片側のドアが無いセスナで世界遺産を遊覧飛行、広島カープ愛に溢れたお店でコウモリを丸ごと食べるパラオに行ってみた

第一次世界大戦後から第二次世界大戦で日本が敗戦するまで、日本の委任統治領だったパラオには、チチバンドはブラジャー、ダイジョーブは大丈夫を意味する「日本語と似たような単語」がたくさんあります。マリンリゾートというイメージが強いですが、10匹以上の番犬に守られている神社や片側のドアが無いセスナで高度450mまで行ったり、1匹まるごとコウモリの入ったスープを食べてみたり、親日国家パラオの魅力を調査してきました。パラオに割り当てられているccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は「.pw」です。

◆パラオはどこにあるのか?

パラオは日本から真南に約3,000kmの場所にある、大小586の島々からなる共和制国家です。グアムの南西に位置し、日本と時差がありません。パラオ語と英語が使われており、世界で唯一日本語が公用語のアンガウル州もあります。人口は18,094人(2020年)、世界で4番目に人口が少ない国です。使用されている通貨は、ドルです(1アメリカ・ドル=131円※)。※2023年3月時点。

= 目次 =

◆日本語だけでダイジョーブではないパラオ

◆恐怖!片側のドアが無いセスナで遊覧飛行

◆何でも揃いそうな大型スーパーになかったもの

◆10匹以上の番犬に守られている南洋神社

◆【閲覧注意】1匹まるごとコウモリの入ったスープ~パラオの食事事情~

◆パラオで見つけた広島東洋カープ愛~パラオいろいろ~

◆街で見かけない.pwドメイン

◆現地SIM速度調査~パラオ編~

 


◆日本語だけでダイジョーブではないパラオ

我々ドメイン探検隊は台湾を経由してパラオへ向かいました。水曜日に台湾を出発、土曜日に戻る便に乗るプランです。機内は満席でした。台湾を出発してから約4時間、パラオの島々が見えてきました。

パラオ国際空港で使用できるWiFiは「PNCC PROMO HOTSPOT」です。

機内で配られた入国審査フォームと、記入済健康申告書のQRコードを用意して入国準備は万端。と思いきや1時間以上も並ぶことに。。。原因は健康申告書のQRコード読み取りに時間がかかっていたのです。パラオは湿度が高くまるで東京の真夏のような気温。汗だくになりながら入国審査の列でひたすら待ちます。QRコードで事前に入力するよりも、その場でもらった審査の際に紙に書いた方が早かった。。。ようやく我々の順番になると、コロナウイルスワクチンを何回接種したかなど、係官がメモをとっていました。入国審査では帰りの便のEチケット提示を求められるので、事前に準備しておきましょう。

常にマスク着用を促す注意書きがありました。空港職員は誰もマスクをしていません。どういうことでしょう?この後行ったダウンタウンでも誰もマスクをしていませんでした。もしかしたら撤去し忘れていたのかもしれません。

空港にあるお店は全て営業時間外。閑散としていました。

空港を出て宿泊先に向かいます。我々は宿泊サイトで一番安かったパラオホテルを選びました。

パラオは離島にホテルがほとんど無いので、コロール島メインストリートの中心に宿泊すると便利です。

ホテルエントランスの天井にクラゲの写真。かわいいクラゲのキャラクターも出迎えてくれます。

パラオには数百万匹ものクラゲが回遊しているジェリーフィッシュレイクがとても有名で、クラゲはご当地キャラとしても愛されています。しかし地元の人からは、「今はジェリーフィッシュレイクにクラゲはいないよ」と言われました。

ホテルの部屋は広くてとても綺麗。


バイキング形式の朝食は、焼きそばやワカメスープなど日本人が食べ慣れているものが日替わりで提供されています。パラオホテルの無料Wifiは速度が不安定なのでワーケーションには向いていませんが、プライベートでも来たいと思える快適なホテルでした。

日本に統治されていた影響で、パラオ語には約1,000語の日本語由来の言葉が存在し、パラオ語の2割くらいは日本語に由来していると言われています。我々も「ダイジョーブ」という単語を何度か聞きました。とはいえ、コミュニケーションを取る時は殆ど英語。日本語で会話ができるわけではないのです。

 


◆恐怖!片側のドアが無いセスナで遊覧飛行

2012年に世界遺産に登録されたパラオの「ロックアイランド群と南ラグーン」をセスナで上空から眺めることができる遊覧飛行を申し込みました。25分で140ドル(約18,300円)~と少し高いですが、ホテルへの送迎も付いています。

