新婚旅行でモルディブに行っても気づかなそうなことを現地調査

新婚旅行や海外ウェディングで常に人気のモルディブと言えば、エメラルドグリーンの海、水上コテージ、クルージング、シュノーケリングなどなど、カップルやマリンスポーツ好きな方々に愛されている国です。カップルでもマリンスポーツ好きでもないドメイン探検隊がモルディブを現地調査しました。今回訪れたモルディブに割り当てられているccTLDは、「.com.mv」です。

 

◆モルディブはどこにあるのか?

モルディブ共和国は、スリランカ南西のインド洋に浮かぶ26の環礁や約1,200の島々で構成されており、そのうち約200が有人島です。正式名称はディベヒ語で、ދިވެހި ރާއްޖޭގެ ޖުމްހޫރިއްޔާ(ディヴェヒ・ラーッジェーゲ・ジュムフーリッヤー)。

 

= 目次 =

◆予約なしでエアタクシーに乗れるのか?

◆モルディブのカツオ節

◆不法就労、医師不足・・・日本大使館でいろいろ聞きました

◆首都マレを助ける人工島

◆国立博物館で買った警察官のかっこいいポストカード

◆モルディブの食事事情

◆SIM速度調査

◆ミロ配送専用トラック~モルディブいろいろ~

 


◆予約なしでエアタクシーに乗れるのか?

モルディブでは、「1島につき1高級リゾート」という場所が多くあり、これらに宿泊する場合は国際空港がある首都マレから高速ボート、またはエアタクシー(水上飛行機)で移動することになります。エアタクシーに乗れるのは、目的地となる島のリゾート施設の宿泊客とフォトフライトのみ。フォトフライトとは、上空からの写真撮影のみを目的とした遊覧飛行プラン。どこの島にも降りることはできません。我々ドメイン探検隊は高級リゾートに泊っていないし、フォトフライトの予約もしていませんが、どうしてもエアタクシーに乗りたいので、チャレンジしてみることにしました。

実は事前に日本から、エアタクシー会社のモルディビアンと、トランスモルディビアンエアウェイズへフォトフライトの予約についてメールで問い合わせをしましたが、回答を得ることはできなかったので、カウンターで直接交渉します。

午前9時、マレ国際空港の到着ゲートを出たところで、エアタクシーのカウンターを探します。

離島のリゾート施設やレストランの受付カウンターがたくさんあります。

モルディブ初のアイススケートリンクを作ったジュメイラホテルズの受付もありました。

2019年11月にモルディブ初となるエアタクシーの定期便運行を発表した”マンタエアー”がありました。しかし、職員が誰1人いません。ここは諦めましょう。

モルディヴィアンを発見。さっそく「リゾートに宿泊する訳ではないのですが、搭乗できますか?」と聞いてみたところ「できません」と、やっぱりお断りされてしまいました。フォトフライトについて聞いてみると、「貸切のフォトフライトなら可能です」と即答。肝心のお値段を聞くと「1フライト、10万円です」。あまりにも高額で驚きましたが、お願いすることにしました。

ちなみに、同社公式サイトのドメイン「.aero」は、航空業界のメンバー以外は使用できないドメインです。

「それでは、今日中に乗れるように手配するので、13時に戻って来てください」という指示を受けます。13時までまだ時間があるので、トランスモルディヴィアンエアウェイズのカウンターへ。モルディヴィアンと同様の質問をしましたが、同じく即答でお断りされてしまいます。こちらもフォトフライトならOK、でも本日の運航はなし。翌日以降に空きがあればとのことで断念しました。

トランスモルディヴィアンエアウェイズのパイロットは、裸足で操縦するそうです。

エアタクシーには、時刻表が基本的に存在せず、各リゾートやその宿泊者からの依頼を受けてスケジュールを組み立てているようでした。ラブワゴンぽい車を見たりしながら時間が経つのを待ちます。

13時少し前に、モルディヴィアン航空のカウンターへ戻ります。午前中に話をした男性スタッフが不在のため、他のスタッフに「フォトフライトの搭乗予約をしたのですが」と切り出すと、「フォトフライトの便は、もう出発しましたよ」という答えが返って来ました。。。我々が聞き間違えたのか、、、航空会社スタッフ間の伝達ミスなのか、、、はっきりしているのは、我々はエアタクシーに乗ることができない、ということです。

