乗券にご注意~モントセラトいろいろ~
◆街で見かけたドメイン「.ms」
◆現地でのSIM購入&速度調査~モントセラト編~
◆世界の最も短い国際線8位に乗ってモントセラトへ
日本からはアンティグアバーブーダ島を経由してモントセラトに向かいます。日本からアンティグアバーブーダまで約49時間25分。アンティグアンティグアバーブーダからは、カリブ海を中心に島間を飛行するリアット航空の便で約30分、飛行距離は48km。この路線は世界の国際線“超ショート”フライト8位にランクインしています。
機体のバランスをとるため、小さな旅客機では恒例の「公開体重測定の刑」(チェックイン時に体重測定)が執行されます。
我々が搭乗するプロペラ機が見えてきました。
当便のパイロットは女性です。かっこいいですね。
狭い機内は、パイロットを含めて8人しか乗れません。
離陸後、気がつくとモントセラトが見えてきました。
着陸態勢に入ります。まさにエメラルドグリーンな海。
約30分でモントセラトのジョン A. オズボーン空港に到着。羽田空港から大阪国際(伊丹)空港は約1時間かかりますが、我々は約30分で別の国へ移動しました。空港は、今までの島巡りで一番小さく、まるで一軒家のようです。
◆海外ホテル予約サイトからの手配が難しい
モントセラトを取材するにあたって、著名な海外ホテル予約サイト数社で手配を試みましたが、ブエノスアイレス(アルゼンチン)にあるモントセラトのホテルばかりが表示され、一向に予約ができません。ツバルやアセンションですら、簡単に予約できたのに。。。そこで、モントセラト観光局のホームページを見てみると、ホテルが2つ紹介されていました。
ホームページがある方のホテル「TROPICAL MANSION SUITES」を選択。メールで問い合わせると、無事に宿泊予約ができました。ホテルは空港から約1キロのところにあります。
受付のスタッフが笑顔でお出迎え。チェックインもスムーズです。
広々とした部屋はエアコン完備。快適です。水回りも清潔で、シャワーの水圧も問題ありません。海外ホテル予約サイトで宿泊先が見つからない場合、観光局のホームページをチェックすることをおすすめします。
◆ゴーストタウンになった元首都プリマスと建設中の新首都リトルベイ
1989年9月、最大風速60m/s以上のハリケーン「ヒューゴ」が直撃、島の9割以上に被害をもたらしました。1995年7月には、標高915mのスーフリエールヒルズ山が300年ぶりに噴火。人口の2/3が島外へ避難、イギリスは救助のために軍艦を派遣するほどの大災害に見舞われました。そして2年後の1997年、再び同火山が噴火。首都プリマスが火山灰に覆われ、壊滅的被害を受けました。更に2003年、同火山が大噴火。多くの建物が破壊されてしまいました。
まずは、スーフリエールヒルズ山の北側を散策。景色に溶け込んでいますが、ほぼ全壊した建物があります。
廃墟になったホテル。
他にも廃墟が多数目につきます。
島の南側「Zone V」は進入禁止エリアでした。
かつてこのゾーン内には、ビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティン氏が所有するレコーディングスタジオ「Air Studios(アソシエイテッド・インディペンデント・レコーディング)」がありましたが、1989年の噴火によって閉鎖に追い込まれました 。
昔、サトウキビを粉砕して砂糖を作っていたシュガーミルドーム。放し飼いのヤギの群れが目の前を通り過ぎていきました。
現在はブレイズが臨時首都ですが、新首都として建設中のリトルベイに行ってみます。リトルベイ(場所:https://goo.gl/maps/hyK6kJmQXVeMzasq6)は、旧首都プリマスより北に位置します。
警察署、消防署、郵便局、刑務所が同じ敷地にあります。こちらは警察署。
消防署。
刑務所です。高いフェンスの上に有刺鉄線が巻かれています。
◆モントセラトにまた来たくなる水を飲む
現在のモントセラトに観光スポットは無いのか?ホテルの受付にあったパンフレット「モントセラトでやるべき50のこと」を参考に、おすすめの場所に行くことにしました。
まずは、バーベキュー場として現地の若者にも人気のジャックボーイヒルに向かいました。移動はタクシーです。1日のチャーター料金は200米ドル(約21,000円)です。
爆音のレゲエミュージックが流れるジャックボーイヒルに到着。これは、バーべキュー場で流しているわけではなく、遊びに来た人の車の上に置いたスピーカーから。ナイスサウンドシステムです。
数組の地元の若者達がバーベキューを楽しんでいます。
やさしいお姉様のご好意でチキンを頂きました。たっぷりついた甘辛いバーベキューソースが美味しい!