スタッフより最初にコースの説明。日本語なので安心です。

パイロットは、ひろさん。日本人です。アメリカの航空会社でパイロットをしていましたがコロナ禍で職を失い、5ヶ月前からパラオで観光用セスナのパイロットに。1日のフライト数は6回で、我々は本日3回目のフライトに乗ることになりました。

いざ遊覧飛行へ出発!あれ?よく見ると飛行機右側のドア(扉)がありません。なんと、ドアが無いまま25分間飛行して高度450mまで上昇するのです。これを聞いたドメイン探検隊の1名は恐怖のあまり搭乗を拒否。ドアが無い理由を聞くと「ドアが無ければ景色が見やすいでしょ?」とのことでした。

結局、ドメイン探検隊から2名とパイロットのヒロさんの合計3名で出発です。もちろんシートベルトを締めていますが、ドアが無いのでやっぱり怖いです。怖くてほとんど写真を撮ることができません。

くじらのような形をした島を発見。ドアが無いおかげで、綺麗な写真を撮ることができます。

写真でも伝わると思いますが、この遊覧飛行でパラオの美しさを存分に感じることができて幸せでした。

 


◆何でも揃いそうな大型スーパーになかったもの

観光はレンタカーを借りるのがおすすめです。我々は1日55ドル(約7,200円)のカローラを選んだのですが、なぜかカタログには載っていないマツダの車が配車されました。ホテルから頼むと、ホテルまで車を持ってきてくれます。レンタル料金も同じなのでマツダの車で調査再開です。

ドミニカ国と同じく、パラオも信号がありません。右側通行です。日本の中古車が一番安いらしく、日本車が多く走っています。バイクは1台も見ませんでした。

運転している車は右ハンドルで日本の車そのままなので、郊外の車がほとんど走っていない道路に入ると、日本に居る感覚で左車線を走ってしまい、つまり逆走してしまって2回ほど対向車が正面から来て焦ったことがありました。写真のように正面衝突したかのような車が放置されているのを何回か見ました。運転をする際はくれぐれも気をつけて下さい。ちなみにレンタカーの返却については、「空港内の駐車場にとめて、車のキーは車の泥除けの下に置いといてください」と言われました。

西側にあるメユッグス島に日本大使館がありました。面白い話が聞けるかもしれません。行ってみましょう。

入口の上に金の菊文様があります。中に入ると日本人スタッフの女性が対応してくれました。女性は、日本でパラオ人の旦那さんと知り合いパラオに移住。最初はパラオの国立病院で看護士として12年間勤務、その時の縁から大使館で働くようになったと話してくれました。現在、パラオ在住の日本人は約260人。コロナ禍により100人程減ったそうです。もしパスポートを無くした場合は、帰国のための渡航書がここで発行されます。ちなみに、大使館の日本人スタッフはパラオのドメイン.pwを知りませんでした。パラオは公の組織でもGmailを使っている人が多いそうです。なお、館内は撮影禁止です。

日本大使館で「観光客に知られていない美味しい日本食レストラン」と「パソコンや電化製品を売っているお店」を教えてもらいました。まずはレストラン「エグゼクティブラウンジ」から行ってみましょう。コロール島のメインストリートから離れた場所にありますが、地元の人に大人気で観光客がほとんど来ない穴場スポット。カラオケもあって日本の歌謡曲も歌えます。大型モニターに「雨ふらないでよ」と表示されていますが、パラオは毎日何度も熱帯雨林気候特有のにわか雨(スコール)が降ってすぐに止みます。

日本大使館スタッフおすすめのお好み焼き(8ドル、約1,000円)を注文。お好み焼きはオムレツのような見た目です。ソースもマヨネーズ味で安定の美味しさです。

天ぷら盛り合わせ(12ドル、約1,500円)もいただきます。ザクザクした食感で衣はパン粉のようです。天つゆは日本人に合うお味でした。特にかぼちゃの天ぷらが美味しかったです。高速Wifiも無料で使えました。

続いて「パソコンや電化製品を売っているお店」に行ってみます。2022年9月にオープンしたパラオ最大のショッピングモール「スランゲル」に到着。

「ALII!」はパラオ語で「こんにちは」を意味します。

入口付近には、元々小さな雑貨屋から始まった歴史がボードにまとめられています。たった2人で創業して、小さなお店から大型ショッピングモールになるなんて、まさにアメリカンドリームならぬ、パラワン(パラオ人、パラオの)ドリーム。店舗名は、パラオの大統領、スランゲル・ウィップス・ジュニア氏と同じですね。

1階の生鮮食品コーナー。広いですね。他に芝刈り機や洗濯機など大型家電もありました。

2階に行ってみましょう。このフロアでは洋服とスマートフォン、パソコン等を売っています。見た目が派手なカラオケ機器もありました。パラオの人はカラオケ好きなのでしょうか?