搭乗時の支払いだったので金銭的な損害はありません。モルディブでフォトフライトができたら、かなりラッキーなのかもしれません。


◆モルディブのカツオ節

「日本のカツオ節の製法はモルディブが起源」という説があります。モルディブのカツオ節とは・・・?実際に見て確かめましょう。首都マレにある魚市場に向かいます。

随分と塗装がはがれているのか、個性的なデザインのか。よく見るとタクシーでした。

大統領専用の船着場があったので立ち寄ります。

係留しているこの船、地元のおじさん曰く「これは大統領の船ではないよ」。

「大統領専用はあっちだよ」と別の地元の方が教えてくれた先には、停泊中2隻の船(A555とA558)がありました。係留していた船のクラスと変わらないようにも見えます。

その2隻を挟む2隻の沿岸警備隊の船。手前の船名は”イスカンダル (ISKANDHAR)”。
もう1隻は”ヌールアディーン(NOOR ADHEEN)”と書かれていました。宇宙戦艦ヤマトは関係ないようです。

歩いていると、地面から青いパイプが出ているのをよく見かけました。工事現場などから出る下水を排出するパイプだそうです。

パイプの出口は海でした。

魚市場に到着しました。青い看板には、目立つように何か書かれています。しかし、ターナ文字で書かれているので、何を意味するのかさっぱりわかりません。ターナ文字とは、モルディブの公用語であるディベヒ語の表記として用いられています。

新鮮なカツオがずらっと並んでいます。

奥ではマグロ(キハダマグロ)を解体していました。マグロのような大きな魚は、購入者の希望に合わせて捌いて売っています。

魚を捌いた時に出る大量の“あら”は、魚市場内に置かれたバケツに貯めてられ、ある程度 一杯になったら目の前の海に撒いています。その様子が見たいので少し待ちました。

どこからともなく海鳥がやってくると、海面には無数のエイが。どうやら彼らはあらが撒かれる時間を知っているようです。

程なくして魚市場の人が“あら入りバケツ”を持って登場。一気に海へ撒きます。鯉の入れ食いのような状態を想像していたのですが、海鳥もエイもそれほど寄ってきません。

新婚旅行でモルディブに訪れたカップルが見ないであろう‟あら撒き“イベントに立ち会えたのは良いのですが、カツオ節が見当たりません。魚市場と道を挟んで隣り合っている青果市場に行ってみます。

多くの人とバナナで賑わっています。

ありました。カツオ節です。現地では“モルディブ・フィッシュ”と呼ばれていて、古くから料理に使われています。

魚の種類は分かりませんが、こちらもカツオ節の一種。試食させてもらうと、見た目よりも硬くない!ジャーキーのような食感。しかし、強烈な匂いが立ち込めていました。


◆不法就労、医師不足・・・日本大使館でいろいろ聞きました

モルディブのことをもっと知りたくて、在モルディブ日本大使館とJICA(独立行政法人国際協力機構)を訪ねました。まずは、大使館です。男性スタッフにご対応頂き、モルディブのあまり知られていないこと、今問題となっていること等を教えてもらいました。

 

・外国人オーナーの独立や開業はできない
イスラム教のモルディブには、法人税や所得税がありません。しかし、タックスヘイブン(租税回避地)ではないのです。支社(支店)であれば問題はないので、日本の企業も進出しています。ちなみに、モルディブは外国人に永住権を与えていません。

 

・世界一と言われる人口密度と医師不足
人口密集によって都市部の渋滞がひどい。東西約2.5キロ、南北約1.5キロの首都マレには、モルディブの総人口の3分の1から4分の1にあたる13万人あまりが暮らしており、その人口密度は世界一とも言われています。また、モルディブには医学部のある大学がありません。医師を志す場合、海外の大学で医学を学びます。マレには医師が少なく、適切な手術や処置を行っているのか不安視されていますが、高級リゾートホテルには専属の医師がいます。

 

・不法滞在者による不法就労
2019年10月より、不法に滞在する外国人労働者をガロル国立競技場に集めて、不法滞在外国人労働者の登録を受け付けています。そう言えば、我々が同競技場を訪れた時、試合中でも無いのに観客席にはちらほらと人がいました。

参考 在モルディブ日本国大使館

 

・フェリーでの盗難被害
大きな荷物については船員が運んでくれますが、 この際に荷物の中身を取られたなどの盗難被害が発生しています。国際空港への移動にはタクシーも利用できますが、有料フェリーでの移動が一般的です。チケットは1人あたり3ドル。貴重品は手荷物に入れるようにして、気をつけてください。