御礼に日本のチョコレートをあげたら、あっという間になくなってしまいました。
観光客にとってジャックボーイヒルは、美しい海や活火山のスーフリエールヒルズが見渡せるモントセラトの絶景スポットでした。
ジャックボーイヒルの次に向かったのは、ランアウェイガウト。ここの天然水を飲んだら、再びモントセラトに戻って来られるという伝説があります。
とりあえず飲んでおきました。
◆なぜか「やきとり」がある~モントセラトの食事事情~
イギリスの海外領土のモントセラトは、イギリス料理とカリビアンフードが中心です。タクシーの運転手さんおすすめのアイルズベイビーチバーで現地の料理をいただきます。
フィッシュ&チップス、45東カリブドル(約1,800円)。
大麦の麦芽とトウモロコシの抽出液を発酵させたビネガー「モルトビネガー」をかけて食べました。イギリスではフィッシュ&チップスに欠かせないそうです。お酢に麦芽のコクを足した味つけです。
本日の焼き魚のランチ。35東カリブドル(約1,400円)。白身魚なので臭みがなく美味しい。
泳いでいる人が、こちらに向かって手を振ってくれました。
夕食はホテル周辺のレストランで、と考えていましたが、Googleマップで見つけたいくつかのレストランはすべて閉まっていました。日曜日の夜なので、レストランだけでなく、他のお店も閉まっています。唯一オープンしていたリチャードサムエルショップ。
本日の夕食は、ホテルのレストランに決めました。
「Blackened Catch of the Day」は今日のお任せ魚料理。55東カリブドル(約2,200円)。魚はグリルしただけですが、鶏肉のように柔らかく臭みがなく食べやすい。付け合わせの野菜も新鮮でとても甘いです。
「Chicken Yakatori」。50東カリブドル(約2,000円)。「Yakatori」(やかとり)は、おそらく「Yakitori」(やきとり)と思われます。見た目はまっ茶色にもかかわらず、生姜焼き風の味付けで美味しい。日本から約14,000kmも離れた、観光客が少ない島でも日本食のメニューがあることに驚きました。
モントセラトのイングリッシュブレックファースト。トーストの代わりに出されたのはジュニーケーキ。ジョニーケーキはコーンミールのフラットブレッドです。パサついていて、ドーナツのような味です。
◆出国税と小さ過ぎる帰りの搭乗券にご注意~モントセラトいろいろ~
「太陽健機レンタカー」と書かれた日本製と思われるトラックが走っていました。
スーパーマーケット「Aravins Enterprises Inc」。
野菜はフロリダから輸入しています。
カニカマも売っていました。
火山のように口がホットになる激辛ソース。12東カリブドル(約480円)
一見すると釣り帰りのようですが、魚の移動販売を発見。
地元の大人たちが興じているゲーム。キプロスでは、オープンテラスでバックギャモンを楽しむ姿が見られましたが、これはなんと言うゲームなのでしょうか?
空港前にあったお土産店「LAST CHANCE」。
空港内にお土産店はないので、お店の名前通り、お土産を買う最後のチャンスです。
なかなか広い店内。
火山灰も売っていました。13.5東カリブドル(約540円)
St. John’s Dayをお祝いするカーニバルが毎年12月下旬から開催されています。特徴的な仮面を被って練り歩くようです。
海の砂が黒い、ウッドランズビーチ火山灰が混じっている影響で黒いのでしょうか。
鮮やかな色をしたトカゲがいました。
モントセラトからアンティグアバーブーダに戻る飛行機では、自由席となります。小さいレシートのようなものが搭乗券(写真右)になりますので、紛失しないように気をつけてください。
また、出国税を支払う必要があります。Embarkation Tax(乗船税)10ドル、Airport Tax(空港税)4ドル合計14ドルの他に、 24時間以内にアンティグアバーブーダに出発しない場合、更に37.50ドルかかります。
これは出国手続カウンターに書いてありました。
◆街で見かけた「.ms」ドメイン
「.ms」というと、マイクロソフト社のドメインを連想してしまいます。しかし、「.ms」は、モントセラトに割り当てられたccTLD。マイクロソフト社とは無関係です。でも、同社が「.ms」を利用しているケースがあるのです。
xbx.msとwndw.msは、URL短縮サービスとして同社が運用しています。モントセラト島民が使う「.ms」は、島内の至る所で見かけることができました。
モントセラト赤十字 redcross.org.ms
水道及び電気会社 mul@mul.ms
◆現地でのSIM購入&速度調査~モントセラト編~
1GBで3日間利用できる現地SIMをFLOW で購入しました。カリブ海の他の島々でも使えます。16東カリブドル(約640円)でした。
速度は2.8Mbps。安定していました。
モントセラトにはDigicelの店舗もありました。モントセラト空港のWiFiは1.2Mbps。GigSkyのeSIMは、7.1Mbps。宿泊したTropical Mansion SuitesホテルのWiFiは4.7Mbps。モントセラトはインターネット接続で困ることはありませんでした。