GALAXY、iPad、iMacを発見。店員にiPhoneがあるか尋ねると在庫切れと言われました。地元の人にもiPhoneを売っているお店を聞いてみると、「パラオでは売っていないから、みんなGALAXYを使っているんだよ」と教えてくれました。何でも揃いそうな大型スーパーでなかったもの、それは、iPhoneでした。

 


◆10匹以上の番犬に守られている南洋神社

南洋神社を訪れました。この神社は第二次世界大戦中、日本の統治下にあった時代に創建された官幣大社です。正面ゲートに到着。奥に大きな家が見えます。

Googleで南洋神社のクチコミを見ると、「敷地に入ると24匹の放し飼いの犬達に吠えられて追いかけられ、ふくらはぎを軽く咬まれた。神社を管理されている人が不在の時は行かない方が良い」と書かれています。不安を胸に坂を上り進んで行くと、たくさんの犬が威嚇してきました。我々をかなり警戒しています。

管理をされている方に南洋神社にお参りに来たと伝えると快く受け入れてくれました。犬にふくらはぎを咬まれることもありませんでした。神社の入口にはパラオと日本の国旗が描かれた狛犬がいます。

階段にはシダ植物の植木がたくさん置かれており、日本ではあまり見ない光景です。奥に本殿が見えてきました。

小さいですがこちらが本殿です。

本殿の隣りにあったのは第二次世界大戦中にパラオで戦死した日本人を弔う碑。裏面に戦死された方の名前が記されていました。

鳥小屋がありました。

中には南国らしい鮮やかなオウムがいます。

南洋神社の近くにはかつてJALの日航ホテルがありました。老朽化により2002年に閉鎖されています。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Palau_Continental_Hotel_in_1977.j pg/375px-Palau_Continental_Hotel_in_1977.jpg

南洋神社は個人が管理する敷地内にあるため、訪れる際は必ず管理者に参拝や慰霊をする旨を伝えてください。

 


◆【閲覧注意】1匹まるごとコウモリの入ったスープ~パラオの食事事情~

パイロットのひろさんから教えてもらったカープレストランへやってきました。カツカレー(10ドル、約1,300円)、海老炒め(12ドル、約1,500円)を注文します。カツカレーはかなりのボリューム。エビ炒めはニンニクが効いていて食がすすみます。

メニューにコウモリのスープ(20ドル、約2,600円)を見つけたので注文。実はパラオの名物料理でコウモリはフルーツを主食としているため衛生上食べても問題ないと言われています。コウモリを食べるというよりは、コウモリの出汁を出すために入れてスープとして食べる事が多いそうです。玉葱、パプリカ、香草などの野菜が入ったコンソメ味で、コウモリの事を考えなければ美味しいです。

なかなか食が進まない我々を見かねた店員さんが、気を使ってコウモリをスープから出してくれました。

恐る恐るコウモリを食べてみます。トリノササミのような肉です。少しだけ臭みがありました。

とてもやさしい店員さん、今度はお口直しの果物をサービスしてくれました。

コウモリの頭と毛が生えている部分は残してしまいました。帰る際に頼んだタクシードライバーのベンさんは「早く呼んでくれたら俺が食べたのに。。。」と残念そう。現地の人は頭も羽も全て残さず食べるそうです。ちなみにベンさんの日本語名は“まさひろ”。おばさんの名前は“ひでこ”、おじさんの名前は“きんたろう”だそうです。

ドメイン探検隊がパラオでイチ押しの和食レストランは「B’s居酒屋夢」です。日本人が経営する居酒屋。お店の名前はB’zが好きだからではなく、オーナーのイニシャルから取っています。

マングローブ蟹(55ドル、約7,200円)。大きめの蟹ですが殻から取りづらくむしりとる感じで、意外と食べるところは少なかったです。しかし味がしっかりしていて美味しかったです。蟹は種類によってあまり味が変わらない気がしました。

揚げ出し豆腐(8ドル、約1,000円)。日本で食べる味付けと全く同じで感動しました。

赤いニワトリロゴが目印のパラオ産ビール、レッドルースタービール。スーパーでも売っているのでお土産にもピッタリ。パラオ語の「ツカレナオス」は「ビールを飲む」を意味しますが、軽く一杯飲むというより、大量のお酒を飲む意味合いが強いとのこと。こちらのお店は送迎もあります。お酒を飲む方でも安心ですね。