続いて訪問したJICAでは、赴任したばかりの女性スタッフにお話を伺いました。モルディブでは他の国のようにシニアが活躍できる環境ではないこと、イスラム教地域は制限されることが多いので住みやすいとは言いづらい、というお話が印象に残りました。

ちなみに、魚市場のあら撒きイベントは日本大使館で聞きました。日本大使館の男性スタッフは、「家族には、モルディブというイメージがあってか‟優雅に仕事をしている“と思われています。確かに、オフィスからウミガメやイルカをたまに見ることはありますが、人が凄く多くて優雅な環境とは言えませんよ」と教えてくれました。突然の訪問にもかかわらず、親切に対応してくれた在モルディブ日本大使館及びJICAのスタッフの皆様、ありがとうございます。


◆首都マレを助ける人工島

人口密度世界一とも言われるマレ島の人口圧力を軽減するために造成されたフルマーレ島は、モルディブの北マーレ環礁の南に位置する人工島です。マレと比べると近代的で色鮮やかな建物が目立ちました。

プレスクールの表門に、在籍していると思われる生徒の名簿が掲示してありました。日本では考えられないですね。

正午前に“マスジッド・ハマッド・ビン・カリーファ・アル=タニ”というモスクで、お祈りが行われていました。モスク周辺を歩く人も足を止めて祈りをささげるのかと思いきや、そのような人はいませんでした。


◆国立博物館で買った警察官のかっこいいポストカード

モルディブ博物館は、モルディブの歴史が学べる博物館として、首都マレのスルタンパーク内にあります。

入館料は大人1人で100ルフィヤ(約700円)。さらに館内で写真撮影する場合は、10ルフィヤ(約70円)を追加で支払います。撮影代を払っても、フラッシュを使用した撮影は禁止です。荷物を入れるためのロッカーは、無料で貸してくれます。

展示室は2階まであります。まずは1階から。館内は広く、モルディブで発掘されたサンゴの石で出来た小箱などが展示されています。

その中には現代的なものも。モルディブで使われた最初の電話のうちの2機。

「モルディブで最初に使われたコンピュータシステムのCPU」。年代を感じさせるサイズです。

国立博物館の1コーナーとして切手収集博物館もありました。

お土産コーナーでは現在発行されている切手を購入することもできます。

さらに奥へ進むと、警察官(マネキン)が現れました。]

なんと、ここからは警察博物館のコーナーがスタート。モルディブの警察の歴史を展示。

もちろん、お産コーナーもります。目を奪われたのは、警察官のポストカードでした。

上は「話し合う警察官たち」。下は「拳銃を携えて部屋の様子を伺う警察官」と思いきや、「ドアノブに付着した指紋を採取する警察官」でした。こんなかっこいいポストカードには中々出会えないので、速攻で購入。キャップも買えば良かったと後悔しました。

2階に上がります。

鯨の骨や象牙、船の模型等が並ぶ中、モルディブの有名なバンド「オリンピアンズ」が使用した楽器が展示されていました。

YAMAHA「YC-20」(ステージピアノ)

YAMAHA「BE-200」(ベースアンプのヘッド)

ELK「VIKING 60」(ギターアンプのヘッド)


◆モルディブの食事事情

歩き疲れたので、カフェで一休みします。お店の名前はハイウェイコーヒーショップ(Highway Coffee Shop)。

落ち着いた色合いで統一された店内。注文を受けてから作るスタイルです。

コーヒーはデフォルトでミルクが入っていました。もう一品は、アイスジンジャーレモンティーです。

モルディブに限ったことではありませんが、イスラム教の信仰地域では飲酒や酒類販売が禁止されています。スーパーではモヒートなどが売っていましたが、すべてノンアルコール。

「ホテルならばビールを飲めるかもしれない」と思いましたが、滞在したマレのホテルでもアルコールは取り扱っていませんでした。こちらも、ノンアルコールのビール(3.2ドル)。

フルマーレで見つけたお寿司屋さん、その店名はずばり「Oishi」。ラーメンと巻き寿司を注文します。お店の名前のとおり、美味しいのでしょうか?