コロールメインストリートから少し外れたところにあるパン屋が併設されたエマイメイレイ・レストランにランチを食べに行きました。

「バターフライドチキン(10.5ドル、約1,300円)」を注文。ボリューミーなフライドチキンは味がしないので、タイの定番ソース、ナムチムガイをつけていただきます。衣がパリパリしてスナックみたい。なかなか肉に辿り着けませんが美味しかったです。

こちらは焼きラーメン(10.5ドル、約1,300円)。醤油味のインスタントラーメンを炒めたもので、大きい胡瓜とニンニクが入って日本人に合う味付けでした。

併設されているクマガイベーカリー。どのスーパーにもこちらの食パンが並んでいました。

 


◆◆ パラオで見つけた広島東洋カープ愛 ~パラオいろいろ~

1)地元高校生によるダンスコンテスト

パラオハイスクールの学生によるパラオダンスのコンテストが開催されていました。男子もメイクをしてスカートをはいています。

こちらの衣装も素敵。似合っていますね。

日本の童謡「おたまじゃくしはかえるの子」の曲に合わせて踊っているチームもいました。

 

2)謎の遺跡「ストーンモノリス

コロール島から車で1時間ほど北に行くと、大小様々な形をした石碑が50基ほど点在している遺跡があります。規模は小さいですがイースター島のモアイ像のようです。なぜこの遺跡が作られたのかは不明です。

運がいいと猫のタマちゃんに会えます。タマちゃんには会えなかったのですが、入園チケットを売っているおばさんと一緒に来ていた可愛い女の子、ナニちゃんに会えました。

 

3)日本・パラオ友好の橋
空港とコロール島を結ぶ橋。パラオに来ると何度も通ることになります。

1977年に大韓民国の企業により架橋されましたが、1996年に落橋。現在の橋は2代目で、旧橋とほぼ同じ場所に日本の政府開発援助(ODA)資金により建築され、2002年に落成しました。

橋の下に降りることもできます。地元の家族が釣りや海水浴をしていました。

 

4)WCTC ショッピングセンター

コロール島メインストリートにあるショッピングセンター。地元の人たち向けの掲示板を発見。パラオ軍入隊募集も貼ってありました。

 

5)国立博物館

日本統治時代について日本語で分かりやすく解説されています。

入館料は 10 ドル(約 1,300 円)。

日本が統治していた時代は、パラオ人より日本人の方が倍以上いた事がグラフで分かります。

 

6)カープレストラン

「1匹まるごとコウモリの入ったスープ」を食べたカープレストランは、日本人の奥様とパラオ人のご主人のご夫婦がオーナーです。

店内には広島東洋カープの選手のポスターがたくさん貼られています。

選手のサインと鯉のぼりも。

そうです。カープレストランの「カープ」は広島東洋カープから取ったもので、奥様のひろこさんが同球団の大ファンなのです。

さらに詳しくお話を聞くと、ひろこさんがお店を経営する一方、パラオ人のご主人はカープアイランドという島のオーナーでした!ひろこさんが広島カープのファンなので、島の名前をカープアイランドにしたそうです。カープアイランドは宿泊もできます。日本人も島を購入可能か聞いてみると、パラオ人以外の島の購入はできないが借りることは可能とのことでした。

ちなみに世界遺産エリアの中心に位置する「イノキアイランド」とは、アントニオ猪木氏が名誉オーナーを務めていた島です。パラオの独立前からサンゴの保護活動などを行ってきた猪木氏に、パラオの族長が感謝の証として贈ったと言われています。

 


◆街で見かけないパラオの.pwドメイン

ドメイン探検隊は、その島に割り当てられているドメインがどのように使用されているかを調査しています。しかし、なかなか「.pw」が見つかりません。

セントルシアでもほとんど見つからなかったことを思い出しながら探していると、郵便局で使用されているのを発見。パラオでは「.com」や「.net」が広く使われ、Facebookを活用しているお店が多い印象を受けました。


◆現地でのSIM購入&速度調査~パラオ編~

パラオ用のeSIMはありません。GlocalMeなどWiFiルーターも対応していません。今回は現地SIMを購入しました。事前調査では空港にPNCC(パラオ国立通信公社)のブースがありSIMが購入できるとのことでしたが営業時間外でした。

そのためコロール島メインストリートにあるGlobusPalauで購入。7日間、12GB、25ドル(約3,200円)でした。コロール島メインストリートで計測したところ速度は40Mbpsでした。

 


■今回訪れた場所

 

■ パラオまでのアクセスはこちら

 

■「.pw」ドメインの詳細はこちら

新婚旅行でモルディブに行っても気づかなそうなことを現地調査

新婚旅行や海外ウェディングで常に人気のモルディブと言えば、エメラルドグリーンの海、水上コテージ、クルージング、シュノーケリングなどなど、カップルやマリンスポーツ好きな方々に愛されている国です。カップルでもマリンスポーツ好きでもないドメイン探検隊がモルディブを現地調査しました。今回訪れたモルディブに割り当てられているccTLDは、「.com.mv」です。

 

◆モルディブはどこにあるのか?

モルディブ共和国は、スリランカ南西のインド洋に浮かぶ26の環礁や約1,200の島々で構成されており、そのうち約200が有人島です。正式名称はディベヒ語で、ދިވެހި ރާއްޖޭގެ ޖުމްހޫރިއްޔާ(ディヴェヒ・ラーッジェーゲ・ジュムフーリッヤー)。

 

= 目次 =

◆予約なしでエアタクシーに乗れるのか?

◆モルディブのカツオ節

◆不法就労、医師不足・・・日本大使館でいろいろ聞きました

◆首都マレを助ける人工島

◆国立博物館で買った警察官のかっこいいポストカード

◆モルディブの食事事情

◆SIM速度調査

◆ミロ配送専用トラック~モルディブいろいろ~

 


◆予約なしでエアタクシーに乗れるのか?

モルディブでは、「1島につき1高級リゾート」という場所が多くあり、これらに宿泊する場合は国際空港がある首都マレから高速ボート、またはエアタクシー(水上飛行機)で移動することになります。エアタクシーに乗れるのは、目的地となる島のリゾート施設の宿泊客とフォトフライトのみ。フォトフライトとは、上空からの写真撮影のみを目的とした遊覧飛行プラン。どこの島にも降りることはできません。我々ドメイン探検隊は高級リゾートに泊っていないし、フォトフライトの予約もしていませんが、どうしてもエアタクシーに乗りたいので、チャレンジしてみることにしました。

実は事前に日本から、エアタクシー会社のモルディビアンと、トランスモルディビアンエアウェイズへフォトフライトの予約についてメールで問い合わせをしましたが、回答を得ることはできなかったので、カウンターで直接交渉します。

午前9時、マレ国際空港の到着ゲートを出たところで、エアタクシーのカウンターを探します。

離島のリゾート施設やレストランの受付カウンターがたくさんあります。

モルディブ初のアイススケートリンクを作ったジュメイラホテルズの受付もありました。

2019年11月にモルディブ初となるエアタクシーの定期便運行を発表した”マンタエアー”がありました。しかし、職員が誰1人いません。ここは諦めましょう。

モルディヴィアンを発見。さっそく「リゾートに宿泊する訳ではないのですが、搭乗できますか?」と聞いてみたところ「できません」と、やっぱりお断りされてしまいました。フォトフライトについて聞いてみると、「貸切のフォトフライトなら可能です」と即答。肝心のお値段を聞くと「1フライト、10万円です」。あまりにも高額で驚きましたが、お願いすることにしました。

ちなみに、同社公式サイトのドメイン「.aero」は、航空業界のメンバー以外は使用できないドメインです。

「それでは、今日中に乗れるように手配するので、13時に戻って来てください」という指示を受けます。13時までまだ時間があるので、トランスモルディヴィアンエアウェイズのカウンターへ。モルディヴィアンと同様の質問をしましたが、同じく即答でお断りされてしまいます。こちらもフォトフライトならOK、でも本日の運航はなし。翌日以降に空きがあればとのことで断念しました。

トランスモルディヴィアンエアウェイズのパイロットは、裸足で操縦するそうです。

エアタクシーには、時刻表が基本的に存在せず、各リゾートやその宿泊者からの依頼を受けてスケジュールを組み立てているようでした。ラブワゴンぽい車を見たりしながら時間が経つのを待ちます。

13時少し前に、モルディヴィアン航空のカウンターへ戻ります。午前中に話をした男性スタッフが不在のため、他のスタッフに「フォトフライトの搭乗予約をしたのですが」と切り出すと、「フォトフライトの便は、もう出発しましたよ」という答えが返って来ました。。。我々が聞き間違えたのか、、、航空会社スタッフ間の伝達ミスなのか、、、はっきりしているのは、我々はエアタクシーに乗ることができない、ということです。