チキンラーメン(185MVR)

巻き寿司のカリフォルニア(150MVR)

巻き寿司のゴールドラッシュ(180MVR)

どの料理も美味しく頂きました。デザートは、「チョコレート・ミソ・ラヴァ・ケーキ」を注文(80MVR)。フォンダンショコラに味噌が入っていて、上にバニラアイスとベリーソースをかかっています。「ラヴァ(lava)」は溶岩のこと。 こちらも美味しかったです。

ローカルフードを食べに「ディドゥーホテル(カフェ)」(Dhidhoo hotel (Cafe))へ。
地元民の利用者が多いお店。店内は窓が開放されていて空調も効いていません。しかし、我々は冷房の効いた個室に案内してもらいました。VIP扱いです。外国人だからかもしれません。

モルディブの朝ごはんの定番であるマスフニのモーニングを注文。マスフニとは、ディベヒ語で「マス」は魚、「フニ」はココナッツを意味します。

これがマスフニ。ソーセージを挟んで2つに分けられていますが、微妙に味が違います。片方はマグロ、もう片方はカツオの味。マスフニをロシに包んで食べます。美味しい!

玉ねぎを使ったケーキと、どら焼きの皮を半分に畳んだようなデザートも注文しました。見た目通りの‟自然な甘さ“を堪能。最後に会計を済ますと、ちゃんと‟VIPチャージ”が含まれていました。

 

もう一軒、ローカルフードが食べられるお店「ベルアミービストロ」(Belle Amie Bistro)に行きます。ここでは、家庭料理のガルディアを注文。

メニューには載っていませんが、オーダーをすれば作ってくれます。お店によって味が異なるとは思いますが、意外に酸っぱい。トムヤムクンの「辛さと海老抜き」のような味わいです。カツオの出汁もそこまで感じません。薄味でした。


◆現地でのSIM購入&速度調査~モルディブ編~

今回は、オレドー(Ooredoo)とディラーグ(Dhiraagu)のSIMカードを試しました。マレ国際空港内で購入できます。

どちらも15ドルで4GB(期限7日間)のプラン。 ディラーグはドメイン「.mv」のレジストリでもあり、日本で言えばNTTぐらいの規模を誇る企業です。速度は25Mbpsでした。

カタールに本社を置くオレドーのSIMの速度は14Mbpsでした。


◆ミロ配送専用トラック~モルディブいろいろ~

セントビンセントのドメイン.vc」のレジストリを訪問したように、街を散策しながら「.mv」のレジストリへ向かいます。

モルディブで聞く「バックします、ご注意ください」。ツバル(.tv)でも耳にしました。

トラックにうず高く積まれているのは、すべて“ミロ(MILO)”。ミロだけを運ぶ、ミロ専用トラックです。日本のテレビCMでは「スポーツをする子供たち」がイメージとして使われているため「子供の飲み物」のイメージが強いかもしれません。しかし、中南米やアジア(特に東アジア、東南アジア地域)では、成人にも好まれているとのこと。確かに、モルディブでもよく見かけました。

日本語で話しかけてくるモルディブ人が増えてきたと思ってたら、目に飛び込んできたのは「竹中直人さんのお店」!しかし、俳優の竹中直人さんとは全く関係のないお土産屋さんでした。店名の由来は、この店のオーナーが竹中直人さんに似ているからとの噂があります。

こちらの「ナルト君のお店」も日本人向けのお土産屋さん。この近辺では、我々が歩いていると、無理やりついてきては勝手にガイドを始める人が大勢いました。ガイドを聞いてしまうとお金を請求されますので、ご注意ください。

お相撲さんが満面の笑みでPRしているのは、塗料のリーディングカンパニー ”Nippon Paint(日本ペイント株式会社)”。「シンガポールで最も支持されている塗料ブランド」と書かれています。

工具屋や、ペンキなどの塗料を売っているお店が多かったです。

スポーツブランドショップかと思いきや、とてもお洒落に作業服やヘルメットなどが売っていたお店。

トンガでは模造品でしたが、モルディブでは正真正銘のミカサのバレーボールが売られていました。インド洋地域では、1976年に国際オリンピック委員会に認定された“インド洋諸島ゲームズ (Indian Ocean Island Games)”と呼ばれるスポーツ大会が開催されています。競技種目はバレーボールや柔道、卓球など。2019年の大会では、女子卓球(団体)においてモルディブが金メダルを獲得。地元紙では「歴史的な勝利」と報じられました。2023年に行われる大会では、モルディブがホストを務めることが決定しています。

島内ではバイクを運転する際に、ヘルメットの着用義務はないようです。

街中で見つけたモルディブのドメイン「.mv」と「.com.mv」です。

.mv」は、オンラインの登録ができないことや維持にコストがかかることを理由に、政府や大企業の利用に限られています。政府や大企業以外は、「.com.mv」や「.net.mv」を利用する傾向にあります。

さて、地図を見ると「.mv」のレジストリに到着のはずですが、それらしい建物はなく、そこにあったのは大統領官邸(ムーレアージェ、Muleeaage)でした。残念ながらレジストリの住所(19 Medhuziyaaraiy Magu Male 20-02 Maldives)を見つけることはできませんでしたが、思いもよらない形で観光スポットに辿り着きました。

”つづく”という日本語が書かれたTシャツを来ている男性を発見。下には「To Be Continued!!!」と書かれているので、意味は間違っていないことを伝えると、笑顔で撮影に応じてくれました。ドメイン島巡りも、まだまだ続きます。

 


■今回訪れた場所

 

■ モルディブまでのアクセスはこちら

■「.com.mv」ドメインの詳細はこちら

ナポレオンが流されただけじゃない!Googleが海底ケーブルを敷設するセントヘレナ島は187歳のゾウガメがいて心霊スポットも充実していた

イギリスの海外領土であるセントヘレナ島は、フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが生涯を終えるまで幽閉された流刑の島として知られています。最近では、Google社によって最新テクノロジーの海底ケーブルが敷設されることが発表され、話題になりました。アセンション島でワン切り国際電話の調査を試みようとしたドメイン探検隊は、あなたも知らないセントヘレナ島の魅力を探ってきました。
セントヘレナ島に割り当てられている ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.sh」です。

◆セントヘレナ島はどこにあるのか?

セントヘレナ (Saint Helena) は、南大西洋に浮かぶイギリス領の火山島でアフリカ大陸西岸から2,800km離れた場所にある火山島。面積はわずか122平方キロメートル。「絶海の狐島」と呼ばれています。人口は約4,500人。行政上はイギリスの海外領土セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャに属する一区域で、公用語は英語です。通貨は「セントヘレナポンド(SHP)」ですが、「英ポンド」も問題なく使用できます。本文内のポンド表記は全て英ポンド。1ポンドは、およそ141円(2019年12月現在)です。


= 目次 =

◆ヨハネスブルグで大ピンチ

◆途中で給油して「世界で最も使えない空港」に到着

◆閉館日でも入れる?!ナポレオン邸とジェイコブズラダー

◆Googleが主導して敷設する海底ケーブルの予定地と噂される場所を発見!!

◆心霊スポットが充実しているセントヘレナ島

◆187歳(天保12年生まれ)のゾウガメ「ジョナサン」に会いたい

◆90歳を超えて初めて日本人に会ったおばあちゃん~セントヘレナ島いろいろ~

◆セントヘレナ島の食事事情

◆現地でのSIM購入&速度調査~セントヘレナ編~

 


◆ヨハネスブルグで大ピンチ

日本からは、シンガポール、ヨハネスブルグを経由してセントヘレナ島へ向かいます。以前は南アフリカのケープタウン~セントヘレナ間を、英郵便事業会社ロイヤルメールの時速15ノット(28キロ)の船で4泊5日かけて行く海路しかなく、運航も月に1回程度でしたが、2017年10月よりヨハネスブルグ空港からエアリンク社の定期航空便が週1回運航するようになりました。

ヨハネスブルグまでは滞りなく順調でした。しかし、セントヘレナ島に向けて出発する時、ヨハネスブルグO.R.タンボ国際空港で問題が発生しました。セントヘレナ島に渡航する際、海外旅行傷害保険に加入していることが義務化されています。我々が持参しているクレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯しているので、クレジットカードを提示したところ、チェックインカウンターの女性は「証明書を見せてください」と、カードを無視しました。懸命に英語で説明を試みますが、受付の女性は厳しい表情のまま。「証明書が無いとチェックインできません」の一点張りです。

このままではどうしようもないので、クレジットカードの補償費用が書かれたサイトを見せたところ、ようやくOKが出ました!受付担当者にもよるとは思いますが、念のため外国語で書かれた保険の加入証明書(付保証明書)をプリントアウトしておくことをおすすめします。空港内のインターネット接続環境(wifi)は快適でした。

やっとセントヘレナ島行きの飛行機の搭乗口に辿り着きました。無事に間に合いました。ちなみに、ヨハネスブルグには都市名ドメイン「.joburg」があります。

 