搭乗時の支払いだったので金銭的な損害はありません。モルディブでフォトフライトができたら、かなりラッキーなのかもしれません。


◆モルディブのカツオ節

「日本のカツオ節の製法はモルディブが起源」という説があります。モルディブのカツオ節とは・・・?実際に見て確かめましょう。首都マレにある魚市場に向かいます。

随分と塗装がはがれているのか、個性的なデザインのか。よく見るとタクシーでした。

大統領専用の船着場があったので立ち寄ります。

係留しているこの船、地元のおじさん曰く「これは大統領の船ではないよ」。

「大統領専用はあっちだよ」と別の地元の方が教えてくれた先には、停泊中2隻の船(A555とA558)がありました。係留していた船のクラスと変わらないようにも見えます。

その2隻を挟む2隻の沿岸警備隊の船。手前の船名は”イスカンダル (ISKANDHAR)”。
もう1隻は”ヌールアディーン(NOOR ADHEEN)”と書かれていました。宇宙戦艦ヤマトは関係ないようです。

歩いていると、地面から青いパイプが出ているのをよく見かけました。工事現場などから出る下水を排出するパイプだそうです。

パイプの出口は海でした。

魚市場に到着しました。青い看板には、目立つように何か書かれています。しかし、ターナ文字で書かれているので、何を意味するのかさっぱりわかりません。ターナ文字とは、モルディブの公用語であるディベヒ語の表記として用いられています。

新鮮なカツオがずらっと並んでいます。

奥ではマグロ(キハダマグロ)を解体していました。マグロのような大きな魚は、購入者の希望に合わせて捌いて売っています。

魚を捌いた時に出る大量の“あら”は、魚市場内に置かれたバケツに貯めてられ、ある程度 一杯になったら目の前の海に撒いています。その様子が見たいので少し待ちました。

どこからともなく海鳥がやってくると、海面には無数のエイが。どうやら彼らはあらが撒かれる時間を知っているようです。

程なくして魚市場の人が“あら入りバケツ”を持って登場。一気に海へ撒きます。鯉の入れ食いのような状態を想像していたのですが、海鳥もエイもそれほど寄ってきません。

新婚旅行でモルディブに訪れたカップルが見ないであろう‟あら撒き“イベントに立ち会えたのは良いのですが、カツオ節が見当たりません。魚市場と道を挟んで隣り合っている青果市場に行ってみます。

多くの人とバナナで賑わっています。

ありました。カツオ節です。現地では“モルディブ・フィッシュ”と呼ばれていて、古くから料理に使われています。

魚の種類は分かりませんが、こちらもカツオ節の一種。試食させてもらうと、見た目よりも硬くない!ジャーキーのような食感。しかし、強烈な匂いが立ち込めていました。


◆不法就労、医師不足・・・日本大使館でいろいろ聞きました

モルディブのことをもっと知りたくて、在モルディブ日本大使館とJICA(独立行政法人国際協力機構)を訪ねました。まずは、大使館です。男性スタッフにご対応頂き、モルディブのあまり知られていないこと、今問題となっていること等を教えてもらいました。

 

・外国人オーナーの独立や開業はできない
イスラム教のモルディブには、法人税や所得税がありません。しかし、タックスヘイブン(租税回避地)ではないのです。支社(支店)であれば問題はないので、日本の企業も進出しています。ちなみに、モルディブは外国人に永住権を与えていません。

 

・世界一と言われる人口密度と医師不足
人口密集によって都市部の渋滞がひどい。東西約2.5キロ、南北約1.5キロの首都マレには、モルディブの総人口の3分の1から4分の1にあたる13万人あまりが暮らしており、その人口密度は世界一とも言われています。また、モルディブには医学部のある大学がありません。医師を志す場合、海外の大学で医学を学びます。マレには医師が少なく、適切な手術や処置を行っているのか不安視されていますが、高級リゾートホテルには専属の医師がいます。

 

・不法滞在者による不法就労
2019年10月より、不法に滞在する外国人労働者をガロル国立競技場に集めて、不法滞在外国人労働者の登録を受け付けています。そう言えば、我々が同競技場を訪れた時、試合中でも無いのに観客席にはちらほらと人がいました。

参考 在モルディブ日本国大使館

 

・フェリーでの盗難被害
大きな荷物については船員が運んでくれますが、 この際に荷物の中身を取られたなどの盗難被害が発生しています。国際空港への移動にはタクシーも利用できますが、有料フェリーでの移動が一般的です。チケットは1人あたり3ドル。貴重品は手荷物に入れるようにして、気をつけてください。

続いて訪問したJICAでは、赴任したばかりの女性スタッフにお話を伺いました。モルディブでは他の国のようにシニアが活躍できる環境ではないこと、イスラム教地域は制限されることが多いので住みやすいとは言いづらい、というお話が印象に残りました。

ちなみに、魚市場のあら撒きイベントは日本大使館で聞きました。日本大使館の男性スタッフは、「家族には、モルディブというイメージがあってか‟優雅に仕事をしている“と思われています。確かに、オフィスからウミガメやイルカをたまに見ることはありますが、人が凄く多くて優雅な環境とは言えませんよ」と教えてくれました。突然の訪問にもかかわらず、親切に対応してくれた在モルディブ日本大使館及びJICAのスタッフの皆様、ありがとうございます。


◆首都マレを助ける人工島

人口密度世界一とも言われるマレ島の人口圧力を軽減するために造成されたフルマーレ島は、モルディブの北マーレ環礁の南に位置する人工島です。マレと比べると近代的で色鮮やかな建物が目立ちました。

プレスクールの表門に、在籍していると思われる生徒の名簿が掲示してありました。日本では考えられないですね。

正午前に“マスジッド・ハマッド・ビン・カリーファ・アル=タニ”というモスクで、お祈りが行われていました。モスク周辺を歩く人も足を止めて祈りをささげるのかと思いきや、そのような人はいませんでした。


◆国立博物館で買った警察官のかっこいいポストカード

モルディブ博物館は、モルディブの歴史が学べる博物館として、首都マレのスルタンパーク内にあります。

入館料は大人1人で100ルフィヤ(約700円)。さらに館内で写真撮影する場合は、10ルフィヤ(約70円)を追加で支払います。撮影代を払っても、フラッシュを使用した撮影は禁止です。荷物を入れるためのロッカーは、無料で貸してくれます。

展示室は2階まであります。まずは1階から。館内は広く、モルディブで発掘されたサンゴの石で出来た小箱などが展示されています。

その中には現代的なものも。モルディブで使われた最初の電話のうちの2機。

「モルディブで最初に使われたコンピュータシステムのCPU」。年代を感じさせるサイズです。

国立博物館の1コーナーとして切手収集博物館もありました。

お土産コーナーでは現在発行されている切手を購入することもできます。

さらに奥へ進むと、警察官(マネキン)が現れました。]

なんと、ここからは警察博物館のコーナーがスタート。モルディブの警察の歴史を展示。

もちろん、お産コーナーもります。目を奪われたのは、警察官のポストカードでした。

上は「話し合う警察官たち」。下は「拳銃を携えて部屋の様子を伺う警察官」と思いきや、「ドアノブに付着した指紋を採取する警察官」でした。こんなかっこいいポストカードには中々出会えないので、速攻で購入。キャップも買えば良かったと後悔しました。

2階に上がります。

鯨の骨や象牙、船の模型等が並ぶ中、モルディブの有名なバンド「オリンピアンズ」が使用した楽器が展示されていました。

YAMAHA「YC-20」(ステージピアノ)

YAMAHA「BE-200」(ベースアンプのヘッド)

ELK「VIKING 60」(ギターアンプのヘッド)


◆モルディブの食事事情

歩き疲れたので、カフェで一休みします。お店の名前はハイウェイコーヒーショップ(Highway Coffee Shop)。

落ち着いた色合いで統一された店内。注文を受けてから作るスタイルです。

コーヒーはデフォルトでミルクが入っていました。もう一品は、アイスジンジャーレモンティーです。

モルディブに限ったことではありませんが、イスラム教の信仰地域では飲酒や酒類販売が禁止されています。スーパーではモヒートなどが売っていましたが、すべてノンアルコール。

「ホテルならばビールを飲めるかもしれない」と思いましたが、滞在したマレのホテルでもアルコールは取り扱っていませんでした。こちらも、ノンアルコールのビール(3.2ドル)。

フルマーレで見つけたお寿司屋さん、その店名はずばり「Oishi」。ラーメンと巻き寿司を注文します。お店の名前のとおり、美味しいのでしょうか?

チキンラーメン(185MVR)

巻き寿司のカリフォルニア(150MVR)

巻き寿司のゴールドラッシュ(180MVR)

どの料理も美味しく頂きました。デザートは、「チョコレート・ミソ・ラヴァ・ケーキ」を注文(80MVR)。フォンダンショコラに味噌が入っていて、上にバニラアイスとベリーソースをかかっています。「ラヴァ(lava)」は溶岩のこと。 こちらも美味しかったです。

ローカルフードを食べに「ディドゥーホテル(カフェ)」(Dhidhoo hotel (Cafe))へ。
地元民の利用者が多いお店。店内は窓が開放されていて空調も効いていません。しかし、我々は冷房の効いた個室に案内してもらいました。VIP扱いです。外国人だからかもしれません。

モルディブの朝ごはんの定番であるマスフニのモーニングを注文。マスフニとは、ディベヒ語で「マス」は魚、「フニ」はココナッツを意味します。

これがマスフニ。ソーセージを挟んで2つに分けられていますが、微妙に味が違います。片方はマグロ、もう片方はカツオの味。マスフニをロシに包んで食べます。美味しい!