◆途中で給油して「世界で最も使えない空港」に到着

ヨハネスブルグを出発して2時間。飛行機は給油のため、砂漠の真ん中にあるナミビアのウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港に立ち寄りました。

着陸すると、機体のハッチが開きました。これからタラップがつけられます。辺り一面砂漠の空港に降りられるなんて!胸が高鳴ります。

客室乗務員より「降りることはできませんよ」と言われてしまいました。着々と給油が続きます。結局、約1時間の給油タイム。ちなみに、ナミビアに割り当てられているccTLDは「.na」です。

ウィンドフック・ホセア・クタコ国際空港を出発して1時間15分後、セントヘレナ国際空港に到着です。2017年にできたばかりということもあって、近代的で立派な空港。

入国税20ポンド(約2,800円)を支払い、入国です。入国スタンプは鳥、出国スタンプは亀。可愛いですね。この島には世界最高齢のゾウガメ「ジョナサン」がいるのです。入国税は、ユーロ、アメリカドル、南アフリカランドでも支払い可能でした。居住者用審査ラインは混雑しているものの、ビジターラインはガラガラ。観光客は多くないようです。

空港内の売店には、お土産用のマグカップ、コーヒー、チョコレートなどが売っています。お土産を全く売っていないアセンション島の空港とは大違い。スナックやジュースなどもあって普通の空港と変わりません。何を以て「世界で最も使えない空港」と言われるのでしょうか?それは、空港の総工費2億8500万ポンド(約406億円)で工期が5年かかり、2016年開港予定が、記念式典開催日の数週間前になって風が強すぎて離着陸が想定以上に難しいことが判明して、試験飛行と再検討に1年以上かけた末、航空機を当初計画のボーイング(Boeing)737型機からエンブラエル190型機に変更することでようやく定期便就航にこぎつけた経緯が原因のようです。※参考 AFP

 


◆閉館日でも入れる?!のナポレオン邸とジェイコブズラダー

フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが幽閉された流刑の島として知られるセントヘレナ島。そのナポレオンの邸宅「ロングウッドハウス」は、この島の最も有名な観光名所と言って良いでしょう。観光名所や、行ってみたい気になるスポットには、御年79歳のベテランガイドのラリージョンソンさんが連れて行ってくれます。ラリーさんへ支払うガイド料金は、2日間で200ポンド(約28,000円、2名分、空港送迎、チップ代込み)でした。それでは、旅行番組で何度となく取り上げられているロングウッドハウスに行ってみましょう。

空港周辺は火山島だけあって壮大な岩場が広がっています。

だんだん草木が増えてきました。

空港から車で15キロ程の所で、島で一番大きな町であるジェームズタウンが見えてきました。人口は600人程度で高さ150mの谷に囲まれた狭い土地に築かれている町です。

1815年にセントヘレナ島に流されたナポレオンが6年後に死を迎えるまで暮らしたロングウッドハウスに到着。ナポレオンの息吹を感じることができると思うとドキドキします、が、開いてませんでした。我々が訪れたのは週末なのに、なんと閉館しているのです。

ヨハネスブルグでのピンチを乗り越えてやってきた我々です。そう簡単に諦めません。ラリーさんに相談したところ、150ポンド(約21,000円)を支払うと特別に公開してもらえることが判明しました!150ポンドは固定で、参加人数で割ります。なので、2名の場合は1人あたり75ポンドとなります。通常は平日の11時から13時のみオープン、入場料は1名10ポンド(約1,400円)です。

残念ながら建物内は写真撮影不可。ナポレオンが好んで使っていた野戦用ベッドや朝風呂のための湯船もそのまま残っていました。庭の撮影はOK。現在はフランス外務省の管理下にあるため、手入れが行き届いた綺麗な庭園でした。

ナポレオンハウス(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

ロングウッドハウスのギフトショップでポストカードを購入。その場から日本に送ったところ、24日後に日本に届きました。

来館者ノートを発見。日本人は我々の他に数人のみ。やはりこの絶海の孤島まで訪れる人は少数なのかもしれません。

ちなみに、ナポレオンがセントヘレナで着用していたブーツは、パリで開催されたオークションにて117,000ユーロ(約1,411万円)で落札されました。

 

ロングウッドハウスの次にメジャーな観光名所と言えば、ジェイコブズラダーではないでしょうか。ジェイコブズラダーとは、699段ある全高183メートルの階段です。1829年に鉄道事業者により傾斜面索道として建設された後、物資を持ち上げる目的で、1871年に王立工兵軍団によって階段として再建されました。