玉ねぎを使ったケーキと、どら焼きの皮を半分に畳んだようなデザートも注文しました。見た目通りの‟自然な甘さ“を堪能。最後に会計を済ますと、ちゃんと‟VIPチャージ”が含まれていました。

 

もう一軒、ローカルフードが食べられるお店「ベルアミービストロ」(Belle Amie Bistro)に行きます。ここでは、家庭料理のガルディアを注文。

メニューには載っていませんが、オーダーをすれば作ってくれます。お店によって味が異なるとは思いますが、意外に酸っぱい。トムヤムクンの「辛さと海老抜き」のような味わいです。カツオの出汁もそこまで感じません。薄味でした。


◆現地でのSIM購入&速度調査~モルディブ編~

今回は、オレドー(Ooredoo)とディラーグ(Dhiraagu)のSIMカードを試しました。マレ国際空港内で購入できます。

どちらも15ドルで4GB(期限7日間)のプラン。 ディラーグはドメイン「.mv」のレジストリでもあり、日本で言えばNTTぐらいの規模を誇る企業です。速度は25Mbpsでした。

カタールに本社を置くオレドーのSIMの速度は14Mbpsでした。


◆ミロ配送専用トラック~モルディブいろいろ~

セントビンセントのドメイン.vc」のレジストリを訪問したように、街を散策しながら「.mv」のレジストリへ向かいます。

モルディブで聞く「バックします、ご注意ください」。ツバル(.tv)でも耳にしました。

トラックにうず高く積まれているのは、すべて“ミロ(MILO)”。ミロだけを運ぶ、ミロ専用トラックです。日本のテレビCMでは「スポーツをする子供たち」がイメージとして使われているため「子供の飲み物」のイメージが強いかもしれません。しかし、中南米やアジア(特に東アジア、東南アジア地域)では、成人にも好まれているとのこと。確かに、モルディブでもよく見かけました。

日本語で話しかけてくるモルディブ人が増えてきたと思ってたら、目に飛び込んできたのは「竹中直人さんのお店」!しかし、俳優の竹中直人さんとは全く関係のないお土産屋さんでした。店名の由来は、この店のオーナーが竹中直人さんに似ているからとの噂があります。

こちらの「ナルト君のお店」も日本人向けのお土産屋さん。この近辺では、我々が歩いていると、無理やりついてきては勝手にガイドを始める人が大勢いました。ガイドを聞いてしまうとお金を請求されますので、ご注意ください。

お相撲さんが満面の笑みでPRしているのは、塗料のリーディングカンパニー ”Nippon Paint(日本ペイント株式会社)”。「シンガポールで最も支持されている塗料ブランド」と書かれています。

工具屋や、ペンキなどの塗料を売っているお店が多かったです。

スポーツブランドショップかと思いきや、とてもお洒落に作業服やヘルメットなどが売っていたお店。

トンガでは模造品でしたが、モルディブでは正真正銘のミカサのバレーボールが売られていました。インド洋地域では、1976年に国際オリンピック委員会に認定された“インド洋諸島ゲームズ (Indian Ocean Island Games)”と呼ばれるスポーツ大会が開催されています。競技種目はバレーボールや柔道、卓球など。2019年の大会では、女子卓球(団体)においてモルディブが金メダルを獲得。地元紙では「歴史的な勝利」と報じられました。2023年に行われる大会では、モルディブがホストを務めることが決定しています。

島内ではバイクを運転する際に、ヘルメットの着用義務はないようです。

街中で見つけたモルディブのドメイン「.mv」と「.com.mv」です。

.mv」は、オンラインの登録ができないことや維持にコストがかかることを理由に、政府や大企業の利用に限られています。政府や大企業以外は、「.com.mv」や「.net.mv」を利用する傾向にあります。

さて、地図を見ると「.mv」のレジストリに到着のはずですが、それらしい建物はなく、そこにあったのは大統領官邸(ムーレアージェ、Muleeaage)でした。残念ながらレジストリの住所(19 Medhuziyaaraiy Magu Male 20-02 Maldives)を見つけることはできませんでしたが、思いもよらない形で観光スポットに辿り着きました。

”つづく”という日本語が書かれたTシャツを来ている男性を発見。下には「To Be Continued!!!」と書かれているので、意味は間違っていないことを伝えると、笑顔で撮影に応じてくれました。ドメイン島巡りも、まだまだ続きます。

 


■今回訪れた場所

 

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