ジェイコブズラダーを登るのであれば隣にあるセントヘレナ博物館で、登頂証明書を発行してもらうことができます。発行料金は2名分で5ポンド(約700円)。後日、証明書は日本に送ってくれるとのこと。証明書発行料金の他に、博物館の入館料金が必要です。金額は寄付制。我々は2名分で10ポンド(約1,400円)を支払いました。18世紀後半の発電所の建物を利用した博物館は、2002年にオープン。昔の軍服、帽子、刀等の貴重な資料が展示されており、島の歴史を今に伝えています。

登頂証明書発行手続きを終え、いよいよ699段の階段に挑みます。ドメイン島巡りで鍛えた脚力で、10分以内の登頂を目指します。

登ってからしばらくして下を見ると足がすくむ高さでした。これ以降は怖くて写真を取れなくなりました。高所恐怖症の方には、おすすめしないスポットです。

ジェイコブズラダーの頂上からは、ジェームズタウンの街並みがはるか遠くに見えます。699段を登り切ったあとに待っていたのは絶景です。結局、登頂には15分くらい掛かってしまいました。

Jacob’s Ladder(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

ラリーさんは先に頂上まで車で行って待っていてくれました。

なお、登頂証明書は登頂から約5週間後に届きました。

 


◆Googleが主導して敷設する海底ケーブルの予定地と噂される場所を発見!!

Google主導の海底ケーブルを敷設するプロジェクト「Equiano」を、セントヘレナ政府が招致したニュースが話題になりました。ニュースでは、このビッグプロジェクトの敷設予定地にまで触れていません。現地の方に聞いたところ、その場所はサンディーベイにあるとの噂です。行ってみましょう。

山を越え谷を越え、を繰り返します。

コーヒーを栽培している一帯を通り過ぎると、

道がどんどん悪くなっていきます。

あまりの悪路のため、ここから先はラリーさんの普通乗用車クラスでの進入は不可能とのことで、ここで車を降りることになりました。歩いてサンディーベイを目指します。

15分程歩くと、噂のサンディーベイに到着。

ビーチを散策していると、ケーブルらしき物が?!

これは、ケーブルではなく何かに使われていたホースのような物でした。

謎の漂流物を発見。

まだそれらしき施設は何もない、ただの砂浜ではありますが、現地の方々曰くここに海底ケーブルが敷設されるのではないか、という噂の場所です。将来的には、セントヘレナ島を経由して南太平洋を横断する海底ケーブル網が整備される「ミッドアトランティック・ケーブルハブ」構想があるとも言われています。

Google海底ケーブル予定地(セントヘレナ島) – Spherical Image – RICOH THETA

 


◆心霊スポットが充実しているセントヘレナ島

地図を見ていると、普段地図上では見慣れないワードを発見しました。それは「お化け屋敷」です。

ラリーさんは「この場所はよく知らないけど、島には ホーンテッドハウス(幽霊屋敷)がいくつかあるから他の所に連れてってあげるよ」と言って、「Haunted House Of Oaklands Tour」へ行くことになりました。

行くことが決まったのは夕食後だったので、真っ暗な中を向かいます。

ホーンテッドハウスに到着。料金は20イギリスポンド(約2,800円)とお高めです。

中に入るとホストのフィリップマーキュリーさんがお出迎えしてくれました。フィリップさんは、聞き取りづらい癖のある英語で、この屋敷に伝わる怖い話をしてくれます。変な匂いがして不気味な雰囲気だったのでとても怖く感じましたが、屋敷へと向かう道中が一番怖かったです。

セントヘレナ島には、他にもピリングスクールやシャイロード、アラームハウス、187歳のゾウガメ「ジョナサン」が住むプランテーションハウスなどなど、幽霊が出るという噂のスポットがあります。約45分程度の滞在を終え、帰りはライトアップされたジェイコブズラダーを見てホテルに戻りました。夜に登ったらもっと怖そうですね。

 


◆187歳(天保12年生まれ)のゾウガメ「ジョナサン」に会いたい

こんなに高齢なのに、実は日本ではほとんど知られていないジョナサン。ナポレオンも唸ったという香り高い味のコーヒーを飲み、朝食を美味しく頂き対面に備えます。それにしてもなんて美味しいコーヒーなのでしょう!こんなコーヒーが毎日飲めるなら、流されてもいいかな?と思わせる味でした。

ジョナサンに会う前に、標高584メートルの小高い山の上にあるハイノールフォートに行ってみます。1799年にイギリス軍がフランス軍の侵入を防ぐために建設され、2010年に観光者向けにリニューアルオープンしました。

そして、いよいよジョナサンのいるプランテーションハウスです。世界最高齢のゾウガメはすぐそこ、なのですが、またしても閉園日。メインゲートは開いていますが閉園。「週末なので閉園」という現実に愕然としました。

でもジョナサンに会いたい!その一心で、ラリーさんに相談すると「外から見られるかもしれないよ」と言って、その場所まで連れて行ってくれました。

いました!世界最高齢187歳のゾウガメ、ジョナサンが!

動いてます!もっと近くで会いたかったのですが、閉園中なので仕方ありません。187歳ということは、1841年生まれ。日本で言えば天保12年。お目にかかれて光栄でした。

 


◆90歳を超えて初めて日本人に会ったおばあちゃん~セントヘレナ島いろいろ~

ジェームズタウンを歩いていると

ラリーさんのお友達に会いました。左端の女性はなんと90歳超えているそうです。とても元気な方で「日本人に会うのは初めてよ」と言っていました。セントヘレナは長寿の島なのでしょうか。

風力発電がたくさんあります。

こちらは石油基地として建設しましたが、失敗に終わったそうです。ラリーさん曰く「こういったお金の無駄遣いが多いんだ」とのこと。

その昔、中国人労働者が住んでいたことから名づけられた「CHINA LANE」というエリアがあります。

CHINA LANE周辺には教会がいくつかあり、どれも数百年の歴史があるそうです。

教会を表すドメインは「.church」ですね。

ジェームズタウンのスーパー。2015年頃までは、「ソ連に住んでいるみたいだ」と言われるほど、物資が不足していたセントヘレナ島。ほとんどは輸入に頼っているそうですが、生活用品からペット用品まで予想以上に何でも揃っていました。

スーパー内の掲示板。子ども向けの絵本の宣伝でしょうか。メールアドレスにドメイン「.sh」が使用されています。

スーパー正面にあった、まとめ買い割引の案内。こちらのメールアドレスのドメインも「.sh」でした。

ホテルのエアコンは日本のDAIKIN。そう言えば、アセンション島のホテルのエアコンも日本製で、Fujitsuでした。こんな絶海の孤島まで営業に来たのでしょうか。すごい。

 

 


◆セントヘレナ島の食事事情

絶海の孤島、セントヘレナの夕日は格別です。そろそろお腹が空いてきました。ラリーさんの友人が経営しているレストランへと向かいます。

ラリーさんの友人の女性が最近開店したといレストラン「Rosie’s」へ。

ビーフ、チキン、マトン、シーフードなどがありどれも美味しそうです。料金も良心的。

セントヘレナにはローカルビールは無いとのことなので、南アフリカのビールをいただきます。料金は2ポンド(約280円)。

シーフードはココナッツが香るカレー風味。料金は8.5ポンド(約1,200円)。とても美味しいです。

本格的な魚のソテー。料金は9.5ポンド(約1,340円)。

ラリーさんが注文したビーフステーキ。料金は7ポンド(約980円)。すごいボリュームでした。

 


◆現地でのSIM購入&速度調査~セントヘレナ編~

セントヘレナ国際空港内にあった、ブロードバンドサービスを提供する「Sure」のショップでSIMカードを購入。料金は18ポンド(約2,500円)です。店員さんは要領がわかってないので、自分でSIMカードをカットしてセッティングを試みましたが、アクティーベーションできません。

ロングウッドハウスの前にあるホテルで再びアクティーベーションを試みるもやはり繋がりません。滞在中は、結局使用できませんでした。

SIMの利用は諦め、宿泊先のホテル「Mantis St Helena」のWifiでネット接続を試みますが、深夜や早朝など時間によっては繋がるものの、利用者の多い混雑している時は全然使えません。ドメイン島巡り史上、最も劣悪なネット環境でした。海底ケーブルが敷設されると、人口約4,500人の島は毎秒数テラビットの超高速インターネットに接続されることになり、島のネット環境は一変しそうですね。

さあ日本に帰ります。上空からセントヘレナ国際空港を見ると、想像以上に崖っぷちの空港であることがわかりました。無事に離発着できて良かったです。

 


■今回訪れた場所

 

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